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10/12/21 歳末狂想曲
  12月に入って私の町でも駅前通りにイルミネーションが点灯されています。何故、誰が流行らせているのでしょうか?電力会社の陰謀でしょうか?あの青い光 が好きになれません。

 今夜は皆既月食が全国で見られる日だったそうですが、当地では曇天、雨も降ってきて見られませんでした。(次回は11年6月16日だそうです)
 そして明日は冬至、すぐに年越し、怠惰に生きても時間は巡ります。

 ここ数年、忘年会というものに参加していませんでした。友だちのいない(少ない)私には働いているとき以外では声が掛かることもありません。それがどう したことか二つの忘年会に参加しました。一つは住んでいるマンションの管理組合の理事会メンバーと、もう一つは職場のメンバーとの忘年会でした。

 管理組合の忘年会は、9月にマンションの管理組合の理事になってから知った人たちばかりで、比較的若い人が多く話題もあまり噛み合わず少々退屈な会でし た。
 職場のメンバーは全員が60歳を超えた人たちばかりで話題は一致するのですが、年寄りの話は私も含めてくどく、それぞれ灰汁の強い人たちばかりでそれな りに疲れるものでした。
 人並みにボウネンカイを経験させてもらいました。

 さて、とりとめもない話ですが、
私が宿直だった寒い夜に起こったことを書き置きます。
 
 深夜2時ころインターフォンの音で起こされました。眠た目を擦りながらインターフォンに出ると、若い女性が「家の鍵を無くした。家に入れない」と。

 話だけは聞いておかなければと、寝巻き代わりのスウェットの上に作業服を羽織り玄関に出ると「バックを無くして困っている。バックの中に鍵も入ってい る。一緒に探してくれないか」と今どき風の若い女性。
 10棟ほどあるこのマンションでは、毎年飛び降り自殺をする人が絶えなくて、一種自殺の名所のようになっていると入社してから聞いていた私は「この女の 子に自殺でもされてはかなわん」ととっさに思い、詳しい事情を尋ねました。

 職場の飲み会で酔って最寄り駅からタクシーで帰ってカードで支払いをしてタクシーを下りた。気分が悪くなりどこかで吐いたこと、自宅のある階段と違う階 段を登ったこと、ひょっとすると隣の棟にも行ったかもしれないなどと事情は朧気にわかってきました。
 寒い中、珍妙な二人連れが深夜のマンションの階段を登ったり下りたりして探しましたが見つかりません。

 いったん事務所に戻り冷えた体を温めます。彼女も酔いがすっかり醒めた様子で、タクシーに置き忘れたかも知れないとタクシー会社に、カードを止めるため にクレジット会社に、警察にと、電話をします。
 その間に、私はもう寝ることをあきらめて仮眠室を片付けたり、コーヒーを淹れたり、電気剃刀で髭を剃ったりしながら、彼女の電話をチェックして、彼女が このマンションの住人であること、名前や生年月日に矛盾がないことで当初の心配が無用であったことに一安心です。

 ここの住民と分かれば「家に帰った方がよい。お父さんやお母さんが心配しているだろう」と諭しますが、「こんな時間に帰ったら起こられる」とか、「あの かばんがないと仕事に行けない」となどと言うばかり。
 彼女は完全に酔いが醒め、私は完全に眠気が醒めて朝まで付き合うつもりになって二杯目のコーヒーを淹れることに。二杯目のコーヒーを飲んでいると「友だ ちに迎えに来てもらって交番に届ける」と、「迎えに来て」と電話。

 しばらくすると背の高い青年が「すんません」と入ってきて「おじさんに迷惑やからとにかく出よう」と彼女を促して二人で帰ってくれました。
 二人が帰ってから朝までが長い一日でした。

 後日談。
 翌日になってからまったく方角の違う棟からバックが出てきたそうです。そして彼女がお詫びに事務所に来たそうです。

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