11/11/28 朝日俳壇、歌壇より
大阪府知事
選挙、大阪市長選挙の結果は非常に残念なことでした。
民主党政権の下で先行きの見えない状況におかれている府民、市民の不満が、耳障りのよい言葉に希望を見出そうとした結果だと思う。投票率も52.58%
(知事選)、60.92%(市長選)とどちらも前回を上回っていることが物語っています。
維新一派に対抗する候補者が今の暮らしにくさの元凶である民主党の支援を受けていては、票が集まるわけがありません。また、共産党が支援、推薦した候補
者には相変わらずの反共攻撃が
未だに功を奏するという現実もありました。
また、公明党が維新支持に回ったことも大きかった。私の周りでも、創価系と思われる男性が積極的に維新支持を公言していました。
選挙の結果は悔しいこと。
これからは、彼らのやることを監視して行かねばなりません。
11月28日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇焼薯(やきいも)がうまい単純明快に(鶴ヶ島市・渡辺隆:金子兜太選)
旨いということに理屈は要らないということでしょうか?グルメ番組では利口そうには見えないタレントが、大して美味しくもないであろうものをいろんな言
葉で飾り立てています。世の中には旨いものと不味いものしかないように思いますが。
選者は「『単純明快』はふつうだが、これを呼び出すふっくら感が厚い」と評されています。
◇遠縁に狐がいるという女房(東京都・阪本寛子:金子兜太選)
選者は「毒気皆無の無邪気さ」と評されていますが、どう読めばいいのでしょう?
面白いけど、難しい。
◇返り花君あくびでもしに来たれ(茅ヶ崎市・河村敏夫:長谷川櫂選)
暇を持て余しているから、あくびをするつもりでもよいから遊びにおいでというお誘い?
◇着ぶくれて父が上京してきたり(大和市・小田島恵子:長谷川櫂選)
歳を重ねるとなぜ着ぶくれるのでしょうか?母などは何枚着ているか自分ではわからないほどです。
着ぶくれた父の持つ手土産はサントリーオールドでしょうか?
東京に住む人から見て東京に来ることを「上京」というように、地方都市へ行くことを地元の人はどう呼んでいるのでしょうか?
確か福岡に人が来ることを「来福」と呼んでいたような記憶があります。
◇茶の花や山高くまで人の住む(熊本市・永野由美子:大串章選)
峠越えのサイクリングなどをしていると、急斜面の上の上まで人家を見ることがあります。
どんな事情があってあんなに高いところに棲家を作ったのでしょうか?そのわけを知りたくなります。
◇朴落葉杖でとどめを刺しにけり(箕面市・菖蒲哲郎:大串章選)
朴木の葉はお面を作ったりできるくらいに大きいものです。さすがに杖で刺すと手応えもあり「止めを刺す」ような気分になることでしょう。
◇制服の紺かたまりて冬に入る(長野市・縣展子:大串章選)
紺の制服を着ている集団は女子生徒でしょうか、男子生徒でしょうか?
◇それらしき気温に目覚め今朝の冬(東京都・田治紫:稲畑汀子選)
それらしき「気温」に引っ掛かってしまいました。
首周りの寒さとかを感じて目覚めたと言うことでしょうが「気温」でなければならなかったのでしょうか?
◇ふるさとは殉教の島石蕗(つわ)の花(大阪府島本町・辻千緑:稲畑汀子選)
殉教の島というと長崎かとも思いますが、岡山の日生諸島にも切支丹弾圧の殉教の島があります。再び訪れてみたいと思い出しました。
◆朝日歌壇
◇ことごとく破る軍手の薬指その働きを知らざりし指(神奈川県・中島さやか:馬場あき子選)
薬指をよく使う仕事ってなんでしょう?
「働き」が薬指の働きを指すものか、その人の労働を指すのかどちらでしょう?難しい。
◇泣く基準あいまいになって無意識に泣かない方を選んでいる私(富山市・松田梨子:馬場あき子選)
作者はリコさん、ワコさん姉妹のお姉さんです。
見る見る内にどんどん大人になっていかれます。朝日歌壇の入選歌だけでもまとめて読むと彼女の成長を実感できることでしょう。
◇首都圏の産廃ダンプが通う道震災瓦礫が南下して行く(福島市・伊藤緑:馬場あき子選)
ただの震災の瓦礫であればこんなに嫌われることもなかったのに。
汚染された瓦礫はフクシマ(東京電力福島第一原子力発電所)に閉じ込めて置くのが最善の方法でしょう。
10月に東京地裁は「放射能は無主物である」との東京電力の主張を認めています。つまり福島第一原発から飛散した放射能の所有者(責任)は東電にはない
という、著しく東電に加担した判断です。
◇荒草を分け入るわが家(や)戻れざることを予感す一時帰
宅に(東京都・半杭蛍子:馬場あき子/高野公彦選)
福島第一原発事故で立入禁止区域の牛舎(跡?)を写した映像をニュースで見ました。そこには牛の屍骸(骨)が順々に並んで転がっていました。
そしてそのニュースは、除染して帰ろうと訴える町長と、除染しても住めないのだから新しい村を建設して移ろうという人たちの対立を報道していました。
誰も故郷を捨てろとは言えない難しい問題です。
◇客一人客また一人去りしあと亡き母に似るママと向き合ふ(東京都・近藤しげを:佐佐木幸綱選)
亡き母似のママはママのよさ、下種な私などは初恋の彼女似のママであってほしいと思うのです。
◇福島を「負苦島」にして冬が来る汚染されたるまんまの大地(福島市・美原凍子:高野公彦選)
「汚染させたるまんまの大地」に冬が来る。豊かな福多き土地を汚して。自然災害なら納得もできるが企業の犯罪だから、加害者に加害の責任を求めたい。
◇西に8基、東に7基のど真中銀座に住んでフクシマを想う(小浜市・津田甫子:高野公彦選)
東の福島、西の福井とどちらも「福」の字の着く原発立地の自治体です。フクシマを想うことフクイを想うこと。
◇三輌で着きて一輌切り離しこれより飛騨路これより晩秋(可児市・前川泰信:高野公彦選)
高山線の風景でしょうか?これより飛騨路、どんどん山が迫ってきて谷が深くなります。今頃は紅葉の盛りを過ぎたのでしょうか?
◇たまにでも大口あける<谷>はいいいつだって<父>の字はなさけない(春日部市・阿部功:永田和宏選)
先々週くらい前からの「谷」の字の表情を詠んだ歌の続編です。
父は字でも、父であることでも情けない存在です。
◇ソマリアのあの子も数へられたるや世界の人口七十億の日(埼玉県・小林淳子:永田和宏選)
地球の人口が70億人に達したとか、既に地球が養える人口を越えているという意見もあります。喜んでばかりはいられません。世界の人口は飽和し、一人の
人間が使うエネルギーはどんどん増えている。そろそろ暮らし方を変えなければと思う。
他に70億人目の我が家の赤ちゃんの誕生を喜ぶ歌も入選していたことを書いておきます。
<暗き地球に夜明けくるごとわが家七十億人目の赤児生まれる>(浜松市・松井恵)
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