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12/05/15 朝日俳壇、歌壇より

◆沖縄返還記念日と原発立地
 今日は沖縄返還(復帰)40周年です。
 
アメリカ軍の軍事基地を押 し付けられている沖縄と、原 子力発電所を押し付けられている過疎地がダブって見えます。

 ビル・トッテンさんのOur Worldに「原発と核兵器は同じ」というコラムが掲載されていました。
 コラムに拠ると、アメリカの国家安全保証問題専門の通信社「NSNS」がアメリカ政府は核技術の国外移転を禁じた法律を破って日本に核兵器の原料となる プルトニウムの備蓄を手助けしていたというレポートが公開されたそうです。
 日本政府は1960年代から核兵器の開発計画を持っており、CIAなどを通じてアメリカ政府は知っていながらプルトニウム増殖炉の設備などに技術を提供 していたという。http://www.dcbureau.org/

 今、原発の再稼働を目論む人たちが究極に目指しているのは核兵器を持つ戦争をする国・日本になることのようです。
 そのために産業もなく立ち行き難い過疎の町に原発を持ち込んだのです。核の平和利用などウソにもほどがあります。

 大飯原発の地元、おおい町議会は全員協議会で共産党議員一人を除いた賛成多数で大飯原発の再稼働に同意したと報じられています。「おおい町議会 再稼働同意」(朝日新聞 12/05/15)
 3.11以後、原発立地の地元住民で「原発が安全だ」などと思っている人は居ないはずです。それでも再稼働に同意しなければならない苦渋の選択ではな かったのでしょうか。

 沖縄にも原発立地の過疎地に共通するのは「差別」です。

 ビル・トッテンさんは「日本のジャーナリズムはその使命としてこのNSNSの記事について日本政府に問いただすべきであろう」とコラムを締めておられま す。日本に健全なジャーナリズムがあるのでしょうか。
 
◆大企業奉仕の政府
 自動車メーカーは減税、補助金と車の購入がしやすいとさかんに宣伝しています。
 自動車メーカーなど輸出企業には輸出する製品の仕入れに掛かった消費税相当額を払い戻す輸出戻し税という制度で優遇されているのです。そんな状況で消費 税の増税などもっての外です。
 1%の金持ちや大企業に奉仕する政府ではなく、女性、子ども、老人、病人、障害者など99%の弱者のための政府をつくらない限り解決しない問題です。


 14日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇両の手に桜触れをり今日の母(高松市・植田直子:金子兜太選)
 「今日の母」に惹かれました。
 療養されている母を花見に連れ出し桜花に触れた喜びが伝わってきます。

◇そつと息たしかめらるる朝寝かな(東京都・松村登美子:長谷川櫂選)
 思わず笑ってしまいました。
 兄夫婦と暮らす我が母も時々は嫂に手をかざされて息を確認されているとか。

◇草野球花見の客に叱咤され(川崎市・山根繁義:長谷川櫂、大串章選)
 俳句と川柳の違いなど素人にはわかりませんが、この句は川柳っぽいのかと思いました。
 いやいや伝統俳句の旗手・長谷川櫂さんの選だから俳句に違いないのでしょうが。

 <ひん抜いただいこで道を教えられ>(川柳)
 <だいこ引きだいこで道を教えけり>(一茶)
 「俳句と川柳の違い」などと言えば必ずというほど出て来る例句ですが、どちらが俳句か川柳か未だにスッキリしません。

◇亀の鳴くことさえも知らず老いにけり(東京都・飯田香代子:長谷川櫂選)
 そのとおり、亀が鳴くなどという言葉をしったのは老いてからのことです。
 「亀鳴く」は春の季語だそうですが、何でかな?と思ってしまいます。

◇春愁と診断下す獣医かな(岡谷市・岩田正恭:大串章選)
 動物にも春の愁いはあるのだろうかと早合点してしまいそうです。
 友だちか家族の獣医さんが「そりゃ、春愁だろ」と言ったのでしょうか。

◆朝日歌壇
◇満開の桜並木の映像はわらの故郷 逃れて哀し(東京都・半杭螢子:高野公彦選)
 反杭さんは福島から避難移住されている方のようです。故郷・福島の桜の名所を映すニュース映像を見て一層哀しみが増します。怒りも憤りも交えて。

◇どこまでも温しふくしまの里びとはよらんしょこらんしょあがらんしょ(福島市・美原凍子:高野公彦選)
 美原凍子さんの歌。
 「
よらんしょこらんしょあ がらんしょ」とは「寄ってください。お出でください。上がってください」といういみでしょうか?地の言葉はあたたかい。

◇帰宅したあなたの遺体が寝たシーツそのまま洗わず私が寝てる(京田辺市・藤田佳予子:高野公彦選)
 愛する人を失った喪失感はどうしても拭えないものなのでしょう。人を愛したことのない老人は想像するだけです。

 言葉にまつわる歌四首です。それぞれに味わい深い歌ばかりです。
◇母の文結びは「なんとかやってます」その”なんとか”が子には重くて(大和郡山市・ 四方護:永田和宏選)
 「まあ、なんとかやってます」は、うまく回っている時にも周り難い時にもよく使う常套句です。
 ”Don't mind”気にしないでというところでしょうか。
 そう言われても、その言葉の裏に母の困難な生活を案じる故郷を捨てた息子なのでしょうか。

◇「老いていく母を見るのはつらいなあ」面と向き子がそう言い放つ(新潟市・太田千鶴子:永田和宏選)
 こちらは直接的な言葉です。
 先日94歳の誕生日を迎えた母は少しづつ少しづつ老いています。それは会うたびに実感するのですが、中々「老いるのを見ているのは辛い」などと言えない ものですが、この母子は腹を割って話し合えるのでしょう。

◇「なぜ家に遊びに来ない?」と言う人よそれがわからない人だからだよ(東京都・上田結香:永田和宏選)
 こちらは辛辣な歌です。
 遊びに行かないのは、遊びに行かない訳をあなたがわからないという鈍感さが嫌なのですと。女性は難しくて怖いものです。

◇口ごもる「うれしいけど」の「けど」だけがふやけて止まぬ春の雨音(岡山市・佐藤茂 広:永田和宏選)
 男性からの歌です。
 「温泉に行こうか?」と誘っても「嬉しいけど」と女性は宣う。無粋な男は「けど」の意味が分からない。

◆死刑囚 のうた
 連続企業爆破事件の大道寺将司死刑囚の「棺一基」という句集が静かに売れているという記事がありました。
 死刑囚歌人としては島秋人さんが有名ですし、同じテロリストで浅間山荘事件の坂口弘死刑囚も歌人としてよく知られています。また、
朝日歌壇に投稿されていたアメリカで終身刑に服されている郷隼人さんなど囚われの人の詠むのは短歌か と思っていましたが、俳句を作る方もおられるのですね。

 巻頭句<友が病む獄舎の冬の安けしを>

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