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11/03/21 地震が教えてくれるもの
 気象庁から「東北 地方太平洋沖地震」と命名され、メディアによっては「東北関東大震災」「東日本大地震」など呼ばれる今回の地震と、福島第一原発の事故には楽観的な見方と 悲観的な見方が存在します。
 マスメディアは概ね楽観論、ネットなどでは悲観論が多くを占めています。私は悲観的な見方が正しいのではないかと思っています。そんな大災害は色々のこ とを学ばせてくれます。

 ここ数日のマスメディアは、10日振りに助け出された祖母と孫のこと、原発の放水に駆り出されたレスキュー隊員の活躍ぶりを大きく取り上げていました。 今後は被災者や災害支援の活動を美談や悲劇に仕立てて報道されることでしょう。人の不幸は蜜の味な三流マスメディアはネタに困らないことでしょう。

◆未来予想
 忌野清志郎は「サマータイムブルース」で次のように未来を予想していました。この曲が発売禁止になったり、メディアが流さなかったりしたのは、真実を 歌っていたからでしょう。

♪寒い冬がそこまで来てる
 あんたもこのごろ抜け毛が多い
 それでもTVは言っている
 「日本の原発は安全です」
 さっぱりわかんねえ 根拠がねえ
 これが最後のサマータイム・ブルース

 Youtubeでも聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=dVn0Aet0Bs8

 また、共産党の吉井英勝衆院議員は、06年に国会で津波による原発への影響を取り上げていますが改善されていませんでした。吉井議員は、海面が上がれば 冷却用ポンプが水没する危険があり、海面が下がれば冷却用の海水が取水できない恐れが発生し、炉心溶融の危険があると指摘しています。「チリ地震が警鐘 原発冷却水確保できぬ恐れ」(しんぶん赤旗 10/03/01)

 「原発は安全」と国民を騙し続けてきた国や電力会社は聞く耳を持たなかったのでしょう。

◆脆弱な首都東京
 今度の地震は首都東京など日本の都市機能の脆弱さを曝け出しているようにました。

 電力不足で一般家庭や公共交通機関を停電させるという「計画停電」が行わ れ市民生活に混乱が出ています。
 東京電力の需要予測とはどのように設定されているのでしょう。

 電気事業連合会の 統計(右図)によると3月は年間の消費電力は需要のピークではありません。2001年の例でみると夏のピーク時と3月の消費電力の比は75%です。(電力 10社計)

 また、食品などの生活物資が欠乏し1960年代のオイルショック時のように買貯めが進んでいるようです。
 消費者行政を司る大臣が眉間に皺を寄せて「品物は十分にあります。買い貯めしないでください」と呼びかけても、彼女の表情からは悲壮感が伝わるのみで、 買い貯めに拍車をかけるだけのように思いました。

 大阪府の橋下知事が強引に進める府庁の湾岸部への移転も、移転先の55階建てのWTCビルが丸1日エレベータが停止するなど影響があったそうです。埋め 立て地に建てられた高層ビルが地震に弱いことを露呈しました。「橋下知事移転意向の55階庁舎、耐震性に疑問符」(読売新聞 11/03/13)

 このような状況で大都市直撃の地震が起こったらどんなこ とになるのかと思うと恐ろしいことです。
 是非、教訓としてほしいものです。

◆原発の安全神話崩壊
 東京電力のホームページによると原子力発電所の地震対策を以下のように書いています。

建設予定地周辺を徹底的に調査しています。
 原子力発電所は周辺の地質・地質構造、活断層および、過去に発生した地震等を確認・評価して作られているそうです。

◇揺れの少ない強固な地盤上に建てています。
 原子力発電所の重要な機器・建物等は、表層ではなく堅固な岩盤の上に直接固定して建設されているそうです。

◇大きく揺れたときには、原子炉は安全に自動停止します。

◇考えられる最大の地震も考慮して設計しています。
 これ以上の規模では起こり得ないような大きな地震や直下 型地震を想定して建てられているそうです。

◇津波への対策
 過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を勘案し重要施設が作られているそうです。また、発電所は最大の津波の高さより高いところに 作られているそうです。

 地震による事故が起こってから見ると白々しいことです。
 今回の事故の直接の原因は、地震による津波で運転停止後の冷却設備を稼動させる電力の供給が止まったからです。電力設備は当然二重化されていましたが、 二系統とも使えなくなったようです。何のための二重化だったのか?と不思議です。

 原子力安全・保安員は事故の深刻さを表す国際的な評価(INES)をレベル4(局所的な影響を伴う事故)から、レベル5(広範囲な影響を伴う事故)に引 き上げました。
 レベル5とは79年のアメリカ・スリーマイル島の事故と同じレベルということ、世界最大級の事故だそうです。「国内最悪『レベル5』、米スリーマイル級 原子力安全・保安院発表」(中日新聞 11/03/19)

◆マスメディア
 政治もメディアも金(かね)の出所に忠実であることに変わりはないようです。
 
自民党、公明党、民主党が進めてきた日本の原子力発電政策にも無批判であるマスメディアは、東 京電力という大企業は大広告主に対しても批判的な記事は書けないようです。

 福島第一原発から20km圏内の南相馬市の市長がテレビ番組の電話取材に訥々と窮状を訴えていたことが気になっていましたが、南相馬市にはマスメディア の取材クルーは入っていないようです。
 安全な場所に身をおいて被災地の惨状を伝えることには限度があります。

 そんな南相馬市の桜井市長は、
「これは天災ではなく、人災だ。燃料がなく避難を希望する住民を移動させられないほどつら いことはない。住民の移動手段の確保は国の最低限の責任だ」と語気強く訴えられたそうです。福島原発:「風評で物流が断絶」南相馬市長が窮状訴える」(毎日新聞 11/03/18)

◆義捐金
 新聞を読んでも、テレビを見ても、ラジオ聞いても、町を歩いても、ギエンキン、ボキンの花盛りです。自治体の職員が腕章を巻いて募金をしているのには ビックリでした。
 持てる人たちが持てない(失った、奪われた)人に募金をすることを否定しませんが、貧乏人にまで募金をすることが当たり前との態度には反発を感じます。

 私たちは元々高い税金を払っています。この税金を被災者に有効に使うことが政治の仕事だと思います。足りないなら無駄を削ればよいこと、金持ちから取り 立てればよいこと。

 20何時間テレビのように募金に協力しないと「非○民」的に扱われるような嫌な気になりました。
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