11/10/24 朝日俳壇、歌壇より
今日は霜降(そ
うこう)、二十四節季の18番目で、次の節季は立冬、時の移ろいは人の営みとは同期せずに進むもののようです。今夜はこの秋一番の冷え込みだ天気予報が報
じています。
このホームページの更新は、朝日俳壇、歌壇の紹介で辛うじて続いています。情けないなあと思ったり、まあ、それでもいいかと自分を慰めたりしておりま
す。
現代俳句協会のインターネット俳句会に今月も投句をしました。現在は950余りの俳句から5句を選ぶ作業をしています。
人の句を読むのは大変勉強になります。自分の選んだ句が高得点ならうれしいものです。逆に自分しか選んでないと詠むのも読むのも力なしということです。
さて、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、東電や国が嘘を憑き続けて沈静化しつつあるように国民を騙しています。騙されている人、忘れたがっている
人、忘れた人などで放射能の恐怖は「沈静化」しているように感じます。
これでは権力者の思う壺です。少なくとも私は忘れない。
24日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇花芒挿して普段の心かな(北九州市・伊藤信昭:稲畑汀子選)
花芒を挿すのは飾り気のない一輪挿しか、空き瓶が似合いそうです。
◇秋来ぬと居所かへる蝸牛(かたつむり)(京都市・水田貴士:長谷川櫂選)
蝸牛が秋を待っている?もうそろそろ冬眠の季節なのに。
◇人に付く術まだ知らぬゐのこづち(東かがわ市・桑島正樹:長谷川櫂選)
未熟な草の実は未だ棘が発達しきっていなくて人にしがみつくことができないのでしょう。
草だって、人間だって未熟さという可愛さがあります。
◇さびしさが静かに揺らす秋簾(東京都府中市・酒井努:長谷川櫂選)
私が同調しやすいのはこのような句、私にはとても作れませんが。
◇牧水の歌を愛して新酒くむ(福岡県福智町・大久保幸子:大串章選)
酒の仕込みの時期です。年の暮れまでに新酒が出回ります。「酒は静か
に・・・」とありたいものです。
冷え込んできたら自転車を担いで蔵に出かけよう。
◆朝日歌壇
◇フクシマの車で県外走るとき人目をはばかる我情けなし(福島市・伊藤緑:永田和宏選)
東京に住む娘が「福島」ナンバーの車が駐車場でいたずらされると言っていました。悲しいこと。
人目を憚らなければならないとは、ヒロシマやナガサキの人たちが原爆に苦しめられながら、同じ日本人から差別されたことも忘れられません。
◇出てゆけと言ってしまったあの日から息子の帰り待って百年(和歌山市・勝田哲也:永田和宏選)
不思議な歌です。イメージがまとまりません。
◇食堂のマスター吾を「おばあちゃん」と親しく呼ぶが聞き捨てならぬ(鎌倉市・正田敬子:永田和宏選)
マスターと作者の良き関係、それでも「おばあちゃん」はないよね。
◇風ひやりわたし去年も今頃もどうやらあなたを好きだった
みたい(南魚沼市・山本麻菜:永田和宏選)
若いって羨ましい。それ以外に言葉なし。
◇海釣りも畑仕事もジョギングもみな奪われて福島にいる(福島市・武藤恒雄:佐佐木幸綱/高野公彦選)
海釣りも、、、そしてフクシマを奪ったのは誰?
忘れてはならないこと、絶対に。
◇起こされし感触肩に残りつつ未知なる駅に立っている夜(東京都・豊英二:佐佐木幸綱選)
現役で働いていたころは数年に一度、酔っ払って寝過ごし深夜の知らない駅頭をうろついたものです。
◇病みいてもハモニカを吹く力あり「ふるさと」「アリ
ラン」つづけて吹きぬ
(大阪府・金忠亀:高野公彦選)
久しぶりに金さんの歌です。
幼いころに覚えたものは年を取っても忘れないもののようです。ハーモニカを一時練習したこともありましたが物にならず楽器というものは何も使えません。
ふるさとやアリランを奏でてみたい。
◇誕生日夫(つま)が忘れしこんな日はバス旅パンフレット一人眺むる(西宮市・田中洋子:高野公彦選)
夫婦円満な歌。
誕生日を忘れられても、バス旅行のパンフ見て思うのは二人で行く旅のことでしょう。
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