Google
WWW を検索 残日録内 を検索
←Back Haiku  Photo Mail Archives Twitter Next→

11/08/08 朝日俳壇、歌壇より
 [私]疲れが取れ ない。歳かしら?
 [影の声]歳です。

  8月8日の朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します・

◆朝日俳壇
◇被爆者に被曝者加わり原爆忌(アメリカ・大竹幾久子:金子兜太選)
 被爆と被曝、原子爆弾の被害を受けたのだから被曝ではなく被爆だったのか?
 今年は被曝者も加わった原爆記念日になった。

◇母ちやんの足日焼けして焼大根(やきだいこん)(諏訪市・宮澤吏穏:金子兜太選)
 選者は「宮澤氏は小六。焼大根は料理名を活用」と小学生の作者にも大人と同じように評価されているのがうれしい。宮澤氏は「吏穏」と書いて「リオン」と 今風に読むのだろうか?小六のリオン氏が「母ちやん」と呼ぶのも何ともいえない。

◇この川も熱かつたらう原爆忌(沼津市・林田諄:長谷川櫂選)
 原爆の語り部の話を聞くと人も馬も炎を逃れて川に入り引潮に攫われていったそうです。
 広島の街を地図を眺めると北から南に向いて手の甲の上の血管のように川の流れている。縮景園にあった慰霊碑も京橋川に面していました。

◇夕焼けて鬼の笑顔や雲の峰(三重県菰野町・大橋徳紀:大串章選)
 東の空の入道雲が夕焼けに映えて真っ赤に染まっているのだろうか。怒り狂った鬼の顔を見るのではなく、笑顔としたのが真似できない。

◇台風に備へ過ぎたる後始末(阿南市・湯浅芙美:稲畑汀子選)
 昔の台風は怖かった。台風が来るというと学校は休みになり、雨戸に板を打ち付けて備えたものです。そうして家に閉じこもり台風の通過を待つだけでした。
 そんな備えも取り越し苦労になったという安堵感。

◆朝日歌壇
◇簡単に会えぬ子なれば演奏の会場に来て無事を確かむ(千葉市・高山薫:馬場あき子選)
 どういう状況なのか飲み込めません。売れっ子のバイオリニストになった子に会えぬということ?離婚でもして往来を禁じられている子なのか?簡単に会えぬ とは、無理をすれば会えるということ?

◇腹空かせ銀やんま追ひし少年も今は老いたり銀やんまいづこ(平塚市・熊沢雅晴:馬場あき子選)
 昔の子どもはしょっちゅう腹を空かしていました。飽食の時代となって腹を空かせていたあの時代の方が豊かだったような気がしてきました。
 経済的には貧しくて腹を空かせていたけれど、貧富の格差はあったけれど、今の子どもたちより幸せだったかも知れません。だってギンヤンマが其処此処にい たのですから。

◇紙おむつになってしまったわが妻よ下着を詰めて病院を出る(長野市・関龍夫:馬場あき子選)
 介護する側の事情もあるのでしょうか?
 一人でトイレに行けなくなると紙おむつをさせられる。放尿や排便の快感を忘れてしまうことは、人としての尊厳の一部を失うように思うのは思いすぎでしょ うか?

◇先生は職があるからさう言ふと職の決まらぬ学生の抗(島田市・小田部雄次:佐佐木幸綱、高野公彦選)
 職安(ハローワークなどと言って何が変わるのか)に求職に行くと窓口の職員は「高望みしても職はありません」「選り好みしては就職できません」と言う。 “お前は私の何を知ってそう言うのか”と切れそうになります。あの薄っぺらなカウンターの向こうとこちらでは吹く風の温度が違うように思ってしまいます。
 でも、現実は彼らの殆んどは非正規雇用で働かされていることだろう。

◇田も畑も耕作できぬ故郷に帰還せよとは如何なる策か(横浜市・荒川澄:永田和宏選)
 福島第一原発事故に関して自主避難区域という地域があって、この地域から非難した人には補償がされないそうです。避難するのは自前、避難せずに被曝すれ ば自己責任なんて無責任なことがあるでしょうか。
 放射能で汚染された地域でどうして生活しろというのでしょう。

◇どこまでもゆける気がする夕暮れの街にきらめく二つの車輪(桜井市・田村美由紀:永田和宏選)
 この歌の「二つの車輪」は自転車と解しました。気分が良いとペダルも軽くどこまでもどこまでも行けそうな気がするものです。
 山を越えてどこかに行ってしまいたいと思うこと、そんな気持ちがある間は生きられると言うことかも知れません。
inserted by FC2 system