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10/02/24 日 米安保

 (バンクーバーオ リンピックで)「日本勢が不振なのは誰が見ても確かだと思いますね。選手が思ったより高く飛べない、走れないというのは、重いものを背負ってないからだと 思うんだよ。国家というものを背負ってないからだと思いますね。」

 呆れかえる発言です。誰の発言だと思いますか?
 オリンピックを東京に誘致しようと150億円も無駄に使った石原都知事の発言です。(「石原語録:知事会見から」毎日新聞 10/02/20)
 スポーツを国家のために利用しようとするヒットラーのような感覚です。

 最近、
週刊朝日の山口一臣編集長やジャーナリストの上杉隆氏が出演するラジオ番組を聴く ことがありました。
 彼らは、小沢民主党幹事長の政治資金疑惑や障害者割引郵便制度の悪用事件
を取り上げ、検察の権力による民主党政権潰しだ と検察と検察寄りの報道しかしないマスコミを批判しています。民主党政権も大きな権力ですし、マスコミ批判のうち記者クラブ批判はあたっているのでしょう が、日常垂れ流されている事件報道がどれほど多くの人を傷つけているか考えてほしいものです。

  日本政府がアメリ カに従属的な態度を取り続けることの現れの一つにアメリカとの間に不平等な日米軍事同盟(日米安保条約:日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)があるからだと思っています。
 アメリカの軍事基地が日本にあることの根拠も日米安保条約が前提となっています。日本からアメリカの軍事基地をなくすには日米安保条約を破棄することで す。

 そんな日米安保条約についてビル・トッテンさんがコラム(Our World)に書かれていますので紹介します。

◆基地問題の根本は日米安保
 基地問題の根本的は、基地の移転ではなく日米安全保障条約にあると明確に指摘されています。
 民主党政権に代わり、日本がアメリカと「惜別」して独立国としての運営がなされることを期待したが、条約改定50年にあたり鳩山首相が「日米安保体制の 強化する」と言ったことには期待し過ぎだったと、民主党政権もアメリカへの隷属的関係を維持しようとしていることに失望されています。

◆第1条「国際紛争の平和的解決」

 日米安保条約の第1条には次のように書かれています。

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 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしない ように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合 の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。(以下略)
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 トッテンさんは「いつアメリカが
いつアメリカが国際紛争を平和的に解決しようとしたのか。ベ トナムやイラク戦争をみるといい。またグレナダ、ニカラグア、ユーゴスラビア、そしてアフガニスタンでアメリカは何をしたのか。アメリカがこの条約の通り に振る舞い、武力による威嚇や行使を1960年からしていなければ、今頃世界はずっと平和で安全な場所になっていただろう。」と言われています。

 まったく、そのとおりです。この第1条は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力 の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と定めた憲法9条があるために日本国民を騙すための詭弁としか思えません。

◆第5条:アメリカは日本を守るのか
 歴代の自民党政権も、鳩山首相も日本の安全のためにアメリカとの軍事同盟が必要との認識に違いはありません。
 それは日米安保条約の第5条を根拠にしているのでしょう。第5条は次のように書かれています。

-----------------
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法 上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。(以下略)
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 よく読んでみれば「日本が武力攻撃されても、アメリカの平和及び安全を危うくすると認めたら、アメリカの手続きに従って共通の危険に対処する」の意味で はないでしょうか?

 「これは、どこかの国が日本の国土に攻撃をしてもそれがア メリカの国土や安全保障にとって危険でなければ、つまり共通の危険でなければ、アメリカは日本を守らないということではないか。または日本の防衛を手伝う ことがアメリカの平和や安全を危うくすると思えば、もちろんアメリカが日本を助けることはないだろう。要はこの条文はきわめて曖昧な約束なのだ」と。

 アメリカの安全が最優先されるのであって日本の安全はその埒外であると言うことでしょう。

◆第6条:アメリカ軍が日本に居座る根拠

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 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及 び区域を使用することを許される。(以下略)
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 この条約の真の目的は第6条にあるのではないでしょうか。
 「日本の安全」とは前条のようにアメリカの安全の範囲内でということ、「極東の安全」とはアメリカの軍事戦略のためであり日本国及び日本国民の安全でな いことは中学生でもわかることではないでしょうか。

 トッテンさんは次のように締めておられます。
 「条約の内容を議論もせず、なぜ政治家やメディアはアメリカが同盟国として日本を守ってくれるといい続けるのだろう。そして沖縄の基地問題、自然破壊、 米軍 による犯罪を他人ごとのように放置しつづけるのだろう。
 安保条約はアメリカが日本を軍事占領するための条約にすぎない。それを読めば誰でもわかるはずだ。」(
日米安全保障条約Our World 10/02/22)

 ぜひ、日米暗線保障条約をお読みください。外務省のホームページより転載します。

-------------------------日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
 日本国及びアメリカ合衆国は、
 両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、
 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、
 国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、
 両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、
 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、
 相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、
 よつて、次のとおり協定する。

第一条
 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしない ように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合 の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。

第二条
 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長すること によつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協 力を促進する。

第三条
 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条 件として、維持し発展させる。

第四条
 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一 方の締約国の要請により協議する。

第五条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法 上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならな い。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

第六条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及 び区域を使用することを許される。
 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全 保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

第七条
 この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではな く、また、及ぼすものと解釈してはならない。

第八条
 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力 を生ずる。

第九条
 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。

第十条
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認め る時まで効力を有する。
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、 この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。

 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。

 千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

日本国のために
 岸信介
 藤山愛一郎
 石井光次郎
 足立正
 朝海浩一郎

アメリカ合衆国のために
 クリスチャン・A・ハーター
 ダグラス・マックアーサー二世
 J・グレイアム・パースンズ
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