12/09/13 朝日俳壇、歌壇より
腹の立つことの多い毎日、皆さまも夫々に腹を立てられていることでしょう。胃など壊
されませんようにお見舞い申し上げます。
橋下大阪市長率いる大阪維新の会が、日本維新の会として国政に進出するとのことをテレビなどのマスメディアは大きな出来事と報じているようです。
原発報道などで今や新聞界の良心ともなった感のある東京新聞は、その危険性を指摘しています。
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「維新八策」には、自立や競争に関する項目がずらりと並ぶ。国家像として真っ先に「自立する個人」を挙げ、「真の弱者支援」という表現も出てくる。
「ちょっとかわいそうな人は助けず、ものすごくかわいそうな人を助ける」ということを言いたいようだ。
(中略)
ただ、八策には今のところ、経済弱者に目を向けた政策はほとんどない。
--------------------------「『日本維新の会』結成宣言 弱肉強食路線が鮮明」(9月3日付け)
マスメディアは「民主もダメ、自民もダメ、受け皿になるのは維新」と維新が新しい波のように言っていますが、維新など小泉の焼き直しでしかありません。
小泉の郵政「改革」を煽ったのも、民主党の「政権交代」を煽ったのもマスメディアでした。消費税増税もまた「社会保障との一体改革」と。
その消費税増税の誤魔化すために「社会保障と税の一体改革」などと野田は呪文のように唱えていました。増税を決めた今も「消費税率の引き上げ分は、すべて社会保障の財源に」などと嘘のテレビCMを流しています。少なくとも「すべ
て」は嘘でしょう。JARO(日本広告審査機構)に相談してみようかと思います。
2週分の俳壇、歌壇への感想をまと
めて書くなどとの体たらくです。
まずは、9月3日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇から気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇水打つて水打つて守る小商ひ(香川県琴平町・三宅久美子:稲畑汀子選)
水打って、水打っての繰り返しが良いですね。「こあきない」との響きも。
作者は琴平町にお住まいとのこと、商いは土産物店でしょうか?うどん屋でしょうか?と想像したくなります。
◇ふくしまを世界に恥じる広島忌(東京都・鈴木淑枝:金子兜太選)
二度と繰り返さないと誓った私たちは過ちを繰り返してしまいました。子どもたちは今も被曝し続けています。
◇水着ではどうにもならぬ巨乳かな(いわき市・馬目空:金子兜太選)
どういう意味でしょうか?
水着に収まりきらないほどの巨乳ということでしょうか。見てみたいとは思いません。
◇炎帝に退位勧むる臣無きや(さいたま市・櫻井英雄:長谷川櫂選)
暴君・野田にもNoを突きつけたいものです。
◇浴衣着て一時帰国を楽しめり(鹿児島市・青野優子:大串章選)
作品は一時帰国して母国の夏を楽しんでいる様ですが、「イチジキコク」と読んで先日観た映画「かぞくのくに」を思い出しました。25年
ぶりの家族との再会「日本のビールは旨い」と語る主人公。政治に左右させられた人々の「一時帰国」は残酷でした。
◆朝日歌壇
◇さみしいときだけなでてもらひにくる猫をさみしいときだけだいてゐるわれ(三鷹市・増田テルヨ:永田和宏選)
動物を飼って一緒に生活した経験がありません。
猫は我儘とよく言われますが、この歌の猫も作者も我儘、思わずニヤリとしてしまいました。
◇放射能に子ども神輿は三時間の制限の中ばち躍(おど)らせる(伊達市・伊藤美知子:永田和宏選)
運動会にお祭り、プールと福島の子どもたちは毎日毎日身体に放射能を溜め込まされています。
先日も川崎市の阿部孝夫市長が「放射性セシウム入り給食を今後も続ける」「危険の中で生活していることを子どもたちに知って貰うため」とびっくり発言を
したとか。阿部氏は福島市出身、環境庁企画調整局環境管理課長でもあったとか。
◇原爆忌みな黙祷に福島を思ふ広島そして長崎(三郷市・岡崎正宏:佐佐木幸綱選)
広島の平和公園にある原爆の子の像のモデルとなった佐々木禎子さんの甥・佐々木裕滋さんが作り、クミコさんが歌っている「祈り」に次のような一節があり
ます。
♫二度と二度と辛い思いは、誰にもしてほしくはない、誰にもしてほしくはない
◇ホロビユクモノを見て来し今、コワレユクモノを見つめておりぬ(福島市・美原凍子:高野公彦選)
滅ぼされるもの、壊されるもの。人も物も。
引き続き、9月9日付けの朝日新聞
の俳壇、歌壇から気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇九条とう向日葵枯れる予感かな(三郷市・岡崎正宏:金子兜太選)
橋下維新は9条も邪魔なようです。滅ぼされてはなりません。
どう読むのでしょう?「きゅうじょうとう」でしょうか?浅学で分かりません。
◇昭和は逝かず八月のある限り(横浜市・永井良和:長谷川櫂選)
私は「昭和とは・・・」なんて言い方が嫌いでした。その意味がこの句を読んで分かったような気がしました。
昭和は終わってないのです。
◇炎熱の外を見てゐる喫茶店(和歌山市・松本紀男:長谷川櫂選)
喫茶店ではなくビアホールで是非。
◇伝はらぬ言葉呑みこむ敗戦忌(大阪市・ウンベルト・ドルビー:長
谷川櫂選)
被曝、憲法、敗戦などという言葉が使い難くなっているような気がします。そして伝わらないことのイライラ。
◇大夕立ドラマのごとく始まれり(多摩市・田中久幸:大串章選)
今年はよく夕立に会いました。どちらかというと傘を持ち歩くのが苦手なもので夕立に会うとずぶ濡れになってしまいます。誰か傘に入れてくれるようなドラ
マ仕立てにはなりませんでした。
◇地蔵盆上ル下ルの路地塞ぐ(高槻市・会田仁子:稲畑汀子選)
京都市内の路地にはこんなところに地蔵様がと思うほどに地蔵様の多いこと、また地蔵盆も盛んです。
私の住む地域は京都と大阪の府境近くで、京都のように路地路地に地蔵様が祀られています。8月20日を過ぎるとお堂の前に飾り付がされ子どもたちで賑わ
います。
◆朝日歌壇
◇夏休み限定のお洒落マニキュアを順に塗りゆく十本の指(新潟市・田窪陽子:佐佐木幸綱選)
作者は学生でしょうか?教師でしょうか?
普段マニキュアなどできないので夏休みにはちょっと冒険でしょう。
◇雑踏の中へ消えゆく息子の背あの子は確かに私が産んだ(長岡京市・深沢悦子:佐佐木幸綱選)
女性は強い。「私が産んだ」と宣言できるのですから。
◇扇風機ローテクとなれどローテクの一途な風をほのぼの受けおり(調布市・柳沢英子:高野公彦選)
我が家も今夏は3台の扇風機が活躍しました。今時の扇風機はほとんど音がしなくて頼りないくらいです。ローテクの中にもハイテクが忍んでいるような。
◇「うどん屋の角」で知らるるうどん屋の閉じたるのちも「うどん屋の角(長岡市・国分コズエ:高野公彦選)
店の名前が通称となり商いを止めても通称だけが一人歩きなんてことはよくありそうです。
この歌を読んですぐ思いついたのは「かろのうろんや」でした。上方落語に出てくるのかと思ってGoogleってみましたら、「かろのうろんや」というう
どん屋が博多にあるとのことでした。博多に少し住んでいた頃に博多はうどんの町と聞いたことがあります。確かにうどんすきが美味しかった。
◇荒筵(むしろ)かぶされて友ら山道を担がれゆけり六十七年前(熊本市・高添三津雄:永田和宏選)
1945(昭和20)年12月21日にわずか20歳でシベリア・テルマの収容所で栄養失調のために亡くなったとごく最近通知があった知人の兄さんのこと
を思いました。
天皇の赤子として戦争に駆り出された兵士は喰うものもなくシベリアに抑留されたものだけで30数万人が死んだのです。彼らの無念さは如何程だったでしょ
う。
◇この想い出のみで生きられるなどと言う美しき嘘で生きてゆくのだ(横浜市・大建雄志郎:永田和宏選)
「あなたの想い出を抱いて残された人生を生きてゆきます」なんてとても言えません。作者は想い出とともに生きてゆくと決意されたのでしょう。素晴らしい
こと。
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