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09/10/05 朝 日俳壇、歌壇より

 朝夕はめっきり涼 しくなりました。涼しくなると気が緩み夏の疲れを一層感じるようです。
 疲れが取れず「精神的勝利法」(残日録 09/08/20参照)に逃げ込みそうで す。(笑)

 うれしいこともありました。
 一昨年、当時働いていた会社と解雇問題で争っていた頃メールをいただいた読者の方から、再びメールをいただきました。
 取りとめもないことを誰に宛てるともなく書いているサイトですから、メールなどの反響を期待していないつもりですが、たまのメールは励ましになるもので す。

 月の明かりが明るい時期です。今日は旧暦の8月17日、十七夜の月は雲に隠れて見られそうもありませんが、明るい月夜を歩いていると何故か子どものころ 母と歩いた道を思い出します。

 中川昭一前衆議院議員が死亡しました。早すぎる失意の中の死だったろうと思いますが、彼の死は予想されたことではなかったかと思います。ローマでの泥酔 会見の後の残日録に下記のように書いています。

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 今朝の朝日新聞は「中川氏の悪酔い癖は以前から政界で知られていたが・・・」と書いています。
 なんと言葉に無神経な人たちでしょう。中川前大臣は酒癖の悪い人で「悪酔い癖」ではないと思います。
 そして、彼の場合は重度のアルコール依存症(アル中)だと思います。政局云々とは別に本人の健康と生命のためには大臣を辞めたことは良いことでした。
 是非、政治家も辞めてゆったりと静養をお勧めしたいものです。
-----------------(残日録 09/02/18

 彼に政治家を止めることも、アル中の治療を勧めることも誰もしなかったのでしょうか?弔問の涙が嘘っぽい光景に見えます。

  今週も朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
 曼珠沙華を詠んだ句が二つありました。曼珠沙華の赤は色々のものを連想させます。

◇赤紙のやつて来し道曼珠沙華(東京都・村田登美子:大串章選)
 田舎道には花道を飾るように曼珠沙華が咲いている場所があります。そんな道を赤紙がやってきたのでしょうか。

◇夜は闇に沈みゆく赤曼珠沙華(高槻市・会田仁子:稲畑汀子選)
 「沈みゆく赤」、不思議な色です。

◇月ありと山越す人さりげなく(羽村市・寺尾善三:金子兜太選)
 月の明かりがあるから一山越そうという人がいる、現代ではなく昔話の一景のようです。
 詠まれているのはどんな風景でしょう?

◇伊那谷は底より稲の刈られけり(長野県・柴和夫:長谷川櫂選)
 深く広い伊那谷では「底」から稲刈りが始まるのですね。縁まで稲刈りが終わった頃には縁から紅葉が「底」に向けて駆け下りてきます。旅に行きたくなる一 句です。

◇秋思して箍(たが)の外れた人となる(東京都府中市・酒井努:長谷川櫂選)
 面白い句ですね。秋の一日物思いに耽ってみたら箍の外れた人になるとは。

◆朝日歌壇
◇棟梁が鍼うたせつつ携帯で指図している明日棟上の(福岡県・北代充明:高野公彦選)
 こんなにうまく鍼をうっ ている棟梁が携帯電話で指図している場面に出会うのかと思いましたが、選者の評には「作者は鍼灸師」とのこと、納得です。
 棟梁という職業?は存在感のあるものですね。森貞夫さん の<「おーい飯」棟梁一声天高し>という句を思い浮かべました。

◇菊の鉢さげて二キロの道来ればかくばかり美に重さありけり(栃木市・飯塚哲夫:高野公彦選)
 「美に重さ」が効きますね。下げて歩いた鉢の重さから「美の重さ」に昇華していくさまがなんとなくわかります。

◇寄付金を割り当てるごと人事部長 君の部から五首(ごくび)差し出せ(横浜市・折津侑:永田和宏選)
 私にも経験があります。「あれと、あれの首を斬れ」とも。首斬り人はやがて自分の身にかかることです。
 企業とは金儲けのためには何でもするものです。

◇盲導犬と載り合はせたるバスの中見るとなく見る犬伏せるさまを(厚木市・黒山敏恵:永田和宏選)
 電車やバスで盲導犬と乗り合わせることがよくあります。盲導犬が乗ってくると車内の雰囲気がなぜかしら和みます。盲導犬が伏せて動かなくなるまで乗客の 視線は彼に集中します。

◇それぞれに子らは言い訳考えてホームのの祖父は一人残さる(青森市・鳴海裕子:佐佐木幸綱選)
 老人ホームに預けてある父の面会に来て子らはそそくさと帰ってしまう。寂しく祖父だけが残される。作者は親に付き添ってきた孫でしょうか?
 この老人は、老人ホームに入れるだけ幸せだと思います。多くの老人は看取る人もなく亡くなっています。

◇我が子自死己に課した無期懲役後追い過(よぎ)るがじっと生き抜く(松戸市・松本順子:佐佐木幸綱選)
 壮絶な歌です。
 亡くなった子どもに「生きる」と約したから刑のように行のように生きなければと思っておられるのですね。

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