11/12/19 朝日俳壇、歌壇より
先日の長野の帰り
に乗車した特急しなのが地震のために大幅に遅れました。
その特急券の払い戻しに今日、自宅最寄りの駅に行ったのですが、払い戻してくれませんでした。担当者の言い分は@クレジットカードで買っているから、A
払い戻しは買った塩尻駅に行ってくれ、B買ったのはJR東日本、乗ったのはJR東海、ここはJR西日本だから払い戻しできないと言っていることが支離滅裂
で要領を得ません。事務室にいた先輩と思われる社員も何も言いません。
こんな輩と話しても始まりません。担当者の名前を確認して退散しました。
その後、所用で寄った京都駅の精算所では何事も無く払い戻しをしてくれました。
担当者は私を年寄りと見くびり慢心した態度でした。こんな態度が福知山線の事故のような重大な事故を生む原因になると、JR西日本に意見を送っておきま
した。
なんとも、後味の悪い担当者の態度でした。
12月19日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇編みかけのセーターほどき恋終わる(大阪市・渡辺たかき:稲畑汀子選)
恋を詠うのに俳句はむいていないのかと思っていましたが、良い恋の句を読ませていただきました。
◇昔あり炭で炭割る母の朝(熊本市・西美愛子:稲畑汀子選)
選者は「炭を割って火をおこす昔の暮らし。母への感謝」と評されていましたが、貧しい家庭ではカンカンと音を出すような炭は買えず、枝や廃材の燃えかす
を炭壷に入れた消し炭が火鉢の火種でした。
◇もう仏うすき布団を寒がらず(東京都・井原三郎:金子兜太選)
どう読むのでしょうか?
もうすぐ仏になる(死ぬ)身である私には、薄い布団でも寒くはないと読むのでしょうか?
◇遺言のやうな賀状となりにけり(広島市・村越ゆかり:金子兜太選)
どちらも金子兜太さんの選ばれた句なのに、前句と比べてわかりよい句です。
年をかさねると、賀状に一筆と思うと書置きのようになってしまいます。作者は若い女性のように見受けたのでしが。
◇原発の方より来たり冬の犬(いわき市・馬目空:長谷川櫂選)
犬だって生き物、放射能の影響はあることでしょう。また、その犬の存在も汚れていて歓迎される存在ではないでしょう。
選者は「君いづこより来て、いづこへ行くや。我、原発の方より来て、いづこへ行くか知らず」と評されていて、こちらも楽しい。
◇木枯の木のなき街を掻き鳴らす(南相馬市・山崎秀夫:大串章選)
津波が何もかもさらった街、木枯らしが吹くと言っても枯らすべき木もない。悲しいこと。
◆朝日歌壇
◇三月11日永眠と記された喪中の葉書われに届きぬ(仙台市・三角清造:永田和宏選)
2011年3月11日を同じ命日となった方が1万5千人もおられる。同じ命日の人が多ければ多いほど不幸なこと、天災でも、人災でも、戦争もまた。
10月17日の朝日歌壇に、谷の字は「かなしい顔している字」と詠まれた歌が掲載されてから、谷
の字も書きようで大口あけて笑っているぞという歌、父の字はもっと情けないとか、色々と入選して歌壇の小さなブームのようでした。
字歌が今週もいくつかが入選しています。
◇ハムちゃんと私を呼んだ喪中欠礼叔母より届く(宗像市・内田公子:永田和宏/高野公彦選)
子どものころ、同級生の公子さを「ハム」ちゃんと呼んでいた記憶があります。
◇情けない<父>を支えてどっしりと口一文字(いちもんじ)<母>の字強し(さいたま市・水島友子:永田和宏選)
「父」という字は情けない、「母」という時は一文字に結んだ口元が頼もしいことです。そのとおり。
◇父の字は元気な四画手も足も精一杯に走っています(岐阜県・棚橋久子:永田和宏選)
手足を前後に振って一心不乱に走っている父、決して情けないとは言わせません。
精一杯走る姿は健気ですが、頼もしいと言えるかどうか?
◇現役の頃のコートの肩濡らし癌を抱きて夫帰り来る(横浜市・中川節子:馬場あき子選)
なんか哀しい。
「現役の頃のコート」が雨か霙に濡れている。そして病も抱えて。
◇わが里の阿武隈川が500億ベクレル海へ注ぎ込みゆく(宮城県・大友道子:馬場あき子選)
「収束宣言」などとんでもない。東京電力福島第一原子力発電所は、今も放射能を垂れ流している。
母なる川阿武隈は、持ち主不明(無主物)の放射能を海に運ぶ役を果たしている。
水俣でも神通川でも、企業の垂れ流した水銀やカドミウムを持ち主不明と言い張った。歴史は繰り返す。
◇育みし万の茸は汚され友はしずかに廃業告ぐる(福島県・佐藤照子:佐佐木幸綱選)
この歌のように「汚れた」のではなく東電に「汚された」のです。
汚された食べ物は大人が食べる。子どもには決して食べささない。
そんな流通の仕組みが一日も早くできることを待っています。
◇「負苦島」にさせてはな
らぬうつくしま歌詠む力届け富来島(ふくしま)(日田市・石井かおり:高野公彦選)
11月28日の朝日俳壇に福島の美原凍子さんの<福島を「負苦島」にして冬が来る汚染されたるまんまの大地>への返歌。
もう福島は帰るふるさとではなくなったのでしょうか?
富来島に戻ることができるのでしょうか?
◇いらいらと幼を叱る声のして胸痛むあれはいつかの私(佐倉市・船岡みさ:高野公彦選)
若くして子を成した私は、大人に成りきれない自分を知っていて背伸びをした厳格な躾をしていました。
この歌と同じように、叱られている子どもを見ると胸が痛みます。
|
|