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09/12/21 朝日俳壇、歌壇より

 昨日のアルコール 依存の続きをもう少し書きおきます。

 一人でいると来し方の悔いばかりが次から次へと思い起こされます。あの時あの選択をしなければ、あの時動かねば、あの時動いていれば、、、多くの人に迷 惑を掛け、裏切り裏切られ、、、働く場も得られない今の状態と悔いべきことは無限に現れます。
 そして、それは行く末への不安につながります。来し方を悔い行く末を案じていると不安はどんどん深くなります。
 不安を拭い去るために自死する勇気もなく、酒の酔いで一時的に悔いや不安を忘れ、酔いが醒めると自己嫌悪に陥り新たな不安の種を撒いたことに気がつくよ うなだらしなさです。

 ここまで書いて幾分気分はすっきりしました。
今夜も自己嫌悪の種を撒きましょう。

  21日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇熊の子ややや内股に走りけり(名古屋市・下出のり:長谷川櫂選)
 そういえば熊の子は内股でしたね。子熊のかわいさはあの内股にあったのかも。

◇何もかも六畳にあり老いの冬(新座市・三浦玉子:長谷川櫂選)
 老いてくれば広い部屋は要りません。六畳もあれば十分なこと。私も自分の部屋だけでほとんどの用事が済ませられます。
 トイレとキッチンだけがあればよい、老いるほどに必要なものがだんだん少なくなるようです。

◇クリスマス渋谷に少女湧く如し(相模原市・田中仁:大串章選)
 渋谷だけでなく地方の街でも綺麗な電飾に誘われて、誘蛾灯に集まる夏の虫のように若い人たち群れてくる。
 群れることが楽しいのでしょうか?

◇病棟の小走りといふ寒さかな(熊本市・西美愛子:稲畑汀子選)
 作者は病院で働く人でしょうか、入院患者でしょうか?
 病床で看護師の小走りに行く気配を感じている。もともと暖かさをイメージし難い病院をうまく詠まれている句だと思いました。

◆朝日歌壇
◇何ごとか背広に赤子背負いたる主任が部長室におりたり(調布市・水上香葉:佐佐木幸綱選)
 何事でしょうか?会社に赤子がいる、それも男が背負っている、とどめは部長室である。真相を知りたくなる不思議な歌です。

◇柿の木は実も葉も消えてその姿謹厳実直冬に入りゆく(中央市・前田良一:佐佐木幸綱選)
 実も葉も落とし裸木となった木は男のイメージですね。裸木はその木の性格が出るようです。
 謹厳実直な柿の木、父親を見るようです。

◇市庁舎の庭の電飾の煌々と商店街は暗黒通り(行方市・額賀旭:高野公彦選)
 近年、街の電飾が好きになれません。けばけばしい化粧をしているような、本当の街の姿を覆い隠しているような、その街には隠さなければならないことがあ るような、そんな気がしてなりません。
 市役所の庭だけが煌々と輝いている、何かを象徴しているような歌です。

◇駅を出て自宅の見える角手前仕事の顔を鞄へしまふ(匝瑳市・椎名昭雄:高野公彦選)
 人はいくつかの顔を持って生活していると思います。私も勤めをしていたころ帰りの電車の窓ガラスに映る自分の顔がオンからオフに変わってゆくことを経験 したことがあります。
 自分を殺して「社畜」として働いてきたが、角を曲がれば夫に父親に人間に戻って行かれるのでしょうか?

◇癌病みて良と賢の字無しにしたただの妻でただの母です(長崎市・岸川しずか:永田和宏選)
 女の人には社会の注文が多いことです。良妻賢母なんてくそ食らえです。患わなくても良も賢も捨てて捨ててしまえば楽でしょうに。歌は良妻賢母として生き てこられた方が病を得て肩の荷を降ろされたのでしょうか。

◇それぞれに少しはしゃいだ送別会もうこの町にくることもない(静岡市・堀田孝:永田和宏選)
 激しい歌です。自分が働いていた職場のあるこの町のもう来ることもないとは何があったのでしょう。
 楽しい振りをした送別会だったのでしょうか?

◇正論を険しき顔で説かるるも理解と納得は同一ではない(横浜市・水口信静:永田和宏選)
 「正論」とは厄介なものです。「正論」を吐かれたら頭から否定するわけにもいかず、さりとて同意して従うわけにも行かず厄介なものです。
 以前にも朝日俳壇からこんな句を紹介したことがあります。
 <正論を聞かされてゐる寒さかな>(古田哲弥)
 <熱燗や正論ときに誤解生み>(吉田柳哲)

◇普天間普天間わが知らぬ地に人は生き苦しみ続く時移りつつ(加賀市・敷田千枝子・馬場あき子選)
 沖縄に行ったことがありません。普天間も辺野古もアメリカ軍基地も知りません。でも、そこに住む人々の苦しみが分からないわけではありません。
 人間は人に思いを馳せることができるイメージすることできるのです。ジョン・レノンも歌っていました。想像すれば国境もない、宗教もない、殺す理由もな いと。

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