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12/08/23 朝日俳壇、歌壇より

 8月はやはり死の季節、罪無く殺された人々に鎮魂する季節です。

 今年喜寿を迎える知人の兄の話。
 学校を卒え満鉄で働くために単身満洲に赴いたそうです。昭和18(1943)年だったと。その後現地召集され、1945(昭和20)年8月のソ連の満州 侵攻により捕虜となり死んだとしか伝えられていなかった兄の消息の一部が分かったと、本籍地の県より弟である知人の元に通知があったそうです。

 マイクロフィルムをコピーしたような一部日本語と手書きのロシア語による収容所での業務日誌のようなものが入っていました。その大部分は「判読不明」と なっていますが、仕事の経験から機関車の整備をやらされていたようです。
 1945年12月21日死亡、12月22日埋葬と、病名と埋葬地の名前が書かれていました。

 わずか20歳での死、酷いことです。

 オキナワも、ヒロシマも、ナガサキも日本人は国から棄てられました。新たにフクシマも。

 Twitterにあった福島(@nonn311) さんの呟きを若野桂さんがリツイートされていたのを読みショックを受けましたので、転載させていただきます。
  福島は もう だいじょうぶ なんでもない という そんな 空気が ただよって います
 ほんとに ほんと ? 不安を かくして くらして います

 放射能のこと ひそひそ はなします
 あぶないよね なんて いえません
 こわいよね なんて いえません
 そっと 小声で だいじょうぶかなぁ って いいます

 こわいものは こわい のに いやなものは いや なのに そんなことは いえません
 いっては いけない ことだから

 こわい と いうことは はずかしい
 心配 と いうことは うらぎり
 みんな なかまなんだから だいじょうぶ と いいましょう
 それで いいの ? それで 満足 ?


 福島を「日本」、放射能を「戦争」と読み替えて見る。
 紛れもない戦前、否、戦争の真っ只中にある。

 20日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇 より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇軍服の遺影がふたつ敗戦忌(町田市・枝澤聖文:大串章選)
 戦争に取られることが名誉であったり、殺されることが名誉であるような世の中を二度と作らせないために。

 子どもの頃、軒先に「遺族の家」と書かれた安っぽいアルミの板が貼り付けられた家が嫌でした。
 私の父は貧困の中、少年期に患い、貧困故に身体に障害が残ったために招集されませんでした。祖父も早くに亡くし一人っ子だった父の他に戦地にやる子ども のいなかった勝気な祖母はそのことをずっと卑下していたようです。
 私たち孫にもその祖母の気持ちが伝わったのでしょう。軍服も、戦地の手柄話も大嫌いでした。父の病のおかげで私たち兄弟、子、孫が存在し得ているのです から、父の代わりに亡くなった人々に感謝しなければ。

◇敗戦忌十七文字で残すこと(長浜市・東野了:大串章選)
 前の句も「終戦忌」でなく、「敗戦忌」が聞いていると思います。

◇期待てふ重荷を背負ひ泳ぎけり(下田市・森本幸平:稲畑汀子選)
 私など、どなたが金だとか銀だとかまったく期待しておりません。マスメディアが作り上げた「美談」でしかありません。
 スポーツ選手諸君、あなたの親兄弟や恩師、学友はあなたの成績に期待しているかもしてませんが決して「国民」が期待しているわけではありません。円谷幸 吉さんの不幸を思う。

◇原発を再稼働して原爆忌(伊丹市・土居正:金子兜太選)
 原発と原爆は同じもの。どこかの社長が不謹慎にも原発をやめると「原子力開発の技術力が低下する」と言ったそうですが、言い換えれば「核兵器の開発技術 が低下する」ということにほかなりません。
 選者は「放射能に脅かされることのない社会を再構築するために、安易な道を選ぶな、と作者」と評されています。

◇青臭きわが書込みを見る晩夏(神奈川県葉山町・中島さやか:金子兜太選)
 ツイッターでしょうか、ブログでしょうか?
 この歳になっても読み返すと実に「青臭い」ものです。青臭さもエネルギーの一つ。

◆朝日歌壇
◇こなごなに砕きし骨を海にまく遺族に寄り添いわれは経読む(三原市・岡田独甫:佐佐木幸綱選)
 私も是非、このように弔って欲しいもの。

◇国会を囲む原発NOの輪に我も入りたし病みても切に(埼玉県・小林淳子:高野公彦選)
 官邸前10万人と言ってもこの歌の作者のように行けない人の「声」も聞いて欲しいものです。
 昨日の
反原連と野田首相の会見を出席者の一人ミサオ・レッドウルフさんは「官邸内抗議」と称 していました。気負わない姿が印象的でした。その模様はこちらでご覧になれます。是非ご覧ください。http://www.youtube.com/watch?v=zg0HhEG4imY&feature=player_embedded#!

◇水ぶろにザブンととびこみあせ流すわが家の節電今日から開始(京都市・室文子:馬場 あき子選)
 ブログを読ませていただいている方は、昼間にバケツ、タライ、散水ホースの中までといろんな物に日向水を作られ日が陰る前にせっせと風呂桶に運んでおら れるとか、子どもの頃の風呂の水汲みを思い出すような節電対策を楽しんでおられます。

 我が家は原子炉メーカーの扇風機を増設し節電に努めております。
 原始時代に戻らなくても十数年前に戻った生活をするだけで十分な節電、すなわち電力会社の売上減に貢献できます。

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