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11/03/22 朝日俳壇、歌壇より
 福島県の原子力発 電所の事故の影響で近隣の県産の野菜や牛乳から食品衛生法で定められた暫定基準値の数十倍の放射能が検出され出荷が止められたそうです。
 国は基準値オーバーにより出荷を停止しながら「食べても大丈夫」と説明する。私たち素人には到底理解できない論理です。
 農地の放射能汚染にも東電は保障すべきだと思う。彼らは農地の汚染と原発事故の因果関係が証明されないと言い張ることでしょう。

 幾多の公害事件と同様に、作るときには「原発は安全」と言い、放射能漏れ事故が起こると過小に発表し、バレると健康には問題ない量と言い、健康被害がで ると因果関係はないと言い張る。何十年経っても国と企業の体質は変わりません。

 統一地方選挙は被災地以外では日程どおり行われるようで、大阪府下では府議会議員選挙のポスター掲示板が立てられています。国会では共産党やみんなの党 が統一地方選挙の日程を延期するように提案したそうですが、民主党などに押し切られたようです。ある時には「国難」「挙国一致」と言いながら、こんな事態 のも とで選挙をする気になるとは余程鈍感なことです。

 そんな大阪府議会議員選挙に立候補予定の自民党・長田義明議員(現府議会議長)が「大阪にとって天の恵みというと言葉が悪いが、本当にこの地震が起こっ てよかった」と発言したと報じられています。「『この地震、本当に起きてよかった』大阪府議長が発言」(朝日新聞 11/03/21)
 この地震で、政敵・橋下大阪府知事が強行する大阪府庁の湾岸部への移転にブレーキがかかると思っての発言と言い訳をしていますが、どのような経緯があろ うとも人間として言っていいことと悪いことがあります。長田議員は鶴見区選出の議員だそうです。鶴見区民は長田議員を落選させましょう。


  21日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。先週は紙面が震災報道一色だったために、俳壇、歌壇 を見逃したようです。

◆朝日俳壇
◇花菜飯少年も来て食べにけり(横浜市・本多豊明:金子兜太選)
 どんな光景だろうと思いを広げてみます。

◇明日は雨後(のち)は時々花粉症(横浜市・大井みるく:金子兜太選)
 気象予報士氏が「明日は雨、のち時々花粉症」と言いそうな季節、今年は私も目の周りが痒く初めて花粉症を体験することになりそうです。

◇美し国うまき酒あり山笑ふ(大津市・山中久:大串章選)
 うまし国、うまき酒、これ以上の贅沢はなし、家も家族も仕事も失った人がいる現在では不謹慎かも。

◇今日中に食べて欲しいと桜餅(川崎市・池田功:稲畑汀子選)
 母を見舞うのに手土産に生和菓子を持って行くことがあります。生和菓子はほとんど当日限りの賞味期限ですから、あれもこれも食べさせたいと思うと持ち行 く量に悩みます。

◇春浅し進路を決める旅にあり(徳島市・真鍋万緑:稲畑汀子選)
 若い人の句でしょうが、老人にも老人なりに「進路」がありそうです。
 しばらく旅をしていません。ぶらりと進路を決める旅に出てみたい。

◇床屋より戻る夕暮春寒し(東京都・布能民雄:稲畑汀子 選)
 襟足を刈り上げた床屋帰りはうそ寒いものです。禿頭の私には懐かしい思い出です。

◆朝日歌壇
◇足を病む母はかなしも浴槽に胸打ちしこと隠しゐにけり(佐世保市・宮崎たみ枝:馬場あき子選)
 身体が不自由で

◇見舞いおえバス通りから振り向けば窓にはりつくガウンが見えた(茅ヶ崎市・和田光子:佐佐木幸綱選)

◇のんのんと雪降る町に明かりともす町内一軒のちさき居酒屋(秋田市・渡部栄子:佐佐木幸綱選)
 雪の降ることを形容するのに「のんのん」とは初めて聞いたように思います。牡丹雪でしょうか?粉雪でしょうか?
 小さな居酒屋の窓からもれる暖かげな明かりが亭主の雰囲気と、客層を思わせます。

◇思い切り泣いてもいいよ採用の通知の来ない砂漠のラクダ(彦根市・日比野美鈴:高野公彦選)
 若い人の仕事がないのは哀しいことです。就職が中々決まらない子を思う母の歌だと選者は書いていますが本人の歌であっても良いように思いました。

◇ひさびさに湯屋の湯船の湯気の中風呂の修理は遅れてもよし(東京都・海老根清:高野公彦選)
 リズムが良いので「ゆやの、ゆぶねの、ゆげのなか」と2度、3度と読み返してようやく意味がわかりました。作者の自宅の風呂が工事で久方振りに町の銭湯 に浸かってみるといい気分だ、この分だと自宅の風呂の修理も少し遅れてもよいかと思ってみる。

◇溺れるを引き上げるごと両脇に腕差し込まれ母は起こさる (久喜市・児玉正広:永田和宏選)
 幸いにして介護する人を持ちませんが、自分自身が老いの只中にいます。枯れ木のようになった病身を晒しながら生きることがよいのだろうか?人は生き続け なければならないものでしょうか?
 そんなことを考えさせられる一首でした。

◆友だちでいいよだなんてブラックデー 山口禮子
 「俳壇、歌壇」のページの下部に「似ていて違う日韓の歳時記」という記事がありました。
 日本人駐在員と、日本の植民地時代に日本語教育を受けた韓国人が中心になって
「韓国歳時記」が編まれたそうです。
 前掲の句に出てくるブラックデーとは4月14日のこと、バレンタインでーにもホワイトでーにも寂しい思いをした者たちが黒いチャジャンミョンという食べ 物を食べる習慣から出た言葉だそうです。

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