09/10/12 朝日俳壇、歌壇
今日の朝日新聞の
俳壇、歌壇より気になったものを紹介します。
◆朝日俳壇
◇近づきし指へ零余子(ぬかご)のこぼれけり(東かがわ市・桑島正樹:稲畑汀子選)
蔓が枯れる前後には自然と地面に落ちるものです。零余子は取ろうとすると指が触れるまで
に落ちてしまいます。当たり前のことをこんな風に読めたら良いですね。
私の地方では「むかご」と呼びます。零余子は塩茹でにし
て酒のつまみによいものです。
◇廃校のガラスに映る鰯雲(奈良市・田村英一:稲畑汀子選)
ガラスに映る鰯雲はきっと歪んでいるのでしょうね。
古い建物の窓ガラスの歪みは風情のあるものです。まもなく取り壊される大阪中央郵便局の窓ガラスも工事中の大阪駅や周辺のビルの歪みを映してきれいで
す。
◇桔梗ほどな妻を娶りて遥々と(東京都・坂東孫太郎:金子兜太選)
桔梗は可憐な花です。そんな女性を娶られて幸せなことです。
選者は「桔梗の花ほどの小柄な妻。可愛くて心配で、そわそわしている。」と評されています。
◇男なんて女が去れば枯野なり(秩父市・浅賀信太郎:長谷川櫂選)
私も枯野。
いやいや、まだまだ枯れたくありません。
◇津和野てふ大きな絵本小鳥来る(松江市・三万元:大串章選)
津和野、絵本と来れば、画家の安野光雅さんを思い浮かべます。
津和野の安野光雅美術館も訪れて見たいところのひとつです。
◇ひらがなの躍るポスター運動会(浜田市・大島一二三:大串章選)
手書きのポスターは味があります。子どもたちが自分たちで作った運動会の
ポスター、催される運動会も手作り感溢れるものでしょう。
京都市右京区越畑という京都市内とはとても思えない町に冬になると右のようなポスターが掲出されます。「シーズン到来 猪肉、鹿肉・・ハンターよしあ
き」と美味しそうです。
写真は04年12月のものです。今もハンターよしあきさんは健在でしょうか?
◆朝日歌壇
◇顔きれい寝たきりの夫にパックする変な奥さん続けていくよ(昭島市・神保房江:永田和宏選)
介護されている方の歌も多いです。選者は「おどけた詠い方だが、その悲しみはいっそう深い。夫への語り口まで聞こえてきそうだ。」と評されています。
そうですね。深い悲しみを耐えて詠っておられるのですね。
◇もう急がなくともいいのと歩をゆるむ看取りを終へてひととせ過ぎぬ(福岡市・宮原ますみ:永田和宏選)
病者を抱えている間は、気も身体も小ぜわしくしていたのに、もう待つ人もなく急ぐ必要のないことが心の張りをなくしてしまったような。
◇父逝きて数時間にて葬儀社と掛け合ふことの現(うつつ)
悲しゑ(箕面市・大野美恵子:高野公彦選)
父の死を悲しむ間もなく、葬儀の手配などてきぱきとされているのでしょう。
葬儀が終わり、親戚も帰った頃にしみじみと父の死の実感を感じられるのでしょう。
◇ポケットの小銭で買いしワンカップ飲めば寂しい秋の夕ぐれ(竹原市・岡元稔元:馬場あき子選)
酒飲みはしょうがないですね。日が暮れかければ酒が恋しくなるものです。飲めば寂しい秋である。
◇どんぐりをぷちぷち踏みてゆく途はくりもくるみも待っている径(福島市・美原凍子:高野公彦選)
先日、サイクリングに出かけました。サイクリング道には台風の影響でしょうか団栗がいっぱい落ちていて、自転車のタイヤで踏むとパチ、パチと跳ねていま
した。
栗も胡桃も落ちているとは豊かな山ですね。
◇買い物で米四袋は持てないがおんぶに抱っこ20kg超え(調布市・西野千晴:高野公彦選)
「女は弱しされど母は強し」そのままですね。
我が家の娘たちも、華奢の身体をしながら、それぞれ二人の子をおんぶに抱っこで子育てをしています。
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