10/12/03 朝
日俳壇、歌壇より
今日、12月3日
は障害者が人間らしい生活を送る権利を守ろうとする国際障害者デーです。その日に日本の国会では障害者自立支援法「改正」案が本会議での審議無しで可決
(共産党、社民党のみが反対)されました。
民主党は政権公約のほとんどを守らずに一年数ヶ月が過ぎました。こんな政権は倒すしかないでしょう。
11月29日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇老人の恋にも似たり帰り花(茅ヶ崎市・清水呑舟:大串章選)
老人も恋をしなければなりません。帰り花などではなくまっとうな恋です。異性に対して、自然に対して、人間に対して、世の中のすべてのものに恋をしま
しょう。
◇カンガルーのやうな親子や冬うらら(横浜市・杉江美枝:大串章選)
ちょっと前はお母さんが紐のような布のようなもので赤ちゃんを胸の前に抱いていましたが、このごろはもっと進化して赤ちゃんと一体化したような抱き方を
したお母さんを見かけます。まさにカンガルーの親子のようです。
◇迷ひしは山に戻して茸狩(香川県小豆島町・眞砂松韻:稲畑汀子選)
山野草を摘んでよく食べる方ですが、基本は知っているものしか食べないことにしています。この句のように迷った時には山に戻すことが安全な山遊びの方法
ですね。それに自分の食べる以上に採らないことですね。
◇うかうかと秋を行かせてしまひけり(東かがわ市・桑島正樹:稲畑汀子選)
うかうかと時間を過ごしてしまうことのなんと多いことでしょう。それも無為に過ごしてから気がつくものです。
◇被写体はまだふくよかな干大根(鹿角市・石川ゆみこ:金子兜太選)
「被写体は」がいいですね。干し大根の干し始めは水分が多くて「ふくよか」なものなのでしょうか?
人間ならふくよかでみずみずしいものが好まれ、干し大根はカラカラに干からびてから味が出るもの。人間も干し大根のような味も持ちたいものです。
◇五七五と指など折りて七五三(四日市市・盛野たね弘:長谷川櫂選)
選者は「添書によると、俳句に挑戦している小学一年生の女の子だそうだ。すべて奇数であるところがめでたい」と書かれています。先週は短歌に小学生ブー
ムが起こっているようだという記事を紹介しましたが、今週は小学生の俳句、朝日俳壇で小学生の句をみるのは初めてのように思います。
◆朝日歌壇
◇こんなにも可愛い顔で笑うんだ病室のぞけば父が手を振る
(赤穂市・内波志保:高野公彦選)
老いて病むと可愛い人間になるのでしょうか?
とてもなれそうもありません。気難しくて頑固でよいのではないでしょうか。子や孫などに老いた自分を見舞って欲しくありません。まして嬉しそうな顔をす
るなどとんでもありません。
◇職安にも多くの非正規職員がいて職無き人を今日も助ける(東京都・平井節子:永田和宏選)
日本中に非正規労働者が溢れています。当然、職安にもいることでしょう。休職中には職安の職員に助けてもらったことなど一度もありません。非正規では
あっても彼らは職を得ていて求職者よりは恵まれた人たちです。というのは捻くれものの見方でしょうか。
◇書いて消し書いて消してまだどこか迷ひの残る出欠通知
(神戸市・西塚洋子:永田和宏選)
今年の夏、秋には小学校、高校の同窓会の案内がありました。どちらも結果的には欠席をしましたが、ひと時は迷いました。
◇利尻富士望む草地に銃声の響く蝦夷鹿猟解禁の朝(稚内市・藤林正則:馬場あき子選)
夏の利尻岳には20歳頃に登ったことがあります。蝦夷鹿猟とはどんなものでしょう?
この歌を読んで先日のラジオでアメリカ映画「FAIR GAME」を紹介していたことを思い出しました。FAIR
GAMEというのは狩猟のターゲットになったと言うような意味のようです。
ブッシュ政権はイラク攻撃の口実を作るために、CIAに核開発の証拠を掴むように命じるのですが証拠は見つかりません。
CIAの工作員を妻に持つ外交官が、イラクには大量破壊兵器はなかったと暴露するとブッシュ政権は彼の妻はCIAの工作
員だと公表してしまいます。こんな時に彼女が「これで私を誰でも殺すことができる。猟は解禁された」とつぶやくそうです。日
本で公開されれば是非みたい映画です。ラジオ番組はこちらで聴けます。
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