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10/09/28 朝日俳壇、歌壇より

 この国の検察はど うなっているのでしょう?

 大阪地検では特捜検事が証拠品を改ざんした疑いで逮捕されたと思ったら、今度は沖縄地検が海上保安庁の巡視艇に体当たりしたとして公務執行妨害の疑いで 逮捕、送検されていた中国漁船の船長を「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮すると、これ以上、身柄を拘束して捜査を続けることは相当ではないと 判断した」という理由で釈放しました。
 まるで主権を持たぬ国のようです。

 沖縄県知事選に共 産党、社民党、沖縄社会大衆党の統一候補として立候補予定の伊波洋一さんのTwitterに新著「普天間基 地はあなたの隣にある。だから一緒になくしたい。」が売り出されたと書かれていました。今のところAmazonには入荷していないようで す。本屋で探して読んでみたいと思っています

  27日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
 金子兜太さんの選は、相変わらず難しい句が多いですが一番最初に目を通します。


◇とは言へど雲秋めいてきたるかな(東京都・石川理恵:長谷川櫂選)
 「とは言へど」がよいですね。
 暑い暑いと言いながらも雲は秋めいてきた。こんな風に思うことは多いければこんな風には詠めません。

◇白桃や人は完熟なく老ゆる(佐久市・楜澤一郎:長谷川櫂選)
 人間は完熟状態がない。そういえばそうですね。
 宗教者ならいざ知らず、人間として完成された状態などないのです。未熟なまま老いて死ぬ、青柿の落ちるが如きでしょう。そう思えば気楽なものです。

◇遠き日に飢えし人らの芋煮会(茅ヶ崎市・清水呑舟:大串章選)
 最近は福島や宮城でもするようですが、芋煮会は山形名物だそうです。職場や町内で盛大に行うレクレーションのようです。
 「遠き日に飢え人ら」が芋煮をしているとのこと、今飢えている人らは芋煮も出来ずにいることでしょう。

◇駅伝の先頭稲架(はさ)を出でにけり(山形県西川町・萱野哲治:大串章選)
 そろそろ駅伝の季節、能動を走る駅伝の一団が長い稲架の陰に隠れた、誰が一番に現れるのでしょう。

 子どもの頃、三反百姓の倅であった私は田植えも草取りも稲刈りも稲架掛けも足踏み脱穀機での脱穀も手伝いました。今となっては稲架掛けで乾燥した米が一 番贅沢だったように思います。
 現在でも自家用米は天日乾燥する農家もあるそうです。

◇使ひきる夜長持て余すも夜長(市原市・鈴木南子:金子兜太選)
 うまい句だなあと思います。
 本でも読んで十分に使いきる夜もあり、所在投げに無為に過ごす夜もある。嗚呼私の夜長は無為に過ぎてゆきます。

◇蜩や自転車一つ山登る(熊谷市・鈴木忠雄:金子兜太選)
 どう読めばいいのでしょう。ヒグラシの鳴く中を自転車で山越えをしている図でしょうか。
 私には「山に入る」としか詠めません。

◆朝日歌壇
 歌壇には毎週、小学生の作品と思われる歌が何首か入選しています。
 大人の歌と肩を並べる出来だということでしょうか?

◇大人こそウザイという語許されよ地デジ促す黒帯の文字(東村山市・さいとうすみこ:佐佐木幸綱選)
 まったくウザイことです。
 「ご覧のアナログテレビ放送は2011年7月に・・・」等とブラウン管の画面の下にテロップが流されます。
 それもCMの時ではなく番組の途中に何種類も流されています。頼みもしないデジタル化で大儲けするのは家電メーカーと量販店だけです。
 この歌のように毒づいて見たいものです。

◇ケータイが鳴らないことを祈りつつ病院近くのホテルに眠る(川越市・原田由美:高野公彦選)
 病気が重篤な状態なのでしょうか。何ごともないことを祈りつつホテルに戻る、そして眠れない夜を過ごされるのでしょう。

◇「ごめんね」って帰って来たら母さんは「ばかね」って泣く過労死せし子よ(山形市・渋間悦子:永田和宏選)
 過労死は企業による犯罪です。
 企業に子どもを殺された親の悲しみは如何ばかりでしょうか。

◇たらちねの明治の母は子を案ずともしびのやうな句点の大きさ(北海道・坂本しづよ:永田和宏選)
 私の母は大正7年生まれです。月に一度は金釘流文字の手紙をくれます。
 ともしびのように大きな句点、出来の悪い私だけでなく、いくつになっても子は案ぜられるもののようです。

◇「一日も長く生きたい」子のメール返信できず虫の声きく(静岡市・篠原三郎:永田和宏選)
 この歌も悲しい子どもを思う歌です。どんな状況なのか生死の淵にあるような、父が子を思う歌。

◇仰向けに死にたる蝉は望むこと全てかないて死にしと母言う(佐世保市・近藤福代:馬場あき子選)
 落蝉は仰向けならこの世に未練を残していないということでしょうか。
 そんな風に言われるように死にたいものです。

◇赤銅色の男らの荒き息消えし秋刀魚を嘆く女川港(石巻市・須藤哲郎:馬場あき子選)
 田畑の作物も豊作、不作があるように、漁にも大漁、不漁があることは必然のことですが、不漁の時は漁港の町は死んだようになるのでしょうね。

 職場が東京にあった80年代初めの頃、よく仙台への出張がありました。いつもは東北本線経由の列車に乗るのですが、その日はなぜか常磐線経由の特急でし た。
 相席になった男性は、茨城県波崎の船長で石巻だか女川に置いてあるサンマ漁の船に戻る途中だとのことでした。波崎に来れば豪快なサンマの水揚げが見られ るから是非来るようにと誘われたことを思い出しました。船長は今でも健在でしょうか?

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