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10/12/27 朝日俳壇、歌壇より
  27日付け朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇熱燗や五臓六腑の位置知らず(東京都・望月清彦:大串章選)
 最近は熱燗を飲むことが多い。私の場合は熱燗を飲むと五臓六腑とまではいかなくても、食道、胃の存在を改めて認識します。

◇十二月八日安売り日に非ず(福津市・松崎佐:大串章選)
 こういう句が詠めたらいいなあと思います。
 「安売り日と違う」というだけで作者からの反戦の言葉が聞こえてきます。

◇仮の世に未練がましく賀状書く(香芝市・矢野達生:大串章選)
 年賀状は、未練がましく書くか、来年も生きるぞとの決意を書くか、どちらにしても仮の世のこと。
 
義理欠かせぬところへの年賀状も未だ書いていない私は明日にでもと思うこのごろです。

◇老いはみな賢者に見えてとろろ汁(帯広市・吉森美信:金子兜太選)
 老いて賢者と見られるようになりたいものですが、時すでに遅く鏡に映る自分が嫌でしょうがありません。

◇饒舌のひと股開く日向ぼこ(今治市・谷口國人:金子兜太選)
 可笑しい句です。日向ぼっこする
おしゃべりな人の股が自然に開いていく図、可笑しいな。

◇一億が浮かれし日なり開戦日(兵庫県猪名川町・小林恕 水:長谷川櫂選)
 12月8日は権力者がマスコミを使って国民を洗脳し戦争へ突き進んだ記念日です。わずか七十年足らず前のことです。朝鮮半島の独裁国家を笑えない。

◆朝日歌壇
 福島の美原凍子さんの歌をくしばらくは見ていません。少しさびしい気がする朝日歌壇です。

◇九時−五時の仕事に暮れた平凡が幸せと知る職安の椅子で(前橋市・町田香:高野公彦選)
 詰まらない仕事と思っていても職をなくすとありがたく思えるものです。有効求人倍率が0.4しかないのでは職業選択の自由などは夢のまた夢、生きるか死 ぬかまで追いこれています。
 仕事のない世の中では簡単に金儲けをするために悪事を働く人間も出てくるのは当たり前でしょう。また引きこもる若者も、むやみに人を傷つける若者も出て きます。

◇仕出屋は臨時休業告げておりはり紙だけでママは休めぬ(高槻市・有田里絵:高野公彦選)
 商売で食事を作る人は「休業」と貼り紙を出せば休めますが、母親はそうはいかないのです。娘たちを含め子育てをしている女性を尊敬します。

◇求人票の<年齢不問>に飛びつけば面接会場みな二十代(東京都・平井節子:永田和宏選)
 求人票には求人側が男女や年齢で採用を区別することがないように年齢や性別が書かれていません。このことが混乱を招いているように思います。若い人し か、女性しか雇う気がない求人に、老いた男が応募を検討するなんていうことが起こります。

◇母なればはぐくむものを原子力空母は浮かぶ睨みきかせて(新潟市・太田千鶴子:佐佐木幸綱選)
 人を殺す道具に母の字がついている矛盾を突いています。

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