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10/06/04 井 上ひさし「わが蒸発始末記

 消費税増税推進論 者が首相の座につきました。
 看板を変えて票を掠め取ろうとの魂胆が見え見えです。

 新首相も前内閣の重要ポストにいた人物です。
 この人は首相と政権党の幹事長の政治資金疑惑に対してどのような態度をとったのでしょうか?
 普天間基地の返還問題を「辺野古周辺に『移設』」に決めた当事者の一人だったのです。

 テレビのバラエティもどきの番組に出て偉そうに論じている「評論家」の何人かは官房機密費を懐に入れていた奴だと思うと言葉が白々しく聞こえてきます。
 例えば子供手当ての財源がないと問題を論じる時、無条件に消費税増税だというような奴は少なくとも大企業の代弁であり弱者の味方ではありません。

 前首相が退陣の理由とした政治資金の問題は企業や団体からの献金を受け取り大企業や団体に都合のよい政策をしている限り続くことでしょう。
 もうひとつの普天間の問題はアメリカに対等の立場でものが言えない限り解決しないことでしょう。
 大企業から一銭のお金も貰わず言うべきことが言え、アメリカと対等平等の関係を築くことができる勢力が伸びなければ真の解決はありません。

  先日亡くなられた井上ひさしさんの4月9日を「吉里吉里忌」としましょうと呼びかけておられる記事がありました。(マガジン9条・やまねこムラだより・井上ひさしさんが残したも の

 井上ひさしさんが亡くなられてから井上作品を読むようにしています。今回はエッセー集「わが蒸発始末記」を紹介します。
 中公文庫なのですが、文庫の巻末によくある解説もあとがきをなくて少し楽しみがなくなりました。
 初出一覧に拠ると1971(昭和46)年から1994(平成6)年までに新聞、雑誌などに発表されてものです。この本の初版は09年3月です。

 いくつかのエッセーを紹介します。
◆喜劇は権威を笑う(「読売新聞」1971年3月9日)
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 ガンの名医が「あなたはガンです。手術をしましょう」と言うなら、わたしはおそれおののきながらもその言に従うし、地震学の権威が「大地震が近い」と発 表すれば、わたしはなるべくなら、郊外のわが家から都心に出るのはよそうと考える。つまり、それぞれの専門における権威を認めるにやぶさかではないのだ が、地震学の権威がもっともらしく
「あなたはガンです。手術をしましょう」と告げても手術台に乗りはしないし、ガンの名医 が「大地震が近い」といっても影響されないであろう。しかし、世の中は巧妙にして複雑であるから、いつの間にかある権威がしかつめらしく大真面目に、他の 分野や、わたしたちの生活にまでその爪を伸ばし、こっちの自由を押さえつけにかかるときがある。このとき、喜劇の手法が非合理の権威や不合理の神のばから しさを、その正体をあばくのである。
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 長い引用になりました。
 テレビでは芸人や芸人崩れ、タレントなどがしたり顔で政治を論じています。

◆人間ドック体験記(「週刊朝日」1974年9月6日号)
 20日ほど入院されたとき医師と話をしたのが1時間弱だった、医師と患者の関係が希薄で、その原因は健康保険制度では
一 言話すもの、1時間話すのも同じ「慢性疾患指導料」となり160円だということにあると指摘されています。

 日本を吉里吉里国なみに
「医学立国」したらどうかと提案されています。
 全国に200も300も医科大学を作り、貧しくとも向学心のある少年に官費で学ばせ、世界に名のある医学者を集め「日本に行けば万病が治る」という評判 が立ち、世界の高名な人たちが日本に来て療養するようになるではと

◆鴻ノ台だより2(「面白半分」1979年7月〜10月号)
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 このたびのヤクルト球団のやり口は不明朗ですね。突然、監督代行などという役目を押付けられた佐藤孝夫さんも、広岡さん、森さん、植村さん同様に気の毒 です。この佐藤孝夫さんの高校時代(宮城県白石高校の名遊撃手でした)からの熱狂的なファンで、彼が国鉄スワローズに入団した昭和27年以来、ずうっと 「スワローズ!スワローズ!」と声をからしてきたのですが、もうヤクルトという名前がスワローズの上にかぶさっている間は、ヤクルト飲料もヤクルト整腸薬 も飲みませんぞ。不明朗なものを口にすると下痢腹になるおそれがある。
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 1978年広岡達郎監督のもと初めての日本一になったスワローズは、翌79年開幕から下位に低迷し球団は森昌彦ヘッドコーチと植村義信ピッチングコーチ を二軍に降格するよう広岡監督に勧告するも広岡監督は拒否した。ところが球団は森、植村亮コーチの無期限休養を発表したために広岡監督は辞任、佐藤孝夫 バッティングコーチが監督代行を務めるという事件について怒っておられます。
 昨年3年ぶりのAクラスを確保したスワローズは今年は低迷し高田繁監督が辞任しています。監督のシーズン途中の辞任はお家芸のようです。

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