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12/02/06 朝日俳壇、歌壇より
 厚労省の「国民健康・栄養調査」(2010年)が発表されています。

 それに拠ると所得の低い(年収200万円以下)
は他の層に比べて、
・運動をする習慣がなく
・朝食をとらない
・喫煙率も高く
・肥満している
 そうです。「国民健康・栄養調査:女性の肥満、所得で差 200万円未満25%、600万円以上13%−−厚労省10年」 (毎日新聞 12/02/01)

 貧しいと栄養バランスのとれた食事もできず、運動をする生活の余裕もない、結果として肥満となり生活習慣病になるという悪循環です。

 堤未果さんの「ルポ貧困大国アメリカ」に書いてあったアメリカの状況と全く同じでした。アメリカの属国である日本は病巣まで 似てくるのですね。

 貧困、肥満、喫煙、病気、自殺など気になることばかりです。厚労省のレポートを読み込んで紹介できたらと思います。

   2月6日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
 今週の入選句は私には理解がむつかしいものが多すぎました。

◇恐らくは家出少年息白し(栃木県壬生町・あらゐひとし:大串章選)
 どんな光景なのでしょう。
 昔なら、駅のベンチで寝ている少年などいたのでしょうが、今どきの家で少年のイメージが沸きません。

◇行商の荷を覗く子や日脚伸ぶ(可児市・金子嘉幸:大串章選)
 子どもの頃には、薬売り、包丁研ぎ、傘直し、泥鰌屋、豆腐屋と農村にも色んな行商の人が来ました。友だちと遊べなかった私は行商のおじさんの荷を覗き込 み、巧みな話に聞き入っていたものです。

◇故里にひとり雪掻く母のこと(大和市・小田島恵子:稲畑汀子選)

◇熱燗や声に傷ある男達(清瀬市・峠谷清広:金子兜太選)
 「声に傷ある」とは言い得て妙です。
 私の利用する居酒屋にも「声に傷ある」客がいます。ちょっとビビってそちらを見ないようしていますから、顔に傷があるかどうかはわかりません。

◇磔刑(たくけい)のごと吊り皮に着膨れて(川崎市・八嶋智津子:金子兜太選)
 吊革にぶら下がっているのは鮟鱇かと思いましたが人間でした。
 磔刑などむつかしい言葉です。それと「吊り皮」に違和感がありました。普通「吊り革」ではないかと思いました。

◆朝日歌壇
 今週もまた、朝日歌壇は若い歌人の歌が多く入選しています。お気に入りはありますか?

◇父さんゆびと母さんゆびで種をまくつまめば命こぼれひしめく(天童市・さいとう若菜:佐佐木幸綱選)
◇冬休みあやとりのわざできたんだきょうがはじめて四だんばしご(京都市・室文子:佐佐木幸綱選)
◇いいことがあったらママのいなりずしいいこと起こる前から準備(富山市・松田わこ:高野公彦/馬場あき子選)
◇大みそか初めて打った除夜のかね寒さがいっしゅんおどろいてにげた(笠間市・高野花緒:高野公彦/永田和宏選)
◇あめゆじゅが降っているげいび渓下り鴨っこ寒そうに泳いでいった(横浜市・高橋理沙子:高野公彦選)
◇直己兄ちゃん成人になる赤飯は梅の形に私がぬいた(横浜市・高橋理沙子:永田和宏選)
◇冬休み宿題多い算数の問題の字がありんこに見える(笠間市・高野花緒:馬場あき子選)

◇辛口の地酒を用意して待つと岩魚の宿の主(あるじ)のたより(鳥取県・表いさお:佐佐木幸綱選)
 馴染みの定宿があると、こんな嬉しい便りもあるのですね。
 一時、伊豆の温泉民宿を年に数度利用することがありました。宿の娘婿から「鮎が上がっている」と電話があったりしたものでした。その宿も今はどうなって いるのでしょう。

◇ぽつんと一人テレビを見ている父そこだけが古い写真のようで(赤穂市・内波志保:高野公彦選)
 セピア色でしょうか?シルエットでしょうか?
 歌や句を読んで気になるものに印を付けているのですが、知らず知らずに同じ人の作品を選んでいます。内波志保さんもその一人です。

◇寒かろう、冷たかろう、辛かろう帰らぬ人も帰れぬ人も(福島市・美原凍子:高野公彦選)
 津波の被害者を思っての歌でしょうか?

◇病院の地下に在る門をしらざりき闘い終わりし夫と出でたり(平塚市・内海良子:高野公彦選)
 病気との闘いでは

◇わけぎにはわけぎの丈の風がありプランターの縁にこぞりてなびく(町田市・阿部光子:永田和宏選)
 分葱には分葱の丈があるように、人には人の身の丈があると思います。身の丈を知らぬ人間が多くて困りますね。

◇友からの年始の林檎に放射能無しのちらしあり被曝地の我に(本宮市・廣川徹郎:永田和宏選)
 被曝地に「放射能無し」と書かれた林檎が送られる、なんとも皮肉なことですが、濃淡の差はあれど日本で作られる採られる物は全て放射能に汚されていま す。覚悟して食べるべきです。

◇もう一人の自分がご苦労さんと言う母が眠りについたひととき(浦安市・白石美代子:永田和宏選)
 介護されている方のひとときの安らぎ。

◇うたた寝の母に毛布を掛けてやるわたしに掛けてくれた毛布を(さいたま市・五十部麻:永田和宏選)
 母から子へ、子から母へ、愛情と毛布。

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