11/11/07 朝日俳壇、歌壇より
10月30日に福
島市で「なくせ!原発 安心して住み続けられる福島を! 10・30大集会インふくしま」という集会が開かれ1万人を超える人が参加されたそうです。
毎日新聞の記事によると「佐藤栄佐久前知事や保守系首長らが共産党の志位和夫委員長と同席する異色の顔ぶれ」での集会となったとのこと。また、佐藤前知
事は「福島がこんなことになるなんて悪夢を見ているようだ。(原発がある)双葉郡の住民を棄民にしてはいけない」と発言したと報じています。
しかし、地方都市の福島で1万人もの人が「反原発」の意思で集まったことを快く思わない輩がいます。
Googleのニュース検索で「福島 1万人集会」と検索して出てくるのは毎日新聞、時事通信、福島放送としんぶん赤旗だけです。朝日新聞もNHKを報
道していません。
「東日本大震災:福島第1原発事故 保革が同席、福島で脱原発集会」(毎日新聞)
「除染徹底、被害賠償を要求=原発事故受け、1万人集会−福島」(時事通信)
「脱原発、全面賠償訴え福島で1万人集会」(福島放送)
「なくせ原発 ふるさと返せ」(しんぶん赤旗)
Twitterからの情報ですが、京都にお住まいのSさ
んが朝日新聞大阪本社、朝日新聞福島総局、NHK大阪の3ヶ所に報道したのか、集会があった事実を知っていたのかなどと問い合わされた時のやり取りがこちらにありますのでご覧ください。
原発安全神話で国民を騙した奴らが、原発事故の影響(放射能汚染)を小さく小さく見せ、あわよくば国民の記憶から消し去りたいと思い、原発に反対する国
民の意思を無視する。
朝日新聞もNHKもその一派だということが明らかになったのです。
私たちが忘れることを願っている連中がいる限り、私たちは忘れてはならないと思う。
7日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇かさこそと秋の深みを歩きけり(川越市・早川満:長谷川櫂選)
何でもないような、誰でも詠めそうな句ですが、なかなかこういう風には詠めません。
普通のことを普通に、誰にも分かる句が詠みたいものです。
◇我が子抱く如風倒の稲を抱く(静岡市・西川裕通:稲畑汀子選)
貧農の家で育った私にはよく分かる感情です。鎌で刈り取った稲は数日稲架に掛け足踏式の脱穀機で脱穀していました。稲の品種によるのでしょうか、昔はよ
く倒れていました。抱くように起こして稲刈りをしたことを思い出しました。
◇それぞれに常の場所ある夜長かな(茨木市・瀬戸順治:金子兜太選)
家族が少なくなって狭い家の中にもそれぞれの居場所が確保できるようにな
りました。
座り心地のよい場所で夜長を過ごす、それにしても長い夜が続きます。
◇放屁虫(へひりむし)確かに主張致しけり(三沢市・阿久津凍河:金子兜太選)
選者は「上五は少し平板だが、今次大震災に向かう意気込みを」と評されていますが、この句を読んで「大震災に向かう意気込み」を感じることができるので
しょうか?難しい。
◆朝日歌壇
◇四人(よったり)の老親の末語らいぬ天井板の節眺めつつ(盛岡市・白浜綾子:佐佐木幸綱選)
四人とも親が揃っておられることはめでたいことですが、現実はなかなかおめでたいことと手放しでは喜んでもいられません。
作者はどのように親の行く末を語っておられるのでしょうか?
◇我の名が三十八件ヒットするどれも我が名にはあらねど(東京都・土門久美子:佐佐木幸綱選)
インターネットを始めた頃には、誰もが一度は自分の名を検索したことがあるのではないでしょうか。
作者の名前も朝日歌壇に入選してから「我が名」で多くヒットすることでしょう。古臭い名前を持つ私の名前で検索すると戦国武将がヒットします。
◇わが心明日香の里に置いたまま連休明けて勤めに出でぬ(小樽市・吉田理恵:高野公彦選)
心を置いてくるような観光地はそうそうありません。明日香とはそういうところなんだとつくづく思います。さあ、今度の休みには自転車で出かけよう。
◇「福島産ですが」と梨を配る度少し故郷を裏切る心地す
(所沢市・園鈴子:永田和宏選)
「福島産」と言うだけで気を使わなければならないとは、それを作った人はどんな思いだろう。
初任地が福島県のいわきだった娘婿は、震災後(いや原発事故後)に当時の知り合いからいわき産のトマトを大量に買ったそうです。幼い子を持つ娘は嫌がっ
て他家に配ったとのことでした。
すべての農水産物は放射能汚染の検査を東電の責任でさせ、その情報は詳らかに公開すべき、そして放射能で汚されたものは大人が食べよう。決して子どもた
ちの口に入らぬようにすべきだと思う。
◇書きようで笑顔にもなる<谷>の字を嫁ぎ来てより親しみて書く(市原市・谷チイ子:永田和宏選)
◇幾度も書いているけど谷の字は大口あけて笑っているよ(土浦市・石谷茉
莉:永田和宏選)
10月17日付けの朝日歌壇に、<「かなしい顔している字」だと言いながら幼は<谷>と半紙に書きたり>(広島市・小田優子)という歌が入
選していましたが、それに対する返歌2首が入選していました。
嫁いで谷姓になった人は書きようで笑顔にもなるんですよと親しめを込めて「谷」の字を書き、若い?作者は「谷」の字が大口あけて笑っているようだと詠
む。名前だけに「悲しい顔している」とは言わせない。
◇忘れたい傷と忘れぬ苦しみと忘れゆくことの罪の狭間で(逗子市・荒木陽一郎:永田和宏選)
嫌なことは忘れたいものですが、忘れてはならぬこともあります。忘れることを「罪」と感じる作者に共感します。
東京電力、政府、マスメディアがよってたかって、原発事故を忘れさせようと躍起になっています。だから、私たちは決して忘れないようにしないといけませ
ん。そのうち、マスメディアは「日本人は忘れっぽい」などと他人事のようにいうでしょう。
◇この先はすべて放棄田人行かぬ道を狭めて女郎花咲く(三
重県・喜多功:永田和宏選)
耕作をしない田畑を耕作放棄田などと呼ぶのだそうです。
先の大戦の後、食糧難の時代に山も森も開拓をして田畑を作ったものです。それが数十年経つと食糧の需要は増えているのにも関わらず耕作地が放棄されてい
ます。
TPPなどに加盟すれば食糧の自給率は10%台になってしまいます。TPP交渉への参加にも反対です。
◇これほどに重きものなし骨拾う真白き箸よ時雨降りくる(福島市・美原凍子:馬場あき子選)
美原凍子さんの歌、「時雨降りくる」の七音がいいですね。
◇目が合ふて黙すほかなし深秋の夫、妻でなく二人の初老
(新潟市・岩田桂:馬場あき子選)
夫婦とはこんな形になっていくものでしょうか、羨ましい
こと。
◆ジュニア俳句
朝日歌壇でも富山の松田姉妹など毎週何首かが入選して小中学生の歌人は珍しくありませんが、ジュニア俳句の話。
俳人協会主催の全国俳句大会にジュニアの部が作られたと俳壇、歌壇のページの囲み記事「うたをよむ」と欄に俳人の西嶋あさ子さんが書かれていました。
季語を入れることを条件に募集されたところ、応募数は数万句に上ったそうです。その中から数句が紹介されていました。
◇蝶を見て心が楽になりました(奥田渉・中3)
何から解かれ楽になったのでしょう。
◇海開き十六歳の波荒らし(水田悠斗・高1)
大人顔負けです。
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