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11/10/09 映画「人 生、ここにあり」
 ノーベル賞に対 抗?する、おちょくった賞にイグノーベル賞(Ig Nobel Prize)というのがあります。
 例えば、カラオケの発明者は「カラオケを発明し、人々に互いに 寛容になる新しい手段を提供した」ことに、おもちゃの「たまごっち」の開発者は「『たまごっち』により、数百万人分の労働時間を仮想ペットの飼育に費やさせ た」ことにより夫々イグノーベル平和賞、経済学賞を受賞しています。

 今年は日本人のノーベル賞受賞者は出ませんでしたが、
イグノーベル化学賞を滋賀県の医師らが受賞していました。
 医師らが発明したのは
「刺激的なわさび臭で睡眠中の聴覚障害者を目覚めさせる火災警報装置」だそうです。既に商品化され て聴覚障害者施設などに設置されているとのことです。『いつかノーベル賞を』 イグ・ノーベル賞受賞の今井氏ら会見」(中日新聞 11/10/05)

 実用的な発明でユーモアというわさびは少し足りないようです。


  イタリア映画 「人生、ここにあり」を紹介します。

 ラジオ番組(TBS・小島慶子キラキラ)でラッパーの宇多丸さんが精神病、精神病院について書かれた本や映画を紹介していました。 宇多丸さんの父は石川信義さんという精神科医で日本で始めて完全開放の精神病院を作られた方のようです。
 
 
日本は欧米や中国などの外国と比べても精神病院の入院ベッド数が桁違いに多いそうです。治療することもないのに退院を受 け入れる条件がないので「社会的入院」といって30年も40年も入院させられている人たちがいるそうです。
 そんな入院患者を愚かにも「固定資産」などと呼んでいると語られていました。
 ↑知識がないので不正確かも知れません。どうぞ原典などでご確認ください。

 番組の中で宇多丸さんが紹介されていた本や映画は映画「人生、ここにあり」の他に、織田淳太郎著「精神医療に葬られた人びと」、
シルヴァーノ・アゴスティ監督「ふたつめの影」、 シルヴァーノ・アゴスティ著「誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国、想田和弘監督「精神」 などです。
 精神病者を扱った映画「精神」は見逃した映画です。いずれどこかで観たいものです。

 宇多丸さんの放送(ポッドキャスト)はこちら(
9月21日分9月28日分)でお聞きください。

 さて、「人生、ここにあり」を紹介します。
 映画の舞台は1983年ミラノ。1978年に制定されたバザーリア法よりイタリアでは精神病院が次々と閉鎖されていた時代です。

 病院に閉じ込められていた人たち(患者、元患者?)が病院に付属した「協同組合180」で市から委託された切手貼りなど軽作業をして生活をしていた。そ こにファッション業界?の労働組合で働いていた男(ネッロ)は熱血ゆえに失敗をしてこの協同組合に委員長として転勤させられます。
 赴任してきたネッロは個性的な組合員一人一人をセニョール○○、セニョリータ○○と敬称を付けて呼びます。精神病者として虐げられて組合員たちはさん付 けで呼ばれたことがなかったのでしょう。人間の尊厳とはこんなことから大切にしなければと思いました。

 ある日、封筒に切手を貼る仕事をしていた組合員が、一枚一枚切手をずらして貼ってペラペラ漫画のようなものにしていました。それを見たネッロは彼らには クリエイティブな仕事ができるのではないかと考えるのです。
 協同組合は組合員の自治組織ですから、ネッロは「このまま単純作業を続けるのか、新しい仕事に挑戦するのか」と職場集会?を開いて決を採り、自活できる 道を選らびました。民主的なやり方で経験や長所を活かして持ち場を決めていきます。

 ネッロは昔の知り合いに頭を下げてブティックの床を寄木で張るという仕事を取ってきます。初めての仕事は思ったよりも綺麗に仕上がり他の店もと商談は展 開します。
 納期が迫っていたあるとき、資材の調達に行っていたグループが遅れて床に張るべき板材がありません。そこで一人の男がしたのは廃材を使ったモザイク模様 を床に張り出しました。
 注文内容と違うとネッロは叱責しますが、さすがにファッション業界の注文主はそのモザイク模様を高く評価してくれました。

 順風満帆な協同組合の運営でしたが、仕事場で恋をした組合員が心無い言葉で自殺するという事件が起こり、ネッロも協同組合を去っていきました。

 「
協同組合180」の存在も、組合員の多くも実在の話だそうですが、原題は「Si Puo Fare!」で日本語訳「やればできるさ!」のとおり終幕はハッピーエンドでした。

 精神病のこと、精神病院のことはほとんど知識がありません。でも、一旦「あなたは精神を病んでいる。入院治療が必要」と言われれば、何を言っても「精神 病患者の言うこと」などと取り合ってもらえず、本当に精神が病んでいくだろうとは想像できます。

 映画はハッピーエンドでしたが、考えさせられる映画でした。

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