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12/02/27 朝日俳壇、歌壇より
 世の中、一体どうなっているの でしょ う。この国の未来は一体どうなるのでしょう。
 老いた身にも不安なことです。

◆9条改悪
 大阪のことより国政が気になる橋下大阪市長は、次の衆議院選挙の政権公約に9条改悪(9条改正の国民投票を実施する)を盛り込む方針のようです。
 橋下氏は「国民が9条を選ぶなら僕は別のところに住もうと思う」と述べたとも。「橋下・大阪市長:憲法9条改正で国民投票実施を」(毎日新聞 12/02/25)

 橋下氏は、憲法違反の職員への思想調査に続いて憲法9条を改悪して日本を「戦争のできる国」にしたいのでしょう。法律家としての彼は憲法というものをど のように理解しているのでしょうか。
 国際的な紛争の解決手段として武力行使や戦争を永久に放棄するとした憲法9条がなぜ邪魔なのでしょう。日本を「戦争のできる国」にしたい人には、9条を 守り抜き「戦争のできる国」に出て行ってもらうしかないでしょう。

◆餓死
 人に知られることなく、行政の手も、近隣の手も届かないで何ヶ月も前に餓死していたという、立川市やさいたま市で相次いで発見されていました。

 立川市の事件は病死した母親のそばで4歳の男の子が死後2ヶ月の状態 で発見されました。男の子には知的障害があったとのこと。
 さいたま市の事件は60歳代の夫婦と30歳代の息子の親子3人がミイラ化した状態で発 見されました。残っていたのはペットボトルの水とずか数円の金を残っていただけ。一家は住民登録もしていなかったそうです。

 人間の命がこんなに軽くなったのはいつからでしょうか?
 政治はこのような社会的弱者に一番に手をそえなければならないのではないでしょうか?今の政治は大企業や金持ちをより富ませるためにあるようです。

◆恫喝
 東京電力福島第一原子力発電所の事故直後から官房長官としてウソを付き続け国民の命を蔑ろにした枝野幸男は法の裁きを受けてどこかの刑務所に収監されて いなければならないはずですが、今は経済産業大臣とか。
 その枝野が懲りもせずウソをつき続けています。今回はもっと悪質な恫喝でもあります。

 枝野は原発を再稼働しなければ電気料金が
「1%とか2%でなく、5%とか10%とか15%というレベルで上がる」と言い 放ったそうです。電気料金:大幅値上げ『必然』 原発再稼働も必要−−枝野経産相」(毎日新聞 12/02/25)

 原子力発電の穴を埋めているのは火力発電、火力発電の燃料費が高くつ くという電力会社の言い分そのままに腹話術の人形のように繰り返すだけの経産大臣など不要ではないでしょうか?東電の社長にでもやらしておくようなもので す。

 電力会社の傀儡となった経産大臣は、原子力発電より火力発電のコストが高くなるなんて子どもでも解るウソをつき続けなければなりません。
 ヒトラーは「大衆は小さな嘘より大きな嘘の犠牲になりやすい。とりわけそれが何度も繰り返されたならば」と言ったそうですが、枝野がヒトラーのごとくに プロパガンダを始めました。


 2月 27日付けの朝日新聞の俳 壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇枯蓮(かれはちす)国会議員と見間違う(流山市・尾形ゆきお:金子兜太選)
 選者は「枯蓮の折り重なる様子も」と評されています。むつかしい句です。
 上に書いた枝野のような国会議員などとっとと枯れて消えて欲しいものです。

◇鳥獣に人類加へひなたぼこ(安城市・稲垣雄二:長谷川櫂選)
 我々も鳥獣と一緒の生き物、みんな一緒に日向ぼこ。

◇易易と絵踏みしていたかも知れぬ(姫路市・西村正子:長谷川櫂選)
 何に対して絵踏みを易易としていたのでしょう。深い意味があるのでしょうう。
 キリスト教徒の発見のために聖画を踏ませたことを私は「踏み絵」と習ってきましたが、今は「絵踏み」と言うそうです。なぜでしょう?

◇鬼やらひ妻は本気で投げてくる(前橋市・齋藤進:長谷川櫂選)
 思わず笑ってしまいました。豆を投げつけて収まるならじっと耐えなければなりません。

◇男らに止まり木のあり春隣(鳥取県大山町・表いさお:大串章選)
 止まり木を、選者は「バーのカウンター」とされていますが、私はちょっと古びた居酒屋のカウンターを思い浮かべました。
 女性にこんな句を詠んで欲しいですね。

◆フクシマを詠んだ入選句
 フクシマを詠んだ作品はいつもは俳壇よりも歌壇に多いのですが、今週 は俳壇に3句が入選していました。

◇ふくしまや春水ゆるくゆるく海へ(福島市・坂本豊:金子兜太選)

◇春の空フクシマ遠く帰れざる(宇治市・鈴木好美:金子兜太選)

◇冬ざれの福島に住む夢のごと(伊達市・林ふゆ子:大串章選)

◆朝日歌壇
◇紀の国の春は早しも曳き売りは青箭魚(さごし)を捌(さば)く露地に入りきて(和歌山市・山口雅史:馬場あき子/佐佐木幸綱選)
 曳き売りの人が声を掛けながら路地路地を回る姿は町の風情が感じられる風景です。全国にもそう多くはないのではないでしょうか。商店街も無くなって老人 が買物もできず「買物難民」などと呼ばれているとき曳き売りはもっと大切にされても良いのでは。
 サゴシというのはサワラの小さいもの(弟?)ですが、
こんな字(青箭魚)を書くのですね。初めて知りました。

◇コンビニに寄る深夜二時半額の弁当を買うバイトを終えて(沼津市・岩 城英雄:馬場あき子選)
 午前2時の半額弁当とは廃棄される直前のものでしょうか?
 夜中まで正規労働者として働けず、いつ首を斬られるかも知れぬアルバイトで暮らしを繋いでいる私たちには「廃棄直前の弁当」が似合うのでしょう。そんな 生活をしていて健康でいられる訳がありません。低賃金、劣悪な労働条件で働くだけ働かし役に立たなくなれば「死ね」ということ、1929(昭和4)年に小 林多喜二が書いた「蟹工船」の時代とどこに違いがあるのでしょうか?

◇サイフォンの湯気の向こうにマスターのそのまた向こうのジェームス・ディーン(大和郡山市・四方護:佐佐木幸綱選)
 こんな風景の喫茶店も少なくなりました。

◇冬晴れのひと日あがきて作成す原発賠償金の請求書を(東京都・半杭螢子:佐佐木幸綱選)
 原発事故の賠償金の請求書は、金を払うのが嫌でクソむつかしくしているそうです。

◇熊のやうに春の真ん中誰あらむ兜太先生柔らかな雲(三郷市・岡崎正宏:佐佐木幸綱選)
 兜太先生は、熊のようですが柔らかい。

◇雪の駅過ぎるのぞみの長身がぐるりと回るビルのガラスに(名古屋市・加藤武朗:佐佐木幸綱選)
 そうだなあと感心しました。長身の新幹線もビルに映って「く」の字に曲がります。

◇口紅は真紅を選び勝負するいつ奪ってもいいよ唇(横浜市・八幡まり: 高野公彦選)
 若いっていいなあ。勝負口紅を引いて心の中で「唇を奪っていいよ」「奪って」と思っていられる世代が羨ましい。

◇遺影にと撮りたる写真若過ぎると撮り直すまで長く生きたり(志摩市・九鬼秀夫:高野公彦選)
 あまり若い遺影では、さりとて撮り直すのもとむつかしいものです。
 先日亡くなった義母の遺影は普段の写真でそれなりに趣はありましたが、元気なときに美容院でも連れて行って写真館で撮って上げておくこともできたのにと 思いました。

◇国籍の異なる二人の歳月にそのまま添うて猫も老いたり(アメリカ・ ソーラー泰子:永田和宏選)
 選者は「ソーラーさんのは国籍を異にする夫婦に添うて老い始めた猫。 しみじみといい」と書いておられましたが、私は早とちりをしてアメリカ人(多分)と結婚されているソーラーさんは、アメリ カ国籍ではないかと思いましたが、アメリカ人とけっこんしてもアメリカの国籍にはならないそうです。勉強になりました。

◇学生の日に歌いたるそのままにイムジンガンを鳥渡りゆく(大和市・水口伸生:永田和宏選)
 旅先でイムジン河を見られたのでしょうか?
 多分、同世代の私も松山猛さん訳詞の「イムジン河」を今でも聞いています。
 ♫北の大地から/南の空へ/飛びゆく鳥よ自由の使者よ・・・

◆高校生の入選歌
 今週は滋賀県立大津高校から大量の応募があったそうで何首かが入選していましたがその中から一首を紹介します。若い人の歌は羨ましいことばかりです。

◇手ぶくろをしないで歩く君の横つながれるのを期待しながら(大津市・秋葉美希:高野公彦選)

◆井月のこと
 山頭火が一度は病に倒れ果たせず、二度目に伊那に井月の墓参を果たし<お墓したしくお酒をそゝぐ>と詠んだ井上井月(いのうえ・せいげつ)が
、 俳壇、歌壇のページの中のコラム欄に「放浪俳人井月のこと」(高山れおな)と題して取り上げられていました。

 記事によると、井月を主人公にした映画(ほかいびと 伊那の井月)が作られたそうです。
 放浪の俳人井月を「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」などで渋い演技をされていた田中泯(みん)さん演じられているそうです。
 関西で公開されれば、是非観たいと思います。私も墓参した伊那谷の美しい景色が見られることでしょう。

 私の井月墓参記はこちら(残日録08/09/04) をご覧ください。
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