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12/06/10 朝日俳壇、歌壇より
 6月10日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇こぼれくる木漏日もまた緑なる(大牟田市・古賀昭子:稲畑汀子選)
 木漏れ日もみどり色をしているという感覚はよくわかります。「コボレクル」「コモレビ」の繰り返しもいいですね。

◇東京は疑心暗鬼の梅雨重し(清瀬市・峠谷清広:金子兜太選)
 人が人を信用できない社会、梅雨空に気分も滅入ることです。
 東京だけになくこの国では政の中枢に、経済界の中枢に君臨する人たちは魑魅魍魎のような人たちばかりです。
 最近、よく引用させていただいている熊本市の開業医onodekitaさんは「放射能はまったく目に見えない、五感にも感じない。それなのに、その人間の本質を あぶり出す」と言われています。

◇眦(まなじり)に赤き意志あり親燕(下関市・内田恒生:金子兜太/大串章選)
 親燕の「意志」は一つだけ、子燕が健やかに育つことだけです。
 人間だって同じ、放射能に幼い身体を蝕まれながら避難できない親の気持ちを思うと、原発云々より喫緊の課題です。

◇白牡丹残して主婦帰らざる(越谷市・飯塚とくじらふ:長谷川櫂選)
 この句の意味は、牡丹見物に来たけれど主婦である私は心残して帰らねばならない、と読むのでしょうか?素人は鑑賞の前に意味が掴めません。

◇更衣心の鎧ぬぎにけり(神戸市・森木道典:大串章選)
 同じような発想をされる方も多いのではないでしょうか?大串章選の一席でした。

◆朝日歌壇
◇桃の花咲くふるさとのふくしまは雪占(ゆきうら)うさぎのあらわるる頃(神栖市・寺崎尚:永田和宏選)
 5月、6月と夏に向かう季節は雪形が現れる季節です。作者は避難されている方でしょうか、故郷の山にうさぎの雪形が現れて今年の豊作を占っていた頃を 思っておられるのでしょう。フルサトヲカエセ!
 「ゆきうら」優しい言葉です。昔は太陽や月、空の曇、虫の多寡、自然否宇宙を頼りに農業をしていたのですね。

◇大阪に彼の名のつく駅があり見つめて過ぎる阪急電車(千葉市・川崎千鶴子:永田和宏選)
 恋する人は、恋人に縁のあるものは何でも愛おしいのでしょう。
 
阪急電車には山本、山田などという平凡な駅名が多いのですが、彼の名はいったいなんでしょう?

◇ぼくはいったいどうしたのだと言いたげな斃(たお)れた兵の見開いた眼(生駒市・辻岡瑛雄:永田和宏選)
 戦場を写した一枚の写真。ああなんてことだろう。未だに人が人を殺している。何をしたと言うんだろう。

◇貧しきが富める一家を養いし年貢の蔵の壁を雨はう(真庭市・岡田耕平:馬場あき子選)
 私が強く感じている矛盾を歌ってくれました。土地なんて誰のものでもない、その土地を私有し貧乏人に貸し年貢を取るなんてシステムが形を変えて存在しま す。消費税の増税などその最たるものです。
 生きて行く最後のライン、生活保護くらいはもっと緩め緩めで支給しても良いのでは。

◇名乗り出て白鵬旗手をつとめたり旭天鵬の二十年咲く(紀の川市・中林祥江:馬場あき子選)
 旭天鵬の優勝パレードのオープンカーの上に白鵬を見た時に爽やかな感じがしました。

◇原子炉を抱えし空母入り来るを為すすべもなく丘に見ている(横須賀市・梅田悦子:馬場あき子選)
 横須賀を母港とする原子力空母は日本で55番目の原子炉です。その出入りをだた見ているしかない日本の国民、原子力発電所も原子力空母も寄港を繰り返す 原子力潜水艦もすべては宗旨国アメリカの言いなりの結果です。日米安保を廃棄して独立しましょ。

◇ほっとする匂いありふるさとは今もなお踏切脇に大島豆腐店(大和郡山市・四方護:馬場あき子選)
 いいですね、こんな風景。嫌いな言葉ですが「昭和」の風景というのでしょうか。風景は匂いで思い出すことが多いようですが、私の故郷の匂いは黒い土の匂 いです。

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