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12/02/21 朝日俳壇、歌壇より
◆憲法の活かされない社会
 さいたま市で親子3人の餓死と見られる死体が見つかったと報じられていました。死後2ヶ月とも。
 6ヶ月も家賃を滞納し、電気もガスも止められて郵便受けが一杯になっている一家がいても行政も周りもなんとも思わなかったのでしょうか?この3人に憲法 (少なくとも25条は)は活かされなかった。

◆暮らしを変える
 関西電力の11基目の原子力発電所が定期検査のために停止、これで関西の電力は原子力に頼らないことになりました。また全国54基中44基が集中する福 井県からも原発の火が一時的とはいえ消えました。このまま再稼働せずに廃炉までいって欲しいものです。
 東京新聞は21日付けの社説(関 電の原発停止 私たちの挑戦が始まる)で、「原発ゼロ時代を見据えた新しい社会づくりに向かいたい。消費者もそれに合わせて、暮らし方を変えてい く必要があるだろう。ゼロは後退ではなく、挑戦の始まりだと考えたい」と書いています。そのとおりだと思います。

◆匿名報道、実名報道
 山口県光市の母子殺害事件で死刑が確定しました。その途端に顔写真と実名が晒されました。
 その理由は「死刑が確定することで更生、社会復帰に配慮する必要がなくなり、上告審判決に対する訂正申し立てでも量刑が覆ったケースはないためです」 (共同通信)だそうです。
 因みに匿名報道を続けているのは毎日新聞と東京新聞だけだそうです。「実名報道と匿名報道 光市母子殺害事件で分かれる」(47News 12/02/21)

 私は、被害者、加害者によらず事件報道は匿名であるべきだと思っています。権力を持つものの犯罪は別ですが。
 また、死刑制度を支持しません。
 そんな立場の私には後味の悪い判決であり、報道でした。

 2月 20日付けの朝日新聞の俳 壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇身を沈め身を躍らせて雪を掻く(北海道鹿追町・高橋とも子:稲畑汀子/大串章選)
 雪掻きは力仕事ですが、コツもいるのでしょう。一旦沈み込んで反動で重い雪を遠くへ掻き出すのでしょう。

◇真実の人を見て寒極まれり(塩釜市・桜井洋嘉:金子兜太選)
 詠まれている「真実の人」とは誰なのでしょうか?「見て」とありますから映画やドラマの登場人物でしょうか?
 テレビは見ていませんが「運命の人」のモデル・西山太吉さんでしょうか?
 私の中でマイブーム的真実の人は京都大学の小出裕章さんでしょうか。

◇人参の詩は短くて十勝の子(江別市・後藤尚司:金子兜太選)
 むつかしい句です。十勝地方は人参の産地のようですが。

◇あの日から逢瀬を重ね老いの春(岡山市・森格:金子兜太選)
 選者の金子兜太さんは「うらやましい限り」と評されていますが、「あの日」が気になります。あの日は遠い昔のことなのでしょうか?私にはもっと最近のこ とのように思えます。

◇今はただ太郎ひとりが雪下ろし(千葉県酒々井町・市村孝子:大串章選)
 「太郎」とは家に残った長男坊のことを指すのでしょうか?過疎の地の豪雪はご苦労の多いこととお察しいたします。
 豪雪地域だから過疎になったのでしょうが、残された人々にとっては大変なことです。

◆朝日歌壇
◇どれだけの覚悟で言ったことなのか君は知らない「勝手にしなさい」(横須賀市・今村こず枝:永田和宏選)
 覚悟をして言ったのは作者?
 一読目には「(プロポーズなど)あなたはどれほどの覚悟を持って、その言葉を言ったのですか?」と、相手が言ったように読んでしまいました。だが、違う ようです。「私がどんな覚悟で言ったことか、解る?分からないなら『勝手にしなさい』」と読むのでしょうか?
 若い(勝手にそう思いましたが)の歌は羨ましい。

◇降り積もる雪の嵩だけ狭くなる道路も空も人の心も(高岡市・池田典恵:永田和宏選)
 この歌はすごい。門外漢は豪雪の町では扶け合って生活されているものと思っていましたが、人情も薄れてきたということでしょうか?
 「道路も空も人の心も」と一気に読ませてもらいました。

◇あなたには子がいないからわからぬと痛いところを突かれてしまう(さいたま市・五十部麻:永田和宏選)
 女性同士でもこんな会話があるのでしょうか?
 子を持つことは女として人間として大変なこととは思いますが、子を持たぬ女や男に「だから分からない」と言っても始まらないことだと思う。人が皆同じ経 験をできる訳でもないのだから。
 私はかけがえのない私だから、私にしかなれない私に。

◇木に見られ鹿に見られて居るような林の中の大寒日和(伊那市・小林勝幸:馬場あき子選)
 山に入って一番怖いことは人の気配です。誰もいないと思って入った山に動物なら

◇追い払えど追い払えどもまた戻る鬼よにんげんが好きなんだろう(福島市・美原凍子:馬場あき子選)
 美原凍子さんにとっての「鬼」はなんだろう。色々考えさせられました。

 別ページの「短歌が受け止めた震災」という記事に<原発の空のしかか るふるさとのここにいるしかなくて水飲む>という美原凍子さんの歌が紹介されていました。

◇大根と言えぬ大根収穫し大満足の二人の夕餉(京都府・武内千賀子:馬場あき子選)
 小さくとも曲がっていても自分の育てたものを収穫するのは楽しいものです。収穫物を素材に気の利いた料理などできれば最高ですね。お幸せなお二人の姿が 想像できます。

◇放し飼いの鶏(とり)にも仲間はずれいてうろうろしている霰の中を(沼津市・石川義倫:佐佐木幸綱選)
 人間の集団を見ているようです。
 現役で働いていたころ立食の宴席に参加するのが苦痛でした。テーブルを回って歓談なんてことが一切できず、回ってこられて話を合わすこともできず、まさ に放し飼いの中の仲間外れでした。

◇気がつけば歌壇に「福島」探しいる自分の居場所あるが嬉しさ(福島市・武藤恒雄:佐佐木幸綱選)
 私も毎週「福島」を探しています。

◇福島の水はきれいと思いしがフクシマとなり水を買う日々(郡山市・昆キミ子:高野公彦選)
 東京に住む娘たちは福島第一原発の事故以来、飲水や煮炊きにはペットボトルの水を買って使っているようです。作者が詠まれているように自慢だった水が飲 めなくなったのは悲しいことです。

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