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12/09/19 映画「隣 る人」

 前回の朝日俳壇、歌壇で紹介した児島たつ子さんの<「そういえばあの 人最近みないねえ」そんな別れに出来たらいいな>にまつわる話をひとつ。

 歌のような死に方がしたいものだと私は思っているのですが、私のように生まれた土地を離れ集合住宅に住む男性は地域との繋がりを作りたい、地域の人たち 暮らしたい、いつの間にか居なくなってるなんて淋しすぎると話していました。
 日常もできるだけ関わりたくない、ましてこの世を去る時も当然静かにフェードアウトしたいと思っているのは変でしょうか?

 ツイッターにも書き込みましたが、天満市場(ぷららてんま)の大きな八百屋で「福島産」と大書されたキュウリが堂々と売られていました。立派なキュウリ が5本で150円と安値からか買う人もいて、私などとはひどく温度差を感じました。
 居酒屋のキュウリ揉みをオヤジどもが喰ったり、老夫婦の食前にのぼる程度だったら良いのですが、子どもの口に入らないように願うばかりでした。


 映画のことを書いておきます。
 前回は「
トガ ニ 幼き瞳の告発」で、聴覚障害者の学校での性的虐待事件を素材にした映画でしたが、今回も子どもが主 人公で事情があって親と一緒に暮らせない子どもたちのための施設での暮らしを撮ったドキュメンタリー映画「隣る人」でした。

 ドキュメンター映画の要素の一つにナレーションがあります。ナレーションの有無、ナレーターの個性で映画の個性も決定づけられるように思います。今回の 映画にはナレーションがついていませんでした。そのために素朴な雰囲気(低予算?な)がよく出ていました。一方、展開が理解できないところも2、3ありま したが。

 延べ8年の取材をしたとホームページにありましたが、舞台となっている児童養護施設の周りの田んぼの景色や鳥や虫の声、子どもたちや保育士の服装、施設 の行事などから2年間の出来事にまとめられたいました。

 取材対象となったのは埼玉県加須市にある児童養護施設「光の子どもの家」、 そこで暮らす保育士のマリコさん、小学校中学年のムツコとマリナの二人の子どもの日常が淡々と描かれています。
 朝食の調理、食事、登校、職員のミーティング、掃除、小学校に行っていないこの世話、夕食の準備、夕食、お風呂、寝かしつけと同じような毎日が同じよう には過ぎていきません。
 マリコさんの取り合い、喧嘩、突然現れた母親との関係、、、

 化粧気の全くないマリコさんの表情、子どもたちの悪態のつき方など、ドキュメントでしか表現できません。
 いい映画でした。自主上映のDVD貸出料が5万円とのこと、少しお金が貯まったら町の公民館でも借りて自主上映会でもやって見て欲しいと思うほどでし た。

【蛇足1】
 私が以前、東京で一緒に働いたことのあるMさん一家のことが思い出されました。(Mさんのことはこちらにも少し書いてあります)

 Mさんの母はいわゆる女傑で、埼玉県のある町で2人の保母と2人の園児で40数年前に保育園を開所されたそうです。園長の人柄でしょうか、保育園の経営 とは別に親と一緒に暮らせない子どもたちを自宅に預かり、一部は養子縁組をし成人まで面倒をみたそうです。ですから、Mさんには血の繋がっていない兄弟が 4人もいるそうです。

 そんな彼も情報処理関連の会社を辞め母の仕事の一部を手伝うようになりました。彼もまた、自宅に行き場のない子供たちの世話をしているとのこと。クズみ たいな人間ばかりではない、人間棄てたものではないとの感を強める人たちです。

【蛇足2】
 私の住まいの近くに大阪水上隣保館と いう福祉施設があります。乳児院、児童養護施設、保育園、特別養護老人ホームなど天王山の麓にいくつもの施設が点在しています。こちらの児童養護施設は定 員が150名超と大規模です。

 集合住宅前の道路を子どもたちが朝夕通学しています。
 夕方帰宅するときにすれ違う子どもたちに「さようなら」と挨拶を交わしますが、そこは子どものこと、馴れ馴れしくなんだかんだ聞いてくる子や私の頭皮を 遠慮なく「禿げ」などという子などいて楽しいものです。

 私はこのような施設が近所にあることを正(プラス)の価値と思っていますが、負(マイナス)の価値しか認めない人もいます。
 団地の中で××なことをしていたのはあそこの子だとか、真偽定かでないことが子どもたちの所為にされています。施設の中だけでなく同じ地域に住む子ども たちとして差別のなくなることを願います。

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