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10/10/13 朝 日俳壇、歌壇より

 空き缶首相は衆議 院予算 委員会での答弁で「法人税の減税の方向で検討している」と発言。
 消費税導入されてから21年、この間に徴収された消費税は224兆円、同じ時期に大企業などの法人三税(法人税、法人住民税、法人事業税)の減税額は 208兆円、福祉目的と国民を騙しても消費税が大企業への減税の穴埋めに使われてきたことは明白です。
 民主党内閣の立ち位置は大企業に奉仕することは明白です。

 休日の昼下がり、勤め先の事務所にコピーしてほしいと住民の方(私より年上の女性)が来られました。古い新聞の切り抜きには長谷川櫂さんの能について書 かれた小文が掲載されていました。
 「長谷川櫂さんの文章ですか?」と問うと、「謡を習って いること、ちょっと鬱になったときに謡の先生から俳句を勧められ町の文化教室に通っていること、句歴は1年半など」とのお話。私も俳句もどきで遊んでいる ことなどですっかり盛り上がりました。

◆ 朝日俳壇
 10月11日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◇待ちに待つ風となりたる秋彼岸(松原市・加藤あや:稲畑汀子選)
 「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句そのままに、死ぬかと思うほどの猛暑、残暑も彼岸には嘘のようにおさまりました。
 相変わらず深い意味は分りませんが、安堵の気持ちが伝わってきます。

◇盃に水満満と秋遍路(さぬき市・砂井斗志男:金子兜太選)
 酒と水が好きだった山頭火は今も四国の遍路道を歩き続けているような気がしています。
 “サカズキニ ミズマンマント アキヘンロ“
 こんな句が詠みたいと思います。

◇夫は九州吾は小樽の月仰ぐ(小樽市・庭田麻樹:長谷川櫂選)
 離れ離れにあって、同じ月を見ているというある種使い古された題材なのに惹かれるのは九州と北海道という距離が影響しているのでしょうか?遠すぎず、近 すぎない、すぐに行けそうで行けない距離がお互いを惹きつけあうのでしょうか。

◇ヒロインは夜霧の中に消ゆるもの(多摩市・吉野佳一:大串章選)
 この句を読んでフランス映画の1シーンを思い浮かべるのか、1950、60年代全盛期の日活映画を思い浮かべるかどちらでしょう?わたしはダサく後者で す。

◆朝日歌壇
◇治療費を聞いて手術を諦める人は自殺の数に入らず(東京都・福田豊:永田和宏選)
 貧しくて医者にかからない人、かかれない人などは緩やか に自殺をする人とも言えるのでしょう。そんな人たちを「自殺」「自死」と数えると百万人を超えるのではな いでしょうか?

  日本の自殺統計は遺書があるなどはっきりと 自殺と判断できたものだけが自殺とされ、自殺、他殺、事故死などの何れか不明の場合は自殺外と処理されています。
 3万人超といわれている自殺者は数十万人になるという説もあります。

がり、24時間以内に亡くなった人の数で、遺書が無い人や24時間を経て亡くなった人などを入れる数十万人になるという説もあり ます。

 京都民医連第二中央病院院長の門祐輔産の著書「田中飛鳥井町 いのちのカルテ」には、医者にかかることを頑なに拒否するホームレスのことが書かれています。

 命は決して平等ではありません。
 そして憲法25条が保障する生存権もすべての国民に平等ではありません。

◇夕焼けて谷中寺町坂の町猫のグッズの多き猫町(神奈川県・中島やさか:永田和宏選)
 “ヤナカテラマチ サカノマチ”のリズムがよいですね。
 続けて、“ネコノグッズノ オオキマチ”まで一気に読んでしまいます。

◇姉ばかりいつも見ていし母なれど私はずうーっと母を見ていた(町田市・古賀公子:永田和宏選)
 二人の娘は遠方に嫁して何年にもなりますが、姉と妹では性格が随分違います。母とうまく付き合う姉と本音で付き合い衝突ばかりしている妹、妹はこの歌の ように母さんは姉さんばかりえこひいきしていたの、私はずっと寂しかったなどと思っているのでしょうか?
 そんな事はないと子育てに関わらなかった父は思うのです。

◇京都祇園花見小路のサンドウィッチマン人波の中にひとり老いたり(京都市・田畑益弘:馬場あき子/高野公彦選)
 祇園の花街に何を宣伝するのでしょう?着飾った舞妓が動き出す夕刻のことでしょうか。観光客の人波の中に年老いたサンドウィッチマンがいたのでしょう。

◇ねこじやらしススキの初穂犬の尻尾素直なものに秋の風吹く(徳島市・上田由美子:馬場あき子/高野公彦選)
 猫じゃらし、ススキの初穂、犬の尻尾などが風が吹かれて揺れている風景でしょうか?
 犬の尻尾が風に吹かれるままに素直揺れているとは思えませんが、そんな風に見えるのでしょうね。

◇月光の射す真夜中に黙々と繋がれてゆく黒き貨車の列(青梅市・津田洋行:佐佐木幸綱選)
 鉄道の貨物輸送はコンテナが殆んどで、この歌のような黒い貨車を殆んど見ることがありません。操車場ではこの句の風景のように貨車から貨車に渡り歩き、 貨車を行き先別に 連結していく鉄道員はいるのでしょうか。モノクロの映画を見るようです。
 私には「黙々」とよりも、レールと車輪の軋むギューギィーと鉄の泣くような音ともに繋がれていくように思います。

 鈴木六林男の句にこんな俳句がありました。
 <寒光の万のレールを渡り勤む>
 <操車場の西資本の巨塔ビール釀す>

◆水澄めり
 俳壇、歌壇面の囲み記事「うたをよむ」に女優で俳人(俳号は衾去:きんきょ)の冨士眞奈美さんが「水澄めり」と自作の俳句にまつわる話を書かれていま す。

◇どこへ行かうとわたしの勝手水澄めり
 「何時に起きようが、いつ寝ようが、気儘。好きな物を食べ、本を読みTVを見、たまに仕事をする。真夜中にハーモニカを吹いたって誰からも叱られない。 時間は全部自分のもの、限りなく自由なのである」なんて気分の一句のようです。
 なかなか「たまに仕事をする」なんて風にはいきません。

◇心臓はいい眼はあげないで烏瓜
そして「近頃の楽しみは、新聞1紙を持って馴染みの店でランチをしたり、コーヒーを飲んだりすること」だそうです。そんな昼下がりのカフェ、「そうね。自 分の身体のパーツがどこかで生き続けるっていいわね」「でも、わたし、心臓はいいけど眼はちょっと」「あら、どうして」「わたしだけが見てきたものがある わけだし」などと、心臓移植を話題にお喋りを愉しむ4、5人の客がいた。そんなときの一句。

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