10/06/15 嵐
山光三郎「おはよう!ヨシ子さん」
翼賛報道のマスコ
ミは消費税増税の大合唱です。
貧乏人に重く、金持ちに軽い不公平な税金です。消費税は撤廃してもらいたいと思っています。
7月の参議院議員選挙では、福祉目的だとかどんな理由をつけようとも消費税増税を掲げる勢力には投票しません。
消費税増税に頬被りする勢力にも投票しません。
明確に消費税増税反対、消費税撤廃を叫ぶ勢力に投票します。
子どもや老人などへの福祉施策の財源は金持ちから取ればいいのです。
金持ちのカネは自然に生まれてきたものでも、土や砂から作り出されたのでもありません。
社会の中で貧しいものから富めるものへ移動されただけですから。
嵐山光三郎さんの「おはよう!ヨシ子さん」を紹介します。
父が亡くなり同じ敷地内の別棟で一人暮らしとなった母・ヨシ子さんの日常を書き残そうと始められた母親賛歌のようなエッセーです。ヨ
シ子さんは大正6年生まれで90歳を超えておられます。私の母は大正7年生まれですから1歳違いとなります。
ヨシ子さんは62歳でNHK俳句学園に5年通われたそうです。その後句誌「カリヨン」に
所属、父も句誌「日天」の同人だったそうです。嵐山さんの軽妙な文章とヨシ子さんの句が楽しい一冊です。
初出は日経新聞、週刊朝日などへの連載ですが、大幅に加筆したとあります。
◆正月
ヨシ子さんの日課のひとつに父の仏壇にご飯を供えることです。
◇雑煮椀ひとつ供えて二人かな
この句を見て嵐山さんが「いい句ですねえ」とほめると、ヨシ子さんは「こういう気分は老人じゃなきゃわかりません」とお応えになったとか。なるほど。
◆男兄弟
嵐山さんは男ばかり3人の兄弟だそうです。息子ばかりでは嫁入りに持ってきた雛を飾ってもはれません。
◇雛あられ男ばかりを育てけり
◆循環バス
この頃は小さな町でも循環バスといって小型バスが大型路線バスが通らないルートを走っています。ヨシ子さんはお友たちと隣町まで買い物やランチにこのバ
スを利用されているそうです。
◇菜の花や循環バスの乗りごこち
◆未来
年をとっても今この瞬間から先は未来という時空です。
老人にも未来はあるぞ。
◇花吹雪われに未来のありやなしや
遠慮がちに「ありやなしや」がかわいいです。
◆桐の花
ヨシ子さんは浜松の生まれ、実家の庭には蔵が建ち、その横に桐の古木が花を咲かせているそうです。
◇白壁の蔵の小窓や桐の花
桐ならこんなのはどうかと作られたのが下記の句。
◇老いてなお望みもちたし桐の咲く
◆パンの黴
ヨシ子さんは新聞の折り込みチラシの裏に句を書かれるそうですが、紙片に書かれた句を見せて「この句はどう?」と聞かれたそうな。
◇変わりなき独り暮しのパンの黴(かび)
同人誌にこんな句を投稿されたら息子として立つ瀬がないと「カビ臭い句だなあ。変わりなき独り暮しが、よくない」といわれたそうです。そうして推敲(改
稿)された句が下記の句です。
◇ふとみればぽつんぽつんとパンの黴
変わるものですね。カビ臭くなくなりました。
◆余生
句会に出された句を先生が「余生なんてまだまだ先のこと」と言われた句と改稿された句をなられてみます。
◇秋風にくすり減らして余生かな
◇秋風にくすり減らして小旅行
◇さずかりし余生生きおり星月夜
◇賜りしいのち愛しむ星月夜
改稿された句のほうが未来や希望を感じさせられます。
◆断食死
宗教学者の山折哲雄さんの「生老病死の人生八十年」という本に『「断食死」のすすめ』という項があるそうです。
山折さんは「最後の段階で断食をして死にたい」と決意されているそうで、断食死を「みずからの意志だけでおこなう、かぎりなく自然死に近い安楽死であ
る」といわれているそうです。
断食死なら私にもできそうです。自死したくなったら断食をしてみましょう。極楽往生できるか知らん。
◆父の一周忌
お住まいの国立には桜の名所があるそうです。父の一周忌を花の寺でされたそうです。
◇さようならと虚空に言って花の寺
◆梅雨
ヨ
シ子さんは杖を持って近所を散歩されるのが日課だそうです。
◇梅雨の傘杖ともなしてパン買ひに
◆句風
所属されている結社が違うと句風も違ってくるようです。下記はお父さんの句です。師が違うと夫婦でも句風がちがう、なんとなくわかるようなわからないよ
うな。無骨な男の句との印象が強いと思いました。
◇読みかけの新聞のある春炬燵
◇敗戦の生残りわれ蝿叩く
◇戦友は月に宿るか魂祭
◇東京の焼かれたる火や春寒し
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