10/08/31
朝日俳壇、歌壇より
民主党の菅支持グ
ループの一部では、小沢前幹事長が代表選に出て菅代表と一騎打ちになれば党が分裂するとの思いから「挙党一致」というお題目で小沢氏の出馬を取りやめさせ
る策動(菅・小沢会談)があったようです。
しかし、菅氏らの思惑通りには行かず小沢氏とは物別れとなったようです。
記者会見の菅代表の顔は、マスコミの世論調査での優位とは裏腹にどこか焦点のぼやけた顔に見えました。
マスコミは今日一日、この騒動に振り回されていました。憐れ。ってことより国民はもっと哀れ。
さて数ヶ月、求職活動をしていますが中々手ごわいものです。
[年齢不問]とあっても、2社、3社連続で履歴書の送付だけで終わってしまうと、人としての人格を否定されたように思い込んでしまいます。ハローワーク
の職員も「その年齢では仕方がない」というのが本音にあります。私以上にハンディキャップを持っている人は大変なことでしょう。今日も電車の中でハロー
ワークの求人票を何枚も眺めている女性を見かけました。
今日は久しぶりに面接をしてくれる会社があったので出かけました。
面接をしてくれた人は私の履歴や職務経歴をよく読んでくれていました。人として存在を認められているとの思いがしました。採
否は別にして私はそれだけで嬉しくなりました。
個人の資質の問題だけでなく、その企業の体質でもあるのでしょうね。
昨日(8月30
日)付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇二日あることもかなしや原爆忌(川崎市・張芋:長谷川櫂選)
広島、長崎の二つの原爆忌、8月は多くの人が殺された鎮魂の月です。哀しいことです。今日は八月尽。
ところで、作者の名前は「張 芋」とありました。なんと読むのでしょう?
◇露の世のひと急ぎけり駅の朝(東京都・木村要:長谷川櫂選)
人はなぜ急ぐのでしょう?現役を退いてからはよく思うことです。
都心の駅前のホテルでも、地方の駅前ホテルでも朝の通勤風景を俯瞰してみていると見てい
ると「そんなに急いで・・・」と思います。
若い人たちには何に向かって急いでいるのでしょう?年寄りはゴールが見えてきつつあるのでそんなに急ぎません。
◇藺刈衣の藺に染まりたるまま干され(坂出市・緒方こずえ:長谷川櫂選)
「藺」は「い」、畳表になるイグサのこと。藺刈衣とはイ
グサを刈る作業時に着る作業着なのでしょうか?イグサで作った着るもののことでしょうか?
小学生のころ、産休先生として岡山出身の若い男の先生に数ヶ月習ったことがありました。その先生から岡山の特産の一つとしてイグサのことを聞いたことを
思い出しました。
◇緊張を解かれし汗でありにけり(岡山市・岩崎ゆきひろ:
稲畑汀子選)
今年は随分と汗を掻きました。暑さで出る汗と、緊張して掻く汗と、緊張が解かれて掻く汗と、冷汗など汗にも何種類もあるようです。
◇総玻璃が花火を無音にしてしまふ(直方市・清水次男:金子兜太選)
玻璃(はる)はガラスのこと。上方の噺家がこんな話をしていたことを思い出しました。
淀川の花火大会を観るために家族で高層ホテルの部屋をとったそうです。花火が目の高さで手に取るよく観えたのですが、残念なことにドォーンドォーンとい
う音が聞こえなく風情に欠けたものだったそうです。
◇妻の腸(わた)もらひて伊豆の鮎の宿(八王子市・朝野告水:金子兜太選)
「妻の腸(わた)もらひて・・・」と読んで一瞬生体臓器移植かと思いました。座五の「鮎
の宿」で納得しました。
◆朝日歌壇
◇浮子(うき)すべて底に沈みて睡りたる夏眠は深しガリレオ温度計(名古屋市・諏訪兼位:高野公彦/馬場あき子選)
理屈はよく分かりませんが、液体の中に浮子を入れて浮き沈みで温度の変化を知るガリレオ温度計というものがあるそうです。
温度を示す浮子が真ん中あたりに浮いているそうなので、暑ければ暑いほど多くの浮子が沈むということらしい。
そこで、暑い日には浮子は沈んで深い眠りの中にいるのでしょう。
◇食卓に造花飾つてゐるような ノンアルコールの麦酒といふは(東京都・高橋義子:高野公彦選)
ノンアルコールの飲み物を麦酒(ビール)と呼ぶのも変なものですが、いくら味がビールに似せてあるとはいえ味気ないと思います。世の中ではビールとビー
ルもどきの飲み物は発泡酒、第3のビールなど何種類あるのでしょう?
時々喉を潤しに行く京都駅前の居酒屋では、[生ビール:490円][発泡酒:240]と区別されてメニューにあります。
メーカーがいうように味に変わりがないのなら、ビールと言って安い発泡酒を飲まされても分からないのです。私はビールならキリンラガーの瓶ビールしか飲
みません。
◇百円分歩きらくだはゆっくりと前足を折りわれを下ろせり(町田市・阿部光子:永田和宏選)
自分のやらねばならぬ労働とその対価を知っているのでしょうね。遥々遠い国まで連れて来られて観光客相手をしている駱駝は何を思っているのでしょう。
ちゃっかりした今どきの若者のような駱駝です。
◇道筋にやうやく残りし本屋なれ道を訊かれて今日が始まる(長野県・沓掛喜久男:永田和宏選)
作者の沓掛さんは朝日歌壇ではよく見かける歌人、本屋を営まれているようです。
書店経営も他の小規模小売業同様に大変なことでしょう。
ようやく残った本屋を訪れるのは客ではなくて道を訊く人、寂しいけれどあったかい歌でした。
◇家に来る庭師(ガーデーナー)とプールマンの助手達は不法移民と知れど咎めず(アメリカ・大竹幾久子:馬場あき子選)
庭師を雇うほどの庭を持ち、人を雇って自家用プールの掃除をするような生活は映画で見るようですね。
アメリカでは労働の最底辺にいるのは不法移民だそうですが、どこの国いつの時代でも最底辺の仕事は最底辺の人たちに押し付けられてきました。
雇用調整の安全弁としての非正規労働者、そのことで経営者はいくら儲かっているのでしょうか?そしてプールのあるような家に住んでいるのでしょう。
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