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10/06/30 天木直人さん「私と日米同盟」

 大相撲の野球賭博 に関する「特別調査委員会」の座長が日本相撲協会の(外部)理事であることは茶番ではないかとと昨日の「残日録」(10/06/29)書きましたが、もう少し突っ込んで書いた記事がありま した。
 マガジン9条のマガ9スポーツコラムに
芳地隆之(ほうち・たかゆき)さんの変わらずに生き残る ためには変わらなければならない─大相撲の野球賭博問題」と題する記事です。

 冒頭の部分を引用します。
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 「琴光喜(の処分)は当然やるよ。一番のクビだよな」
 大相撲の野球賭博問題を巡る記者会見上、早稲田大学特命教授の伊藤滋氏がこう語ったとき、私は強い違和感を覚えた。
 この問題の特別調査委員会の座長を務める伊藤氏は日本相撲協会の外部理事である。「外部」とはいえ、日本相撲協会の役員という当事者が、調査の責任者に なることに説得力はあるのだろうか。しかも責任ある立場の人間が、平然と力士に「クビ」を宣告する。この言葉の軽さに、私は「裁く者」と「裁かれる者」の 馴れ合いさえ感じた。
 日本相撲協会、横綱審議会、大相撲記者クラブなど、大相撲を取り巻く人々は、力士が常習的に賭博を行っていたことをまったく知らなかったのだろうか。も し、知らなかったのであれば、知らなかったことへの責任も問われるべきであるし、知っていて黙認していたのであれば、「黙認」の理由を語るべきである。
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 伊藤滋氏の記者会見でのためぐちはちゃらんぽらんにあるいは横柄に見えて嫌いですが、この「クビだよな」
発言は特別調査 委員会の勧告が出される前の調査段階でのものです。
 (外部)理事かも知れませんが「文科省の芦立訓・競技スポーツ課長は、外部有識者による調査チームを設置し、調査結果については可能な限り公表するよう に求めた」(「大相撲:大嶽親方ら聴取へ…協会、野球賭博を調査」 10/06/17)、文科省のいう外部有識者に協会の「外部理事」が含まれるとは思われません。
 また大相撲を取り巻く人たちが常習的な賭博行為を知っていたのではないかとの指摘はそのとおりです。そんな輩がテレビや新聞で「良識」を語るのは許せま せん。

 記事は最後のこのようにしめてあります。

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 変わらずに生き残るためには変わらなければならない――というのは、ルキノ・ヴィスコンティの映画『山猫』でバート・ランカスター演じるシチリア島の貴 族がつぶやくセリフである。イタリアが近代国家になろうとしていく19世紀後半、時代の変化と自らの地位の終焉を感じ取った男の言葉だ。日本では数年前に 民主党の小沢一郎氏が使ったことで有名になったが、いまの相撲界にとって、これ以上にふさわしい言葉はないと思う。
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  天木直人さんは名前を聞いたことがあるくらいでしたが、講談社の「G2」というサイトにインタビュー記事(「天木 直人『私と日米同盟』」)が掲載されていましたので読んで見ました。
 いろいろ考えさせられましたので紹介します。

 天木さんは駐レバノン大使だった03年、アメリカのイラク攻撃に反対する意見を日本政府に具申したことにより大使を解任され事実上の解雇処分とされてい ます。

 本人による事実経過は次のようなものです。
◇(2003年)3月14日(現地時間)意を決し、小泉首相、福田官房長官に直訴する形で、イラク攻撃反対の意見具申を打電したのです。
◇結果的にはそれから一週間後の3月20日に米国のイラク攻撃が始まりました。
◇小泉首相が「米国の攻撃を支持する」と待ち構えていたように宣言したのです。
◇日本がなすべき事は一日もはやく米軍の攻撃を止めさせることではないのか。小泉首相みずからが欧米に駆けつけ停戦交渉を各国首脳に訴える事ではないの か。そう思って3月24日に二本目の電報を打ちました。小泉外交は間違っている、日本としてとるべき外交は一刻も早く戦争を終結させることである、平和の 回復を訴えることであると打電しました。
◇(北島官房長から)7月中旬に帰国命令を出す、帰国後は外務省を辞めてもらう事になると引導を渡されました。
◇8月21日に帰国した私は8月29日(金)付をもって大使を解任され、同時に外務省の職を解かれました。
 (「自衛隊イラク派兵差し止め訴訟 原告意見陳述書 原告天木直人」より抜粋)

 天木さんの発言を掻い摘んで紹介します。インタビュー記事の中には天木さんの近著「さらば日米同盟!」からの引用もありますが、ここでは区別せずに紹介しま す。

◆外務省の条約局長が書いたと言われる安保条約の解説書には「米国が日本を守ってくれるかなどという疑念を持つこと自体、米国に対し失礼である」と書いて あったそうです。

◆日米同盟という日本とアメリカとの軍事協力関係を、他国の外交官と議論することはありませんでした。他国の国民や一般的な有識者は、そんなことに関 心がありませんから。しかし話をしてみると、言葉の端々から「日本は要するにアメリカの属国だ」と捉えられていることを知りました。

◆私はこの本(
さらば日米同盟!を、日米同盟をなくしたいという思いで書いたわけです。日 本の外交は、この日米同盟がある限り、変わらないし、変われない、という非常に強い確 信がありましたから。

◆私が鳩山民主党政権でいちばん落胆したのは、「対等な日米同盟関係」という言葉が出てきたことなんです。それはありえないことです。アメリカの軍事政策 は どの国の影響も受けません。ヨーロッパの国々でさえ、「対等はない」と言っているほどです。
 それほど強力な軍事力を誇るアメリカと、日本が対等になれるわけがありません。だから日米同盟が存在する限り、日本はアメリカの意向にしたがうしかあり ま せん。だから「対等」なんて言葉を聞いた途端、「これは必ず失敗する」と思いましたね。

◆(戦争は悪、自衛隊は違憲だと言っても国民を説得できない、改憲して強い軍隊により自主防衛、核武装も現実的でない)ではどうするか。日米同盟なしで日 本を守るには、専守防衛の自衛隊、平和外交、集団安全保障政策の三位一体の自主防衛策の確立です。
 自衛隊は専守防衛の、日本を守るための自衛隊にせねばなりません。国民はすでに現実のものとして自衛隊を受け入れているし、憲法は専守防衛を認めてい る。 ところが今の自衛隊は、アメリカの戦略に組み込まれて、その意のままに動いています。それを本来の姿に戻さねばなりません。平和外交と集団安全保障につい ては、東アジア全体で連帯する必要があります。

◆外務省は昔も今も日米同盟しか見ていない。そればっかりなんですよ。実際、この本を書き始めたときは、鳩山さんが言い出した「対等な日米同盟」などあり え ないことを説明するつもりだったんですが、鳩山内閣は倒れてしまった。その後は菅さんが首相になって、自民党よりももっと対米従属的なことをやり始めてい ます。図らずとも本書は、菅政権の対米追従外交を非難するものとなりました。


 天木さんの意見を面白く読みました。民主党政権になっても対米従属の姿勢は変わりません。先のG20での菅首相のはしゃぎっぷりは「この人は総理になっ て上がり」かと思わせられました。
 
さらば日米同盟!」を早速読んでみようと思います。
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