09/10/06
検察審査会
とあることでヒド
ク落ち込んでいます。益々阿Qの「精神的勝利法」(残日録
09/08/20参照)に落ち込みそうです。毅然としなければと思う秋雨の一日です。
佐野洋さんの小説に「検察審査会の午後」があります。
検察官が不起訴にした事件を、不起訴はおかしいと思った告訴人らが申し立てを行うと不起訴が相当であったか、起訴すべき事件であったかを審査するのが検
察審査会です。構成員は選挙人名簿から選ばれた市民で、1948年より行われていますから、裁判員制
度よりはるか前から実施されている司法への市民参加制度です。この小説を読んで初めて存在を知りました。
物語は初老の高校教師が、審査員に選ばれて様々な事件の
審査に加わるという物語です。
司法の判断する異議を挟むことができる民主的な制度だと思っていましたが、検察官がこの検察審査会の議決を軽視しているとの報道がありました。
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遺族らによると、席上、遺族が「検察審査会の3度の議決は重い。どう思うのか」と質問すると、中井部長は「議決はあっても検察は検察のスタンスで捜査し
た」と答えたという。
----------------(「『市民感覚とズレ』遺族らに憤りと不信…歩道橋事故説明会」読売新聞 09/10/05)
01年7月に兵庫県明石市で11人が死亡したいわゆる
「明石花火大会歩道橋事故」で、神戸地検は検察審査会が「起訴相当」との議決をしたにもかかわらず4度目の不起訴処分とした理由を遺族らに説明した席上、
「審査会の議決は関係ない」即ち「素人の判断は無視」したとの検察の態度だったようです。何様と思っているのでしょう。
この事故では、兵庫県警が業務上過失致死傷容疑で、明石署、明石市、警備会社の当時の担当者ら12人を書類送検しました
が、神戸地検はこの内明石署の署長、副署長だけ不起訴にしました。
この署長(のちに死亡)と副署長の不起訴を不当と被害者遺族らが検察審査会に審査申し立てを行い、検察審査会は3度も起訴相当の議決をしましたが神戸地
検は
その度に不起訴としています。
今まで検察審査会の議決に検察官は拘束されませんでしたが、検察審査会法が改正されて今年の5月からは「起訴相当」が2度出されると必ず起訴されること
となっ
たようです。
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新しい制度では、今月21日以降に審査会が「起訴相当」の議決を出した場合には、検察官はその事件を再捜査し、3カ月以内に起訴するかどうかを判断しな
ければならない。起訴しなかった場合は再び審査会が審査。改めて「起訴相当」を議決した場合は、容疑者は必ず起訴される。
---------------(「検察審査会『起訴相当』2回で起訴へ 議決に法的拘束力」朝日新聞 09/05/19)
今回の不起訴で検察審査会は自動的に審査に入り「起訴相当」が議決されると、副署長は強制的に起訴されるそうです。
遺族らは検察審査会の「起訴相当」を期待されているそうです。
最近、政治屋も、裁判官も、警察も、検察も、官僚も、その道のプロと思われている人たちの驕りが目立ちます。
政治も司法も市民の手に取り戻さなければならないと思います。
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