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09/11/15 映画「沈まぬ太陽」

 自民党の谷垣総裁 が趣味のサイクリング中に接触転倒をしたそうです。
 前任者はジョギングで健康をアピールしていましたが、今度はサイクリングです。
 谷垣さんは日本サイクリング協会の会長をしているらしい。CO2削減、健康増進のためにも欧米並みに自転車専用レーンの設置など環境整備に尽力してほし いものです。「自民総裁、サイクリング中けが=対向自転車と接触」(時事通信 09/11/15)

 それにしても「総裁」とは御大層な職名ですね。

  今までに職場で孤立することが何度かありました。そんなときに読んで力をもらったのが山崎豊子さんの小説「沈まぬ太陽」でした。
 不条理はいつの時代にも、どんな世界にもあるものです。
 不条理に対して誇りを持って節を曲げずにいられるか、野心や欲に負けて不条理を受け入れるかの2種類の人間がいます。主人公・恩地元には及びませんが、 正しいと思ったことを主張したために左遷させられていた私には恩地元の不屈の闘志に励まされました。

 何度も読み返し自分のイメージができている小説が映画化されたものは、自分のイメージと違う場合が多くてあまり見たくないないと思っていましたが、
映 画を観た人の評判を見聞きしているうちに観たくなってついに観てきました。映画「沈まぬ太陽」を紹介します。

 航空会社の労働組合委員長になった主人公が労働者のため に闘ったがゆえに会社から報復人事や虐めに遭いながらも矜持をもって生きて行く話しです。
 恩地は国民航空の委員長として労働条件の向上のために闘っていた。会社側はカラチ、テヘラン、そして自社便のないケニアのナイロビと海外を転々と異動さ せられます。
 ともに闘い同士とも思っていた行天は恩地を裏切って出世街道を歩んでいきます。
 520人の犠牲者を出した墜落事故、経営幹部の汚職、政官界との癒着などを絡めて思った以上に重厚に作られた映画でした。

 この物語のモデルは小倉寛太郎さんで、国民航空 (NAL)は日本航空(JAL)を思わせます。
 原作が週刊新潮に連載されていたときには
週刊新潮がJALの機内搭載を取りやめたほど で、映画化に対してもJALの御巣鷹山墜落事故を思わせて遺族の感情云々を口実に反対していたようです。

 誰が見ても国民航空は日本航空、NALはJAL、尾翼の桜丸マークは鶴丸マークを簡単に連想しますから、よく映画化できたものだと思います。
 いまのJALに強行に抗議、抵抗する力もないのでしょう。

 日本航空の経営破たんの原因を労働者や労働組合に押し付けるプロパガンダが張られていますが、経営者(多くは運輸官僚の天下りでした)の責任、政官の責 任を曖昧にしないことこそ民主党政権がやらねばならないことだと思います。

 上映時間は200分と長く、登場人物の多く映画でした。労働組合の役員をし行天の愛人として墜落事故の遺族会の分断に手を貸すなど重要な役を演じていた 松雪泰子さんや総理大臣の影の参謀・龍崎役の品川徹さんなど知らない人ばかりでした。

 国民航空から甘い汁を吸うダニのような運輸省の役人や新聞記者のような輩を知っていますが、金の魔力に憑かれていく様子は確かにそのとおりと思わせまし た。

 1980年代の政府や日本航空の役職を予め知っていると登場人物からモデルを類推するのもこの映画を観る楽しみの一つです。例えば、利根川首相は中曽 根?、竹丸副総理は金丸?、、、

 恩地の娘が「お父さんは自分勝手で、自分の好きなことばかりしている」と非難するところは私にも堪えるものでした。

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