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10/06/02 映画「カティンの森」

 鳩山首相が政権を 投げ出しました。
 首相や政権与党の幹事長が辞任してどうなるのでしょうか?

 普天間問題は、ルース駐日アメリカ大使が
「政府間の合意であり、日米両国は協力しながら前に進めていく。日本の首相は日 本国を代表している」と牽制するように二国間の約束となっています。首相交代でも合意履行を=米大使がけん制−普天間移設」(時事通信 01/06/01)

 労働者派遣法は抜け穴だらけ、後期高齢者医療制度は廃止どころか手付かずで先送り、、、
 4年間は増税しないと言っていた消費税は増税、法人税は減税と、なにが「国民が主役」の政治なのでしょう。
 大企業やアメリカに物が言えない民主党では誰が党首、首相になっても変わりのないことです。
 そろそろ、民主党政権なら何か変わるという幻想から覚めましょう。

 作家の高村薫さんは朝日新聞に次のコメントを寄せられています。
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 せっかく政権交代をしたのだから、自民党のように支持率が落ち込んだからといって頭をすげかえるようなことはしてほしくなかったと思う一方で、鳩山さん は首相の資質として容認できる限界を超えていた。掲げた理想は素晴らしかったが、政治は結果がすべて。普天間問題に象徴されるように、あてのないことを内 外に公言してしまうのは社会人としての資質を疑うほど深刻な問題だ。政権発足当時、私たちは「政治主導」という、これまでの日本ではなかった新しい政治の 仕組みに期待した。でも、ふたを開けてみれば高速道路、郵政は逆行し、公務員制度改革は進まない。結局は小沢幹事長が取り仕切る「ニュー自民」に過ぎな かった。鳩山さん自身も限界だっただろうが、私たちの忍耐も限界だった。
----------------------「高村薫氏『
ニュー自民に過ぎなかった』 首相辞任」(朝日新聞 10/06/02)

 「ニュー自民党」というより旧態依然の「オールド」自民党のような気がします。

 言葉巧みに論じてみても所詮は参議院議員選挙目当てに首を挿げ替えるだけのこと、国益、国難などといっても「民主党の利益、民主党の危機」と読み替える ことができます。
 使い古された自民党の常套手段をまたぞろ使おうとしています。

 鳩山首相は退陣を表明した民主党の両院議員総会で「米軍普天間飛行場移設と「政治とカネ」の問題で、政権与党に対し国民が徐々に聞く耳を持たなくなっ た」と発言したそうです。「『国民が聞く耳を持たなくなった』 首相、退陣の弁」(朝日新聞 10/06/02)

 「聞く耳を持たない」とは、こんな使い方をするのでしょうか?
 言っていることが正しいのに相手が理解しようとしないような状態を言うのではないでしょうか?
 政府は正しいことを言っているのに国民が理解しようとしていないということでしょうか。何様のつもりなのでしょう。国民を馬鹿にしています。

  そ れぞれの国には悲しい歴史があるものです。

 4月10日、ポーランドのカチンスキ大統領が飛行機の墜落事故で死亡するという事故がありました。

 カチンスキ大統領と政府高官らの乗った政府専用機はロシア西部で行われる 「カティンの森事件」の70周年追悼式典に出席する予定だったとのことです。ポーランド大統領機墜落 大統領ら97人全員死亡」(朝日新聞 10/04/11)

 「カチィンの森事件」とは、1939年9月ドイツ、ソ連に占領されたポーランド軍の約15000人の将校がソ連軍の捕虜となり軍用列車で東に運ばれたま ま消息不明となります。ドイツ軍により旧ソ連領のスモレンスク近くで虐殺され埋められた遺体が発見されますが、ナチスドイツはソ連の仕業と、ソ連はナチス の仕業だだとそれぞれプロパガンダに利用します。
 後に、スターリンによる計画されたポーランド人虐殺事件であったことが明らかになりますが、冷戦時ソ連の影響下にあったポーランドでは公にされることは なかった。

 その「カティンの森事件」をテーマにした映画
カティンの森」を紹介します。

 1939年9月、ポーランド軍将校の夫アンジェイを探しに混乱の中を母アンナと娘ニカは東へと向かいます。ところが東からはソ連軍が参戦してきた聞かさ れます。
 探し当てたアンジェイはソ連軍の捕虜となって列車に乗せられて運ばれていきます。
 アンナとニカがようやく帰ったクラクフのアンジェイの両親の家でも、大学教授の父がドイツ軍に捕らえられ収容所で「病死」したと伝えられます。
 夫や兄や息子を待つ女、戦争に翻弄される人たちが何組も登場します。

 ソ連の虐殺だとプロパガンダに利用しようとするドイツに協力しない女性、兄の墓碑に「1940年カティンにて死す」と書いたために反ソの罪で逮捕される 妹、捕虜となったが生き残ってソ連側の主張を代弁していることに耐えられずに自殺する元将校、、、

 原作はアンジェイ・ムラルチクの「カティンの森」だそうです。ゆっくり原作を読んで見たいと思います。

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