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09/09/07 朝日俳壇、歌壇より

 数日来、残暑厳 しい日が続いています。
 桂川の土手道は草刈のシーズンです。大型の草刈機や肩掛け式の草刈機のエンジン音が炎天に響いています。
 草を刈り取った後の斜面には、野鳥が集まって餌を啄ばんでいます。草丈が短くなった場所では餌が取りやすいのでしょうか?昨日は、ツバメが刈り取られた 土手の上を群舞していました。そろそろ南へ渡るのでしょうか?

 さて、今週も朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
 今週は敗戦や原爆を詠んだものがたくさん入選していました。

◆敗戦忌、原爆忌
◇薯の蔓花瓶に挿して敗戦忌(仙台市・長沼敏夫:大串章選)
 サツマイモの蔓を雑炊の嵩うかしにしたと祖母からよく聞きました。農村でさえ食料が不足していたのですから都会にあった人々の食糧事情はいかばかりで しょう。
 食うものもない戦が勝てるはずがありません。

◇終戦日軍刀埋めし庭に立つ(川口市・永瀬百枝:大串章選)

◇夏椿原爆孤老といふ今生(広島市・安永達生:金子兜太選)

◇終戦を男装の母博多港(名古屋市・応本秀子:金子兜太選)

◇まぼろしの元安川の暑さかな(伊賀市・福沢義男:長谷川櫂選)

◇八月の重き日の間に孫生まる娘その子に「あかり」と名付く(岸和田市・西野防人:高野公彦選)

◇英語にて平和宣言締めくくる広島市長の八月暑し(狛江 市・小俣真智子:永田和宏選)

◇兄は征き我は兵器図面管理して戦果てたり八月が来る(横浜市・本多豊明:馬場あき子選)

◇六か月早かりせばと敗戦忌(さいたま市・箱田敏之:長谷川櫂選)
 敗戦を決断するのが6ヶ月早ければ、東京、名古屋、大阪などの大空襲で、 沖縄の強制集団死(集団自決)で、ヒロシマで、ナガサキで多くの人が殺されずにすんだのにと思うと、昭和天皇や軍部の責任は重いものです。
 せめて、7月26日に発せられたポツダム宣言をもっと早く受け入れて降伏していればヒロシマ、ナガサキや次の歌のような犠牲者を生まずに済んだものをと 思わざるを得ません。降伏を遅らせて多くの国民の命を犠牲にして彼らが守ろうとしていたものは何でしょう。

◇京橋駅いくさ知らずのあたしよりみな背の低い焼香の列 (交野市・角浦万巳:永田和宏選)
 一読では意味がよくわかりませんでしたが、1945(昭和20)年3月13日から始まった大阪大空襲の8回目の攻撃が敗戦直前の8月14日午後1時過 ぎ、 アメリカ軍の空襲により
大阪環状線京橋駅に4個の爆弾が落とされ、800名もの無辜の人たちが殺されています。毎年8月 14日には慰霊祭が行われているそうです。
 浅はかにも知らぬことばかりです。
 「あたし」が良いですね。詠み人は女性かと思いました。

◇我らみな老いて訪ぬる炎天の墓地に二十歳の戦死者眠る (徳島市・上田由美子:馬場あき子選)
 田舎の墓地には道端の目立つところに立派な墓石が並びます。星や碇の徽章がついた墓標には南方の戦地の名前が刻まれています。残されたものがせめてもの 供養にと立派な墓を建てたのですね。
 同じ命日の墓も悲しいことですが、同じように若い人たちの墓が並ぶのも悲しいことです。

◆朝日俳壇
◇積乱雲ギター負い行く少女かな(川崎市・多田敬:大串章選)
 最近、電車の中や街中でギターやバイオリン、管楽器を持った女性を多く見かけます。
 カラオケは歌えず、楽器はなにも使えずの私には羨ましいことです。楽器、音楽ができることは平和の証でしょうか?

◇風の日は風と遊ぶや秋桜(京都市・岸田健:稲畑汀子選)
 この句のように平易な言葉で見逃してしまうような自然を詠みたいです。

◇病室の独りの窓に雲の峰(高松市・高城美枝子:稲畑汀子選)
 わずか2週間の入院でも、窓枠で切り取られた空を見るのが楽しみでした。
 病者には四角い空が唯一の自然です。「独りの窓」が良いですね。

◇向日葵があれば安全保障なり(熊谷市・内野修:金子兜太選)
 分からない句でした。兜太先生は「『安全保障』が旨い。炎天に大きく咲く向日葵」と評されています。
 向日葵と安全保障、凡者には理解できませんでした。

◇象をみてますます暑くなりにけり(近江八幡市・北村均:長谷川櫂選)
 象は見るからに暑そうですね。汗拭き拭きの太った人も「ますます暑く」なりそうです。
 私は黒の大型車(4WD?)が見るからに暑く、炎天の道路で横に来ると本当に暑いのです。世にも不要なものと思います。

◆朝日歌壇
◇この夫を恨みて書きし遠き日を悔やみつつ燃す日記幾冊(長岡市・馬場カヨ:高野公彦選)
 夫は健在なのでしょうか?
 いろいろあった過去、その時々の憤りや恨みつらみを書いたことが、時間とともに風化してはいないのでしょうが。

◇おとといの手紙がそろそろ着く頃か初秋の土佐の暑きを思う(坂出市・山崎波浪:永田和宏選)
 私も母に手紙を書くとそろそろ着く頃かと田舎を思います。今は母からの返信もなかなか来ませんが。
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