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11/07/19 朝日俳壇、歌壇より
 放射性セシウムで 汚染された肉牛が648頭も既に出荷されていたことが分かりました。「セシウム汚染牛出荷、648頭に…新潟・山形も」(読売新聞 11/07/18)

 数日で一気に拡大が判明したことは、誰かがサボっていたとしか思えません。農水省か厚労省が手を抜いていたのでしょう?
 こんなことが風評を生み出し、生産者の営農を困難にしていくことは当たり前のことです。原発事故を国民には小さく小さく見せようとした作為を感じてなり ません。

 放射能の汚染地域にひまわりや菜の花を蒔いて油を作ろうというプロジェクトがあると聞いたことがあります。ひまわりなどの植物は地表の放射能を吸い取っ て成長をし、そこから精製された油には放射能が含まれないとのことだったように思います。
 チェルノブイリ原発事故のウクライナで実践されているとのことで、良いアイデアだと思いましたが植物が吸い取った放射能はどうなるのでしょう?

 放射能は消えてなくなることがないので、植物の茎や葉、油の絞り粕が放射能汚染物質となるだけ、植物が吸い取る放射能は微々たる物で土地の改良にはなら ないそうです。「7月6日 ストレステストと菜の花プロジェクトが結局ダメな理由 小出裕章(MBS)」(小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ)

  18日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇原爆を忘れぬ夾竹桃咲けり(島原市・中川萩坊子:長谷川櫂選)
 原爆に焼き殺された人々を思うときイメージする花は真っ赤な夾竹桃です。
 その夾竹桃は広島市の市の花に指定されているそうです。

 「75年間草木も生えないといわれた焦土にいち早く咲いた花で、当時復興に懸命の努力をしていた市民に希望と力を与えてくれました。/開花は夏で特に8 月6日の平和記念日のころに花の盛りを迎え、咲き競う美しさはひとしお感慨を新たにさせます。」(広島市のホームページより)

 原爆にも原発にも「NO」の意識を強めるために、今年も青春18切符で原爆忌に広島に行こうと思っています。

◇この町を出づる術なしサングラス(東村山市・高橋喜和:大串章選)
 どういう状況でしょう?
 原発事故で汚染された地域に住む人のことでしょうか?出るも地獄、残るも地獄ではないでしょうか?

◇口出しは控へ目にして涼しく居(大分市・佐藤富士男:稲畑汀子選)
 老いて主義主張を四角四面に論じたところで、周りは聞く耳を持たぬやつばかり。ここは言いたいこと噛み殺しておくか。こんなことを思う日、この句に共感 する日が多すぎます。
 「智に働けば角が立つ情に棹させば流される」の言葉そのもの。

◇気仙沼この他になき初鰹(横浜市・大井みるく:金子兜太選)
 気仙沼の漁港が日一日と復興していることはテレビの報道でも流れていました。
 水を差すようですが、農産物の放射能汚染の次は海産物へと放射能汚染が広がるのではと思っています。

◆朝日歌壇
 朝日歌壇には毎週、十歳前後の子どもの歌が数首選ばれています。
 彼らの才能への嫉妬からか、子どもの独り言のような歌に馴染めません。この子たちの入選で落選した数首が気になる私。

◇はじめての子がかあちゃんと呼び始め我の呼称もかあちゃんになる(横浜市・小澤寛子:佐佐木幸綱選)
 微笑ましい。
 私は「おかあちゃん」だった。孫たちは「ママ」派と「おかあさん」派に分かれているようです。

◇美味しいね何度か言って再婚の妻のカレーに舌が慣れゆく(大阪市・渡辺たかき:高野公彦選)
 再婚の経験はありませんが、分かるような気がします。
 儀礼的に「美味しい」「美味しい」と言っているうちに、この人のカレーでなくてはとなっていく。食べ物以外でもそんなことがありそうです。

◇愚痴一つ言わずに逝った叔母なれど薬剤の染む骨ぞ語れる(神戸市・北村可織:高野公彦選)
 焼かれた骨には生前病んでいたところが現れると聞いたことがありますが、薬の影響まで骨に現れるのですね。
 「ぐちひとつ いわずに いった おばなれど・・・」リズムが良い歌。

◇百歳まで保証しますとこの人もことなげに言ふご勘弁を(浜松市・仲村正男:永田和宏選)
 百歳までの命を保証するなら、百歳までの幸せを保証してほしい。
 長生きすることが罪のようになった世の中、先日紹介した「お墓にひなんします」と書き置いて自殺した93歳の女性の死が如実に語っています。
 年寄りが行き辛い世の中だということは、すぐに若者が行き辛い世の中になるということです。

◇吾のへその穴に片目を押し当てて姉が弟の棲み家を覗く(和泉市・星田美紀:永田和宏選)
 へそは赤ちゃんの棲み家に通じるトンネルの入口、人のへそを繁々と見る機会はありませんが、今度チャンスがあれば棲み家を覗いて見たいものです。
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