09/11/01 永六輔+矢崎泰久「ふたりの品格」
今朝は久しぶりに
天王山に登ってきました。
サントリー山崎蒸留所側から登りはじめました。歩き始めてすぐの椎尾神社には氏子と思われる人が何人も出て掃除をされていました。毎月1日は掃除の日で
しょうか?
しばらく登って行くと、シャベルや鶴嘴を持ったおじさん
やおばさんのグループに追いつきます。定期的にハイキング道を整備してくれている人たちのようです。お礼を言って先に登りました。
裏コースにあたるこの道ではいつも人に出会うことはありませんが、頂上からの表コースの下りでは、そろそろハイカーたちの活動時刻になってきて、何組か
のグループに出会いました。
そろそろ紅葉しているのではないかと出かけましたが、天
王山は常緑広葉樹林と竹林が多い山で、楓などの落葉樹は少ないのですがそれらの樹木の色づきも今ひとつでした。
京都西山界隈が美しい紅葉に包まれるのは11月も遅くなってからでしょう。
ご存知の永六輔さんと「話の特集」の元編集長の矢崎泰久さんの対談「ふたりの品格」を紹介します。
月刊「現代」の07年1月号〜08年4月号までに連載されたものが単行本化されていて比較的新しい話題も取り上げられています。
永六輔さんも矢崎泰久さんも1933年生まれで今年は76歳のはず、ほぼ全編が老人話題となっています。
◆転倒
年寄りに転倒は怖いことです。骨折したら直りにくく、寝たきりになりかねません。
矢崎さんは駅の階段を三十段も転げ落ちたり、公園で段差につまずいて転んだりされています。
転倒予防医学研究会というれっ
きとした団体があり毎年「転倒予防大賞」を募集されているようです。
2008年の転倒予防大賞は神奈川県の印南房吉さんの「杖
に灯りを付けて」が受賞されていました。
◆総入れ歯
お二人とも総入れ歯だそうです。76歳ではもっともなことです。最後の1本まで自分の歯がある間は総入れ歯にしないのか、あるところで割り切って総入れ
歯にするのかのタイミングは難しそうです。
ところで矢崎さんは電車の中でクシャミをしたら入れ歯が前のお嬢さんのところまで飛んでいったという武勇伝をお持ちの方だそうです。
◆薬を転がらないように
今では私も毎日薬が手放せなくなっていますが、フィルムから出す錠剤は丸くてころころ転がり見失うことがあります。
老人や弱者に優しいデザインをユニバーサルデザインといった運動があったように記憶していますが、今はどうなったのでしょうか?
視力も、握力も、、その他の生活能力が低下してくると、袋や箱、ボトル、缶などの開封がうまくできません。また、商品に書かれた文字もよく読めません。
売らんかなのデザインに凝るより、弱者に優しい製品を作ってほしいものです。
◆牢名主
病院と縁のなかった私も今年になってから、入院、通院と病院のお世話になっています。
入院中の廊下のベンチなどでは病気自慢、重い病気を経験した人ほど偉そうにしています。
軽度の脳梗塞の私など、こそ泥以下の扱いです。
◆岸田今日子さんの「誤解」
永さんが岸田今日子さんと不登校児の子どもたちが通う高校に授業に行かれたときの話を少し長いですが引用します。
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そこで彼女がこんな話を始めました。「私も不登校でした。お父さんに怒られても、お母さんに泣かれても、とにかく学校が嫌だった」と。夏休みがもうすぐ
終わりそうな時期になると、そんな彼女に、お母さんがこう言うんです。「二学期は頼むから学校へ行ってほしい。もし行ってみて嫌だったら、すぐ帰ってきて
もいいから」。そう説得されて、彼女は仕方なく学校に向かうんですね。
すると先生からいきなり「ハイ、夏休みの宿題を提出して」と指示されて、みんなはノートや絵日記を出し始めるけど、自分は学校に行ってないわけだから宿
題のことなんか何も知らない。困って自分の机の中を見ると、そこに宿題が全部入っていたんですって。「やっぱりダメだ」と思って帰ろうとしたら、先生が
「ハイ、今日子ちゃん、持っていらっしゃい」と言う。しょうがないから何も書いてない日記帳を先生に渡す。そうすると先生が「そうか、絵日記なんか書けな
いぐらい楽しかったんだ。よかったね」と話しながら、何も書いてない日記帳にマルを付けていくんです。それを見て彼女は「こんな先生のいる学校なら来ても
いい」と思って、その日から通うようになるの。
話は、それから数十年後。忙しくて行けなかった同窓会に、彼女は行くことにした。そこにあの先生がいらしていたので、彼女が「あのときのこと忘れませ
ん。何も書いてない絵日記の宿題全部にマルを付けてくださった」と言ったら、先生が「あれはマルじゃないよ。零点のゼロだよ」って(笑)。
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先生の言うようにゼロをマルと誤解して学校に行くようになったのでも、先生は白紙の日記帳を見て「日記が書けないほど楽しかったんだ」と激励しながらマ
ルを書いたとしても、どちらでも良かった。
茫洋とした岸田今日子さんを思い出させて、なんともいい話ですね。
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