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10/08/20 米原万里「発明マニア」

 鬱陶しい話題ばか りですが、今日は私にとってよい話から。
 長年密かに応援しているドラゴンズがジャイアンツに3連 勝で2位に浮上しました。昨夜の吉見はかなり調子がよかったようです。燃えよドラゴンズ!

 
しかし現実は厳しい。わずか8歳の少女が首を縊って自殺をしたり、葬式代がなかったと母の死亡届を出さずに遺体とともに 生活する人がいたり、生きていることが喜びのはずなのに死んだほうがマシな世の中になってしまったようです。

 さて、社会民主党は辻本衆議院議員の離党届を何の処分もなしに受理したそうです。
 腰抜けの社民党です。最早救いようはないと思います。
 衆議選の大阪10区で社民党の辻本に投票した人の思いはポイッとテッシュペーパーのように捨てられました。社民党に投じられた一票の重みを理解できてい ないようです。
辻元議員の離党届受理 社民、除名処分は見送り」(朝日新聞 10/08/19)

 選挙制度の改革の一つに、政党の公認で当選した議員は任 期途中で党籍を離脱する場合は議員資格が剥奪されるようなことはできないのでしょうか?

  米原万里さんの「発明マニア」を紹介します。

 サンデー毎日に2003年から2006年にわたって連載されたものを、万里さんの没後に一冊の本にされたものです。
 タイトルどおりの本です。例えば、能天気な安倍晋三首相の睡眠中に核爆発の渦中に置かれる地獄や、肉親を奪われる悲劇を追体験させることができる「夢送 り込み装置」案などユニー クな発明?が119編収められています。

 米原万里さんについての知識は、共産党所属の衆議院議員だった米原昶さんの娘で、井上ひさしさんの妻・井上ユリさんの姉で、ロシア語の通訳、エッセイス トで、小説家、、ですが、著作はひとつも読んだことがありません。

 気になった、あるいは面白かった数編を紹介します。

◆「創造的な」判決を下す裁判官の判例
 アメリカ・オハイオ州のシコネッティー判事はユニークな判決を下すことで有名な判事だそうです。

 ユニークは判例の一部。
◇弾が込めてある銃を持っていて逮捕された男に対して下された判決は、死体安置所につれて行き死んだ人たちの姿を見せること。
◇警察官を豚呼ばわりした男には、市の中心部で豚とともに並び「これは警察官ではありません」という看板を掲げて2時間立っている刑。
◇湖畔で公然とセックスをした男女には地元紙に謝罪文を掲載させるという刑。
◇オハイオ州北部で大きな雪崩が続発した週には、いくつもの収監刑が雪かき刑に変更された。

 シコネッティー判事はザ・タイムス紙のインタビューでこう話しているそうです。
 「被告人には選択権があるのです。獄舎で過ごすか、それとも創造的法制に従うか。年金受給者のために雪かきをするほどいいことはないじゃありませんか。 果たして誰かを獄に送ることによって社会に大きな貢献をしていると言えるでしょうか。彼を収監しているだけで一日最低70ドルはかかるのですよ」

 万里さんは、シコネッティー判事にぜひ出世をしてもらって合衆国連邦裁判所の主席になって、ブッシュ大統領らの権力犯罪を「創造的法制」で裁いて欲しい ものだと書かれています。

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 まずは劣化ウラン段が大量投下されたイラク南部の砂漠地帯で半年間過ごし、一つの爆弾の中に無数の小さな地雷がセットされたカセット爆弾や、核兵器並み の破壊力を誇る燃料気化爆弾デイジーカッターや、バンカーバスターの威力を、投下される側の立場で十分に味わってもらい、さらにはグアンタナモの収容所で 拷問具一式を身を以って試してもらう、というのはいかがだろう。
-----------------(引用)

◆ネーミング次第で気が楽になる方法
 酷い肩こりに苦しめられていたそうです。
 よく効くと評判の指圧師にかかると「こりゃあ、お嬢さん、五十肩だね」といわれ「あら、失礼ね。わたしまだ五十になってないわよ」と反撃、帰って調べて みると、「40〜50代に発症し易い肩関節の痛み・・・6、7ヶ月で自然に治る」とあったそうです。
 見事、7ヶ月目に痛みは雲散霧消していたそうです。

 そんな「四十肩」で苦しんでいたときの句会での句です。

◇枯れるまでソメイヨシノと呼ばれたい 高澤晶子
◇うば桜さくらと気付く人もなし 田丸公美子
◇花開く四十路の肩に滲みる雨 米原万里

◆短期間に資金を調達する誰もが不満を抱かない方法
 ネットのスパムメールで多いのがバイアグラを買わないか?とか、○○に投資すればすぐに儲かるなどです。
 さて、ロシア人の友人ポリースのアイディア。

 日本円で1500万円はするというベンツを買ったとたんに、息子が乗り回して事故を起こして息子は半身不随、ベンツはペシャンコとなってしまった。
 ただではおきないポリースは、事故前のベンツの写真をホームページに載せ、
一口1万5000円でベ ンツ争奪くじ引き大会を始めたところ、短期間に3000万円もの金が集まった。
 公明、公平にくじ引きを行い当選者に「当選おめでとうございます。当選賞品をお送りするために車庫から出したところ大型トラックと衝突しペシャンコに なってしまいました」と誤り、掛け金の1万5000円に少し色をつけて返金して解決したそうです。

 被害者が全くいない犯罪こそが完全犯罪である。そのとおり。
 ポリースは息子の事故の時保険金を得ていたことは言うまでもないことです。

◆居座る借家人をなるべく金をかけずに追い出す方法
 万里さんは家作を持っておられて人に貸しておられるのですが、家賃を滞納しても支払わず、裁判を起こしても従わず、結局家主の万里さんが借家人の引越し 費用まで出て行ってもらうような借家人とのトラブルが多いそうです。
 例によって家賃を滞納する借家人が庭の木に烏が巣を作ったことで逃げ出したのです。借家人は鳥アレルギーだったのです。

 在日米軍のグアム移転費用の75%も要求するようなアメリカは性質の悪い借家人です。彼らが居座るのはこの上なく居心地がよいからでしょう。
 この例では貸主と借り手がグルだということが一番の問題でしょう。

◆あとがきは井上ユリさん
 姉・万里さんは子どものころから発明?変わったことをするのが好きだったようです。
 一家がプラハに住んでいたころ、妹にパーマをかけると言って塗らした髪を巻きスチームストーブの上に頭を押し付けるようなことをする人だったそうです。

 あとがきの中に「先日、仏壇の中のお道具の位置が少し変わっていました。万里は、あの世でも部屋の模様替えを始めたのでしょうか」とありました。
 てっきり無神論者かと思っていました。

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