Google
WWW を検索 残日録内 を検索
←Back Haiku  Photo Mail Archives Twitter Next→

11/06/25 豊かさとは
 昨日は賃金支払 日、繁華街に出てアウトドアショップのバーゲンを覗いた後、久しぶりに馴染みのバーでモルトを一杯、心地よく酩酊して帰還しました。

 昨年の自殺者(警察庁統計)は31,690人でした。1998(平成 10)年から14年連続で3万人を超えていました。3万人とはどれほどの人の数でしょう?毎年小さな町が消えていっている ようです。

 今年になっても自殺者の数は3月までは例年の傾向で推移していたものが、4月から急増の傾向に転じています。

 その原因は間違いなく東日本大震災と福島第一原発の事故によるものでしょう。

 地震や津波は避けようのない天災だったかも知れませんが、原発事故は人災、否な未必の故意による殺人事件です。その結果が上のグラフです。
 ※青:2010年、橙:2011年、警察庁統計より作図


  ソフトウエア販売会社アシストの社長ビル・トッテンさんの最近の以下のコラム(Our World)から豊かさとは何かを考えてみました。

◆飴と鞭、金と放射能
 福島第一原発事故の後の知事選で原発立県の福井でも青森でも原発推進派が自民公明などの推薦を受けて何れも3選を果たしています。
 なぜ、何万年も影響するような事故が起こっても政治の世界では原発推進派が多数を占めているのは、「
電源三法(電源開発 促進税法、旧電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法)交付金」などという多額の補助金が交付されるからです。

 破産しそうな瀕死の町に原発を作るというのが常道であるらしい。

----------------------
 
双葉町は70年代に手にした交付金を使い果たし、2005年には財政破綻寸前の状況にあった。その解決策は、双葉町にさ らに原発2基の建設 を受け入れ、新たな交付金を受け取ることだった。原発推進派知事が選ばれるシステム、これは過疎の町を原発に依存させる経済、社会を意図的に作り上げる、 まさに弱者を切り捨て、搾取するシステムにほかならない。そして、短期的には利益を手にしたとしても、長期的には、貧しい町も富める者も決して幸福になれ ないシステムなのだ。
----------------------それでも原発に頼るわけ」(2011.6.17)

 国のエネルギー政策に翻弄されたの町は足尾、三池、夕 張、福島と続きます。

 「どんなに低い線量でも汚染された食べ物は危険、今、日本に安全と言い切れる食べ物はない。この汚染は『永遠』に続く」と京大の小出さんは言われていま す。「小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ

 生まれ育った故郷を棄てなければならない、命がけで獲った魚も手塩にかけた農産物も汚染され食べられずに捨てられている。これが「金」と引き換えにされ たものなのでしょうか?

◆豊かさとは何か?
 ビル・トッテンさんは東京で会社を経営し、京都に住まわ れて6年前から家庭菜園を始められ、石油から作られた肥料や農薬を使わず野菜を栽培されているそうです。

 私たちはまやかしの「繁栄」を本物と勘違いして(勘違いさされて)生きてきたようです。
 都会や周辺に住む私たちは、過疎の町に原発を押し付け、事故が起きれば労働者と住民に被曝を強いています。住民のふるさとを奪った責任の一端は私たちに もあります。

 電気で動く、電気でしか動かない様々なものに囲まれた暮らしが「文化的」な生活だと騙されてきました。他人の犠牲の上に自分の幸せなどあるはずがない、 「原発を止めろ」と叫ぶのと同じエネルギーで一人一人の暮らし方や豊かさについて考えてみることが大事なことのように思います。
こ の不幸な事故を機に暮らしを見直してみることができればせめてもの救いとなるでしょう。

 最後にビル・トッテンのこの言葉を引用しておきます。

--------------------
 現在は過去よりも優れてはいない。むしろ、私たちはもっと過去に学ばなければいけない。四半期ごとの利益ではなく長期的な企業経営を重視し、子供たちや 未 来を考えて社会を築き、そして人々が良心的で賢明であった時代を。厳しい時代は始まっているが、次の社会に向かうために建設的な行動をする時間は十分にあ ると私は信じたい。
--------------------
今こそ過去に学ぼう」(2011.6.3)
inserted by FC2 system