11/02/14 朝日俳壇、歌壇より
一昨年の総選挙で民主党が票を掠め取る大きな理由のひとつが沖縄のアメリカ軍の普天間基地の移転問題でした。当時の民主党代表・鳩山由紀夫氏は「国外少な
くとも県外移設」と言い切っていました。しかし「政権交代」を果たすと日米で合意した辺野古への移転だと変節してしまいました。
その鳩山氏が共同通信のインタビューに答えて「県外移設」が防衛、外務官僚の抵抗で挫折したこと、アメリカの海兵隊が日本の防衛上の「抑止力」だという
のが「方便」だったとまで言っています。県外移設が実現できなかったと沖縄県民に謝罪したそうです。国民を騙した政治家には謝って済まないことがありま
す。鳩山氏、民主党は責任を取るべきだと思います。「海兵隊の『抑止力』は後付け 鳩山氏、普天間の全容語る」(共同通信 11/02/13)
ある事件の報道を見ていると防犯カメラ(監視カメラ)の映像がこと細かに報じられています。世の中には「防犯」という名の「監視」カメラが蔓延しているこ
とを改めて実感しました。日本は監視社会、誰かがほくそ笑んでいるような。
駅や街中に設置された監視カメラの映像がどうしてマスコミに流れるのでしょう?監視カメラの映像は個人のプライバシー情報が含まれています。逮捕された
容疑者といっても有罪判決が確定すまで「推定無罪」です。
マスコミはどんな権限で(合理性は疑問ながら)入手した映像を流しているのでしょうか?政治的な報道だけでなく事件報道
についてもマスコミの報道を注意深く見守らなくてはなりません。
さて、2月13日
付け
朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
兜太先生の選ばれる句は難しく素人では中々理解できませ
ん。そんな強面(選句が)の兜太先生が9歳の少年の句を選んでおられました。
<影長し竹馬のぼくピエロかな>岸和田市・小林凛
◇残照は塔の九輪にわ
らび餅(横浜市・猪狩凰保:金子兜太選)
兜太先生選の難しい句のひとつ。残照と塔の組み合わせはわかるのですが、塔の九輪とわらび餅の取り合わせは素人にはわかりません。読めない、そして詠め
ない句です。
◇愛らしく鳴いては成さぬ猫の恋(周南市・糸山栄子:長谷
川櫂選)
そろそろ猫の求愛の季節なのですね。集合住宅に住んでいるとそんな身近な季節感さえ鈍になっています。
猫の恋は中々成立しないのでしょうか?
◇沈黙をマスクに託すひと日かな(神戸市・岸下庄二:長谷川櫂選)
「沈黙をマスクに託す」という表現は思いつきません。私なら<饒舌をマスクに隠し・・・>くらいしか思いつきません。
◇手袋の手持ち無沙汰に落ちており(多摩市・金井緑:大串章選)
落ちていた手袋はきっと片手でしょうね。相方を失った片方の手袋は手持ち無沙汰に見えるものです。
◇さくらより濃き香濃き色さくら餅(東京都・青木千禾子:稲畑汀子選)
桜餅のさくら色はソメイヨシノの淡いピンクではなくヒガンサクラの濃いピンクに近い。リズムのよい句です。
◇大寒の未明の月の高くあり(姫路市・黒田千賀子:稲畑汀子選)
今年の大寒(1月20日)は十五夜でした。十五夜の月が未明まで高くあるかは疑問ですが。
◆朝日歌壇
◇消防車おおかた引き揚げ
一台が臨終見守る医師のごと在り(坂戸市・神田眞人:馬場あき子選)
火事騒ぎのあと、大方の消防自動車が引き揚げても何かをしている一台の消防車、実際に見たことはありませんがそんな風景が目に浮かびました。
火の命の終焉を見守っているかのようとは言いえて妙。
◇小魚らは静かに群れて動かざる春近き日の明石漁港に(東京都・野上卓:馬場あき子選)
群れた小魚は常に動いているものと思っていましたが、寒い時期には動かないのでしょうか?
◇我にこそ正義はありと言いつのる顔顔顔でニュース終わり
ぬ(流山市・本村早苗:佐佐木幸綱選)
ニュースとありますから政治家でしょうか、しかしテレビに出ているのは「正義は我にあ
り」と言わんばかりの連中です。
政治家はもちろん、評論家、学者、タレント、芸人、、、こんな輩が物知り顔で「正義」を語っています。うざったいこととです。
◇うちの子は来たくて来てる訳じゃない保護者の言葉耳に残
れり(名古屋市・福田万里子:佐佐木幸綱選)
この歌はどういうシチュエーションでしょうか?作者は教師でしょうか?「来たくて来ているのではない」所は学校でしょうか?色々の物語を想像させられま
す。
◇熱高き父の額に掌を置けば薄皮の下冷えた骨のあり(盛岡市・白浜綾子:高野公彦選)
老いて病んでいる父、その額に手を置けば冷たい骨の感触がする。悲しいリアリズム。
◇お寂しくなりますわねとひと言へり吾を見送る母に向ひて(船橋市・柿木博夫:永田和宏選)
母を置いてふるさとを去る、母への気遣いが母へ掛けられた「お寂しくなりますわね」という言葉で一層募る。共感。
◇降るたびにひと辛抱と唱へつつ雪掻き給ふやふるさとの母(東京都・橋本栄子:永田和宏選)
南木佳士さんの「阿弥陀堂だより」のおうめ婆さんをはじめとして年寄り(特に女性)は強かによい言葉を残しています。
作者の母も「あと一辛抱、あと一辛抱」と降り積む雪を見ながら唱えているのでしょう。そうして何十年も生きてきたから言えることばです。母を案じる作者
にも母の強さがいくらかは安心の材料になっているような。
おうめ婆さんのことばを一つ。
「わしゃこの歳まで生きて来ると、いい話だけを聞きてえであります。たいていのせつねえ話は聞き飽きたもんでありますからなあ」
◇思い出の沿線にまだ住んでいる君をさらって銀河鉄道(東京都・上田結香:永田和宏選)
この歌も色々な物語を想像させます。
恋する若い人の句もたまにはいいですね。
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