12/09/09 貧乏旅
しばらく更新ができずにおりました。
夏バテでしょうか。ピリッとしない生活を送っていました。
◆映画
映画も観なければと、観ておきたかったヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」を観てきました。ちょっとまとめて書きたかったのですが、もう一つのれませんでした。
ヤン・ヨンヒさんの自分の家族を撮ったドキュメンタリー「ディア・ピョンヤン」と同じように、父親は南の出身なのに金日成に心酔し北朝鮮の国内団体の幹部で、息子を帰
還事業で北朝鮮に「帰国」という移住をさせている。両親と妹の元に病気治療のために3ヶ月という期限付きで一時帰国する兄の滞在中の出来事を日常の目線で
描いています。
私の同級生の何人かも小学生高学年のときに「帰国」しています。当時は「地上の楽園・北朝鮮」に帰ることと、おぼろげな記憶では羨ましかったのを覚えて
います。
長じて映画「キューポラのある街」を観て、そんな単純なことでなかったことを知りました。
この映画でも、祖国団体の幹部である父の命を受けた兄は当時「自分が行かなかったら父さんに迷惑がかかる」などと話していたエピソードが語られます。北
からは監視役の男が付いてきており四六時中監視されているのです。兄は妹を北のスパイに勧誘する指令を果たさなければならないなど、さもあるのだろうとい
うテーマだから重い映画でした。
配役は頑固な父に津嘉山正種さん、母親に宮崎美子さん、妹に安藤サクラさん、叔父さんに諏訪太朗さん、兄に井浦新さん、兄の監視役にヤン・イクチュンさ
んなど。津嘉山さんと諏訪さんはどっしりと安定感のある演技でした。
宮崎好子さんと井浦さんのキャスティングが馴染めませんでした。
兄は16歳の時に「帰国」しており25年経っての一時帰国との設定ですから、母親は60歳オーバー、兄は41歳のはずですが、宮崎美子さんはとても60
歳には見えず、井浦さんも精々30半ばにしか見えませんでした。
北の監視役は、路地の奥にある実家の前に車を止めて監視をしているのですが、日本の公安の姿が一度も出て来なかったのは不自然に感じました。
今観ておきたい映画は話題の「トガニ」です。関西
での上映もあとわずかとなっています。
◆読書
京都大学原子炉実験所の小出裕章さんが松下竜一さんの8回目の竜一忌にされた講演「『暗闇の思想』から学ぶ」のYouTubeを観て、松下竜一さんのこ
とを知り初期の作品「豆腐屋の四季 ある青春の記録」を読んでいます。
1日、2日で読めるものが、一週間掛かっても読了できません。
他にも読みたいと思っているものが平積みされていますが、数ページ読んではそのままの状態です。
読書の秋ですから頑張って読みましょう。
◆放射能汚染
食品の放射能汚染は最早避けられないということが現実になっています。
食料品売り場では、相当汚れていると思われる群馬産のキャベツが関西でも売られています。汚染の値が「1」が基準値とすれば「0.99」であれば何の表
示もなしに売られているのです。
小出裕章さんが言われるように「汚れたものは大人が、汚れたものは汚れの値を表示」するようにして欲しいものです。
◆朝日俳壇、歌壇
俳壇、歌壇の紹介が溜まっていますが、今は毎日「17音の残日録」を駄句で更新するのが手一杯です。そのうちに。
さて、青春18切符が1日分(期限
は9月10日)が残っていたので、兵庫県竜野に行ってきました。
竜野という町は小さな城下町で、三木露風が「夕焼け、小焼の赤とんぼ・・・」という
赤とんぼの歌を作詞した町として有名?、ヒガシマル醤油など醤油の町でもあります。
自宅からおよそ3時間余り、初めて乗る姫新線は小奇麗な1両または2両編成のディーゼル車です。
鄙びた町には鄙びた駅舎が似合うだろうと思っていましたが、残念ながら綺麗な橋上駅となっていました。
駅前の通りも拡幅されて立派な道路となっていました。ところが、拡幅で立ち退きに
なってない方には、古い家並が残っていました。そのひとつに右の写真のような蔦の絡まる建物に「駅前」と
いう看板が掛かっています。近寄ると「スナック駅前」とのこと、先日見た映画「かぞくのくに」の実家のロケ先の喫茶店のような良い雰囲気の店構えでした。
竜野橋を渡って旧市街に向かいます。駅の1階にある観光案内所で貰った地図は持っていますが、小さなエリアですから迷うのも一興と気の向くままに右に左
に散策します。
「赤とんぼの町」を売りにしているだけあって、観光案内の道標には赤とんぼのフィギ
アが付いています。
道路脇の側溝の蓋にまで、トンボのマークが刻印されていました。流石ですね。
街中の家並は古い雰囲気を残していて中々の風情です。
町並み保存条例などで、新築改築には補助金として税金が使われているのでしょうか?こういう税金の使い方って良いのではないでしょうか?
坂を登っていくと旧脇坂屋敷という看板が有り覗いてみると大きな屋敷跡に建物が少し残っています。案内板に拠れば、竜野の最後の藩主脇坂さんが明治に
なって帰って来られた時に町が用意した住まいとか。正確にはお調べください。
こんな史実をしると岡田耕平さんの
<貧しきが富める一家を養いし年貢の蔵の壁を雨は
う>を思い出します。因みにこの歌は私のツイッターのプロフィールに借用しています。
脇坂さんの屋敷跡をさらに登ると山が迫ってきます。紅葉山と表記あり。
沢を渡って山道を下ってくると鶏籠山という最初の山城が築かれたところだそうです。下りたところが復元?した竜野城のようです。竜野中学校
跡、竜野高等女学校跡の石碑があり今は歴史資料館になっています。
城下町って憧れますね。田んぼと林しかなかった集落に生れ育ったものには、城跡にあ
る学校に通って見たかったという憧れです。
下ってくると醤油の香りが漂ってきます。少しの移動で武家の町から商人の町に変わります。前に知人に連れて行ってもらったヒガシマル醤油の記念館を覗き
ます。入館料は10円。
古い醤油の仕込みから絞りまでの工程がおおよそ見ることが出来ます。
小粋な喫茶店が何軒か営業していたのですが、食事を摂るのを忘れていました。
揖保素麺でもと思いましたが、素麺を食べるようなお店はありません。駅前まで戻って行きに見ておいた中華料理屋に入ります。キャパの大きな店内に客は一
組だけ、失敗したかと思いましたが、ビールに餃子、春巻でそれなりに満足でした。
帰りは、姫路駅で下車し新生軒の塩ラーメンをいただいて帰りました。
青春18切符を使いましたので、ミネラルウォーター1本、ヒガシマル資料館入館料、中華料理屋、新生軒のラーメンと極々省エネ(財布に)の小旅行でし
た。
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