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11/01/18 朝日俳壇、歌壇より
  先日、ビアホールで飲んでいたときのことです。上品そうな中年の男女が私の後ろの席に案内されてきました。7割方の席が埋まって客が食事中なのにコートを 翻すように脱ぐではありませんか、無知とは恐ろしいものです。
 子どもなら叱ってやることもできますが、外見上は「立派」な大人では誰も叱ってくれず、恥を撒き散らして生きていくしかありません。

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を「平成の開国」だと民主党政権とマスコミは煽っていますが、日本の関税は低く鎖国状態ではない、TPP は「日米自由貿易協定」に他ならないと経済産業省の課長補佐(現在京都大学に出向中)の中野剛志さんが解説しています。http://www.youtube.com/watch?v=nRmNJpUj5sI
 民主党政権やマスコミのプロパガンダに騙されないためにもご覧ください。


 さて、17日付け 朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇

◇悴むや村より街が美しい(松戸市・大谷昌弘:金子兜太 選)
 選者は「村が寂れすぎているのだ」と評されています。

◇そろひある乳房初湯を溢れしむ(京都市・川端通代:長谷川櫂選)
 手術を待つ身なのかなどと勝手な解釈をしてみた。女性ならこんな思いもあるのだろう。

◇飽きるまでころがしておく木の実二個(宍粟市・宗平八重子:長谷川櫂選)
 職場の机の引き出しに拾った山茶花の殻と実を数個入れてあります。引き出しを開けるたびにカラカラと音がします。
 春には植木鉢に蒔いてみようかと思っています。
 「飽きるまで」が良いですね。

◇終い湯に沈み白鳥にはなれず(神奈川県寒川町・石原美枝子:大串章選)
 女性の句が続きます。
 この句は森澄雄さんの<除夜の妻白鳥のご と湯浴みをり>を踏まえたものだそうです。
 森澄雄さんは出生地を姫路市の網干とされていたそうです。愛妻家だったそうで次のような句もあります。
 <妻亡くて道に出てをり春の暮>

◇こんこんと雪しんしんと音の無く(長野市・小池星児:稲畑汀子選)
 雪国には住んだことがありませんから雪の降る生活の実感は十分理解できませんが、昔山登りをしていたころに雪山にテントを張って一夜を過ごしたときに本 当に音も無く1m余の積雪があったことを思い出しました。

◇眼力の失せし大きなマスクかな(由布市・立川さよ子:稲畑汀子選)
 マスクをして眼力が失せるとはどんな状況なのでしょうか?
 私はマスクをすることによって眼力が鋭くなるように思います。


◆朝日歌壇
◇群れなして生きてゐることが力なり枯葦に沈み飛び立つす ずめ(西条市・亀井克礼:馬場あき子選)
 力ない雀は生きるために群れているということでしょう。
 力なくとも群れないで生きてみたい。

◇飛行機に乗って帰りたい、ふるさとに我は出稼ぎ一人正月(明石市・高野寛:佐佐木幸綱選)
 東京に住んでいたころ、東海道線の線路をみると「この線路はふるさとに繋がっている」と郷愁を感じたものです。
 飛行機で帰りたいと詠まれている作者のふるさとは島国でしょうか。

◇ふるさとに居ても一人はひとりにて薄柿色の灯をともす除夜(福島市・美原凍子:高野公彦選)
 久しぶりに美原さんの歌が載っていました。
 選者は「『薄柿色』の仄かな明るさが美しくて物哀しい」と評されています。

◇算数であなたが取ったその点は教えた私に突き付けられた 点(前橋市・関浩子:高野公彦選)
 教え子の得点に責任を感じている家庭教師かと思いましたが、選評には「教員の自省の歌」とありました。一人一人の子どもにこのように接してくれる教師が いることは頼もしい。

◇仕事なし金なし男なしラララ…ないないづくし極楽トンボ(札幌市・白幡典子:高野公彦選)
 「ラララ…」とハミングするしかない現実です。
 「ラララ…」いつか良いことも起こるかもしれません。それまで「ラララ…」。

◇朋子友子知子とも子はいっぱいいるけれどこの世で会えぬわが家の朝子(瀬戸内市・児山たつ子:永田和宏選)
 朋子、友子、知子、とも子、朝子、みんな「ともこ」、我 が朝子はいない。

◇このまんまどこへもいかずなにもせずまるまっていたいきみといっしょに(中津市・もりたはつみ:永田和宏選)
 時々、かなだけの歌や漢字だけの歌が入選しています。この歌は
「まるまっていたいきみと」などとか な文の効果が出ているよう。

◆朝日俳壇賞
 今週は年間俳壇賞が掲載されていました。どの句もこの欄で取り上げたことがありませんでした。鑑賞眼の無さです。
 評や受賞の言葉を読むと皆さんインテリであられるようです。

◇大串章選
 菜の花に月の行方を尋ねけり(飯塚市・釋蜩硯)

◇稲畑汀子選
 寝たふりの狸憎めず罠外す(坂出市・緒方こずえ)

◇金子兜太選
 里芋といふ極上の土食らふ(養父市・足立威宏)

◇長谷川櫂選
 一本の詩精神として秋桜(三郷市・岡崎正宏)
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