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09/11/07 佐野洋「別人の旅」

 暖かな穏やかな立 冬でした。

 日本にあるアメリカ軍基地は、軍事同盟の相手である日本を守るために駐留しているのでしょうか?
 古くはベトナムへ、最近ではイラク、アフガンへの出撃基地となっているようにアメリカの世界戦略上の必要から日本に基地がおかれています。決して日本を 守るためではありません。

 岡留安則さんはマガジン9条の中で以下のように書かれています。
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沖縄に居座る海兵隊はグアムや米国本土に撤退しても今や軍事プレゼンス上は「ノープロブレム」なのだ。米国が日本の思いやり予算をどうしても手放したくな いというのであれば、自衛隊の訓練滑走路しかない無人島の硫黄島への県外移設でも十分だ。
---------------------「癒しの島・沖縄の深層」「普天間基地移設問 題、沖縄県民は怒り心頭である

 
アメリカ軍の普天間飛行場の辺野古への移転を沖縄県民の7割が反対しているにも関わらず 民主党政権は「県外、国外への移転」は公約ではないなどと言を左右にしています。
 明日(8日)は「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」が開かれます。
 大会が成功し、民主党の対米従属の姿勢を変えさせましょう

  佐 野洋さんの「別人の旅」(光文社文庫版)を紹介します。
 この本はたまたま
古本屋で買ったものです。香山二三郎さんの「解説」によると、1992年8月から93年4月まで読売新 聞夕刊に連載され、94年2月に読売新聞社から発刊され97年12月に光文社文庫化されています。
 本の後ろの方に病院の受付票が挟まれていました。受付票は埼玉県草加市の市立病院のもので
1997(平成9)年12月 20日8時47分の日付がプリントされていました。
 しおり代わりにされていたのでしょうか?12年も経って埼玉から大阪へ長い旅だったことでしょう。

 小説が書かれた90年代前期には各企業が「リフレッシュ休暇」という制度を作っていました。勤続年数の節目などに有給休暇と特別な休暇を合わせて1週間 か2週間、長いものは1ヶ月も休ませるというものでした。
 なにも管理しないで休ませる企業もあったようですが、一方では休暇中に何をするのか、結果はどうだったかと報告させる企業もありました。私は30年勤続 の折に1週間程度の休暇が与えられたようですが休んだ記憶はありません。

 小説はこの休暇中に起こる「事件」の謎解きがテーマになっています。
 その中の一編「兄を探す」を紹介します。

 出版社で編集の仕事をする竹平は勤続20年で2週間の休暇をとることができる。さて休暇中に何をするかと思ってみても会社から提供される情報では、パソ コンを習得したとか、夫婦で旅行に行ったとか、、「休暇のおかげで仕事にやる気がでた」などという会社に迎合したものばかりだ。
 竹平には休暇中に没頭するほどの趣味もなく、子どもが受験を控えており夫婦で旅行という気にもなれない。そんな時に妻の素子が竹平の会社で出している小 説雑誌を見て興奮している。その雑誌の「私の幼稚園時代」というグラビア欄に子どもの頃誘拐されたと聞かされていた兄に似た子どもがある作家と一緒に写っ ていた。

 こうして「兄を探す」休暇が始まった。
 兄が誘拐されたのは敗戦後の日本がアメリカ軍に支配されていた時代のことでした。結末の一部はなんとなく予想できましたが、その上を行くどんでん返しが あ りました。

 いつも期待を裏切らない佐野洋さんでした。
 ひとつ気になったのは主人公がテレビでナイター観戦をしている場面で「巨人」とチーム名を呼んでいました。佐野洋さんの正確な書き方ならば「ジャイアン ツ」でなければならないと思いました。連載の媒体が読売新聞だからのサービス精神でしょうか?

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