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11/04/07 朝日俳壇、歌壇より
 毎日、毎日、憤り は高まるばかりで、冷静に文章が書けません。
 政府、経済産業省(原子力安全・保安院)、原子力安全委員会、東京電力、御用学者等など、誰の言葉も信用できません。

 空気が汚され、土が汚され、川が汚され、海が汚されています。世界中の空と海が放射能で汚されています。
 野菜も、牛乳も、魚も汚染されています。

 原発内で働く労働者の真の姿は報道されません。
 労働者が
長靴も履かずに高放射能漏れの疑いのある場所で働かされ被曝したなんて報じられると、労 働者の命よりカネが大事にされているような多喜二が書いた「蟹工船」のような現実があるのではと思ってしまう。

  4月4日付け朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
 今週の俳壇には震災詠の作品が9句入選していました。その中から数句を紹介します。

◇人間の覚悟問はるる春の地震(横浜市・小林千秋:大串章選)
 人様が不幸に見舞われているとき、対岸の私たちが試されています。
 何もできないのだから募金でもという人もいますが、私はギエンキンの拠出に懐疑的なので募金に協力していません。
 故郷を奪われた人たちに思いを馳せるだけです。覚悟をもって。

◇今は好まずぶらんこの揺れさへも(神奈川県葉山町・中島やさか:大串章選)
 よくわかる、そうそのとおりと共感しました。

◇逃げ終へし命を包む毛布かな(新潟市・岩田桂:稲畑汀子選)
 雑誌を読まないのでわかりませんが、週刊誌などには戦場のような被災地と難民のように見える被災者の写真がたくさん報じられているようです。
 ドキュメンタリー映画のワンカットを見るような句です。

 震災詠以外の入選句から。

◇クロッカス咲いて空地でありしかな(芦屋市・高杉靖子:稲畑汀子選)
 よくわかりませんが、何かすんなりと入ってくる句です。
 単純に空き地に不似合いな花が咲いていたと読めばいいのかもしれません。

◇信長も秀吉も嫌さくら餅(群馬県東吾妻町・酒井せつ子:金子兜太選)
 今週も兜太選の入選句は難しいものばかりでした。
 信長も秀吉も嫌いなのは桜餅でしょうか?作者でしょうか?

◇こつぱから生れし佛春を笑ふ(名古屋市・青島ゆみを:長谷川櫂選)
 名古屋の荒子観音に円空仏を観に行ったときに知りましたが、円空仏は丸い木を縦に三つとか四つとかに割った物の木の中心部分を表にして彫られているそう です。
 作者は名古屋の方、荒子観音の仏様を詠っているのかと思いました。

◆朝日歌壇
◇自転車の子らに抜かれてくやしいか一二一二と腹蹴るわが子(東京都・田中彩子:高野公彦選)
 「腹蹴る」のどんでん返しを楽しませてもらいました。

◇定職を五十になりて得し弟無欠勤にて還暦で死す(日向市・黒木直行:高野公彦選)
 50歳になって定まった職を得、わずか10年で死んだ弟さんを思う兄の胸のうちはいかばかりでしょう。
 仕事とか長命とかで人の価値が決まるわけではありませんが、辛い歌です。

◇生きてあらば触れる事なき兄の頬その冷たさは今も手のうち(柏原市・斉藤知代:永田和宏選)
 今度は妹が兄を詠んだ歌です。
 幼いころには頬も、手も脚も触りあったでしょうが、長じて兄の体に触れるのなかったものが、その死によって触ってみた。どういう兄妹だったのかと想像が 膨らむよい歌です。

◇怖がってニュース消す子と布団干すそのときあなたを守れるだろうか(新潟市・佐藤由佳:永田和宏選)
 今週も震災詠が18首も入選していました。
 震災は小さな子どもたちの心を大きく傷つけたようです。そんな幼いわが子を守れるだろうかと思う母の思いが十分に伝わりました。

◇その人でなければならぬ女性(ひと)になどなれぬかもしれずそっと手を振る(高松市・桑内繭:馬場あき子選)
 若い人の歌はあまり好きではありませんが、この歌は一読 ではまりました。謙虚な人間に幸あれと祈ります。
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