Google
WWW を検索 残日録内 を検索
←Back Haiku  Photo Mail Archives Twitter Next→

11/08/23 朝日俳壇、歌壇より
 暑さと世の中のこ とどもに体力が消耗、未だに立ち上がれません。
  8月22日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇から気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇古老来て草書のやうに踊るなり(名古屋市・可知豊親:大串章選)
 この句を読んで思い浮かんだのは
、越中八尾のおはら節です。まだ身近に見たことはありませんが、一度は見てみたいもので す。

◇日めくりを数枚忘る暑さかな(可児市・金子嘉幸:大串章 選)
 元衆議院議員で90歳近くになられる田中美智子さんの新 刊のタイトルは「今日は、何日 何曜日?」だそうです。
 まあ、90歳までならなくても「今日は何曜日」と考えることがあります。特に夏の暑さの中では。

◇甚平で暮す気楽な齢かな(東京都・布施民雄:稲畑汀子 選)
 仁平や作務衣を着て、作者のようにご隠居さん然と過ごす ことのできる方はお幸せなことです。
 晩年をこのように過せるような世の中になってほしいものです。

◇取り敢へずひと巡りして夜店の子(高松市・白根純子:稲畑汀子選)
 この句の子どものように、夜店を「取り敢えず一巡りして」物色してから、さあ何を買おうか何をしようかと思う子どもは相当の夜店の達人?とお見受けしま した。
 私や私の子や孫などは、わずかな小銭を握りしめて、参道の入口から一軒一軒ごとの誘惑に負けて道半ばにして財力が果てるというだらしなさです。

◇痩身のわが指ほどの新ごぼう(藤岡市・田村やよい:金子 兜太選)
 新ごぼうは美味しい。これからは農婦の指を思い出しながら味わうことにしましょう。

◆朝日歌壇
◇本名も職業すらも知らないが山ちゃんといふ馴染みの客(青梅市・増田正:永田和宏選)
 居酒屋でしょうか?
 名前も職業もわからないのが当たり前のこと、あだ名だけでもあるだけ馴染み客なのでしょう。

◇二年経てはじめて夢に現れる母はようやく死者となりたり (ひたちなか市・猪狩直子:永田和宏選)
 人を偲ぶとはこういう時間が必要なのでしょう。

◇子らの声せぬフクシマの夏休み蝉、蝶、トンボ虫らもさみし(福島市・美原凍子:馬場あき子選)
 京都大学の小出裕章さんによると、旧ソヴィエトではチェ ルノブイリの事故後1週間以内に12万人を強制避難させたそうです。
 福島ではどうでしょう。この国は国が決めた被曝基準(年間1ミリシーベルト以下)を守らない。犯罪者が政をやっている。

◇空蝉をつくづく見れば眼も脚も背なの裂け目もいたく恐ろし(京都市・道家俊之:馬場あき子選)
 どなたかの随筆だったか、短編だったかに蝉の抜け殻を大 きな瓶に収集している女が登場していました。
 蝉の抜け殻は奇妙でとても身近に置くことなど考えられない。恐ろしい物体である。

◇鹿踊(ししおどり)跳ねては太鼓打つ後ろ人の形に風は動けり(山形市・高橋陽子:佐佐木幸綱選)
 素人の私などは「人の形に風は・・」とは詠めずに、「人の形に『影』」と詠んでしまいそうです。
 選者は「『鹿踊』は主として東北地方で行われる伝統行事」と書かれていますが、
ずいぶん昔に栃木県の湯西川温泉の民宿に 泊まった折り、宿の孫が太鼓を腹の前に括り付けて踊りの稽古をしていました。確か鹿の被り物を被っていたような記憶があります。
inserted by FC2 system