10/01/20 赦し(ゆるし)
嗚呼、また飲んで
しまいました。飲んで躁になれるならまだいいのですが、飲んでは自己嫌悪に陥っています。
今週の「マガジン9条」の巻頭に
「死ぬなよ・・・」と題した記事がありました。少し長くなりますが引用します。
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「死ぬなよ…」
切ない言葉です。
1月15日夜に逮捕された石川知裕衆議院議員の父親は、逮捕直前の電話で、息子に「死ぬなよ」と言ったといいます。何があっても子どもの命だけは守りた
いという親心がにじんでいる。多分、それは涙声だったでしょう。
これまでに、いったい何人が政治の闇の中で、自ら命を断っていったでしょうか。大きな疑獄事件が起きるたびに、事件の中心人物ではない人間が、誰を守ろ
うとしてか、何を隠そうとしてか、語ることを避けて闇の中へ消えていったのです。生きていれば語らざるを得ない。ならば、言葉のない世界へ行けばいい。そ
う思い込んだ、いや、思い込まざるを得なかった人たちの悲劇。
そのことを、石川議員の父親も感じていたのでしょう。
ほぼ同時に逮捕された池田光智元秘書については、しばらく行方がつかめなかったことから、検察は「自殺のおそれがあると判断して逮捕を急いだ」ともいわ
れています。
政治とは、人間を狂わせる魔力を持っているのかもしれません。そういえば、ライブドア問題の際、「偽メール事件」で政界を去った永田寿康元民主党衆院議
員が自死したのは、2009年1月のことでした。たった1年前のことなのに、もう誰も彼のことを語りません。
「死ぬなよ……」
なんと悲痛な言葉でしょう。
何があっても死ぬことはないのです。守るべきは人間の尊厳であって、決して個人や組織の秘密などではないはずです。
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死ぬことはない、高々派閥のボスのために。
民主党の小沢幹事
長の政治団体の政治資金疑惑で逮捕された石川知裕衆議院議員の取調べの全過程を録画、録音(可視化)するように弁護人が申し入れたという報道がありまし
た。
その弁護人の一人がオウム真理教の松本智津夫死刑囚、山口県光市の母子殺害事件、和歌山毒カレー事件の弁護人だった安田好弘弁護士だったのには少し違和
感を感じました。
「石川議員の弁護士、取り調べの可視化申し入れ」(朝日新聞 10/01/17)
Wikipediaによると安田弁護士の担当した主な事件は下記のとおりですが、これらの事件と今度の政治資金疑惑事件とは異質のような気がします。
◇新宿クリスマスツリー爆弾事件、仙台米軍通信施設爆破事件
◇埼玉県宮代町母子殺人放火事件
◇新宿西口バス放火事件
◇グラントハイツ強盗予備・致死事件
◇北海道庁爆破事件
◇宇都宮病院事件
◇山梨幼児誘拐殺人事件
◇ドバイ日航機ハイジャッ
ク事件・ダッカ日航機ハイジャック事件
◇山岳ベース事件・あさま
山荘事件
◇名古屋アベック殺人事件
◇オウム真理教事件
◇和歌山カレー事件
◇耐震強度偽装事件
◇光市母子殺害事件
◇政治資金規正法違反疑惑
安田弁護士は世間のバッシングを受けながらも凶悪事件の被告の弁護を引き受けている人権派といわれる弁護士です。
安田さんは死刑制度に反対されているそうですが、どのような考えを持っておられるのかと思っていました。「無
実の死刑囚・元プロボクサー袴田巌さんを救う会」の主催された講演会の記録がありました。(「キラキラ星通信」第61号掲載記事)
講演録の最後に「赦し」について話されている項がありました、死刑問題を考える上で示唆に富む話だと思いますので紹介します。
安田さんは「名古屋アベック殺人事件」の控訴審の弁護を担当されています。
名古屋アベック殺人事件とは1988年2月に起こった少年5人と20歳になったばかりの青年との6人でアベックを襲って女性を輪姦し、金を奪い、
男性を殺し、次に女性を殺して穴を掘って埋めたという残忍な事件です。
一審は主犯とされた少年に「この子達は鬼畜にも勝る。まして
や命乞いをした男の子を、命乞いをしているにもかかわらず、それを聞きながら殺した。これはもう絶対許せない事だ。だから少年でも死刑だ」
と死刑が言い渡された。死刑判決後少年の両親らは被害者の男性、女性の両親の元の謝罪に行ったけれども当然ながら会ってもらうことができなかった。特に女
性の父親は厳しい人で激しい怒りは収まらなかったそうです。
控訴審の無期懲役が確定してから少年と安田さんとの音信は途絶えていたそうです。
10年後に元少年の母親から「うれしい知らせを伝えたい」と手紙が来た。
元少年は被害者2人の両親に謝罪の手紙と作業報奨金を毎年送っていたのですが、少女の父親から「謝罪の手紙と作業報奨金を仏壇に供えた。返事を書かなけ
ればならなかったのだが病気をして今になった。ごめんなさい。とにかく頑張ってください」という手紙がきたとのこと。
安田さんは次のように言われています。
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彼を死刑にした場合に、この十年後の赦しはあっただろうか。お父さんは、もし彼の謝罪がなかった
ら、今のような気持ちになれただろうか。憎しみが残ってたかもしれない。僕は死刑は絶対なくさなければならないと思ってるんです。それは人道に反するだけ
じゃなくて、死刑によっては絶対にものを生まない。人間の信頼は回復しない。僕はそれを見て、人間はこんなにすごいものなのか、人間はこれほど信頼できる
ものなのか。この元少年は、僕たち別れる時に、謝罪を続けるなんてひとことも言いませんでした。でも彼はずーっと謝罪を続けていたんですよ
ね。彼は赦してもらおうとして一所懸命頑張る。謝罪の手紙を書きたいと言った時に、刑務所は書かせなかったんです。なぜか。被害者の気持ちをまた混乱させ
るからだと。せっかく事件を忘れているのに、加害者から謝罪の手紙が来ると心の平安を乱すと。彼は、それでも謝罪させてくれと二年間頑張った。二年目によ
うやく出せるようになったんです。
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この講演録には司法制度の問題などが詳しく書かれています。そのうちに紹介できればと思います。
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