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12/11/12 朝日俳壇、歌壇より
 昨日の大阪は雨、風が強く大荒れの天候でした。中之島公園で予定され ていた脱原発の集会とデモ行進も中止されましたが、そんな悪天候にもかかわらず東京での「11.11反原発1000000 人大占拠」に連帯する抗議行動が全国各地で行われました。
 ツイッターやIWJの中継を見ながら勇気をもらうことができました。

 戯言を一つ、二つ。

◆佐野洋子さん
 ジュンク堂や紀伊国屋に行くと店内に本を検索するパソコンが置かれています。
 私は長く<佐野洋>さんのファンで、佐野洋さんの新刊が出ていないかチェックするのですが、<サノヨウ>や<佐野洋>で検索すると絵本作家の<佐野洋 子>さんの本が大量に表示されるので、いつも<佐野洋子>さんを外せないかと思っていました。

 ところが、生前の佐野洋子さんをテーマにしたドキュメンタリー映画「100万回生きたねこ」が制作されているのを知り、ツイッターで佐野洋子さんの言葉を呟く「佐野洋子bot (‏@bot68950901)をフォローして読んでいると佐野さんの言葉は深いと思うようになりました。只今、まとめ読み中です。

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 私なんてね、自分の核は何かといったら怒りしかないね。執念深くいつまでも覚えてて、怒ってるの。そういうのを「性質タチ悪い」って、世間では言うわね (笑)。でも私、ほんとうに自分を支えてるのは"怒り"だと思う。 *『佐野洋子対談集 人生のきほん』より
-------------------佐野洋子botより

◆インターネット俳句会と現代俳句協会
 現代俳句協会主催のインターネット俳句会の先月の成績は前に書いたように散々なものでしたが、3点をいただいた句を大畑等さんの講評で取り上げていただ きました。

◇母のまま老いて林檎の芯堅し
 母の老いを一句にしました。作者と母の長い歳月は、目の前の母の姿が体現している。それは「林檎の芯」のように堅く凝固しているのだ。そのように読み取 りました。

 過分な言葉をいただき、唯々駄句駄句も続けなければと気を新たにしました。

 もう一つ、現代俳句協会の話を。
 昨日、その大畑等さんから事務連絡のメールをいただきました。内容は協会への加入のお誘いでした。そのメールの中に私の投句から、下記の三句を注目句と して取り上げていただきました。

◇母のまま老いて林檎の芯堅し
◇団栗の落ちてこちらは瀬戸内海
◇花野より母の手紙に病むとあり

 素養もなく、結社にも参加していない鈍らものですので入会は只今検討中です。


 11 月11日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇行く秋の日向を通る人ばかり(福岡市・山北如春:長谷川櫂/金子兜太選)
 日向に出るとちょっと歩がゆっくりになるような、そんな絵(動画)を想像しました。
 昔、定点にカメラを据えて、人は日陰を歩くのか、日当たりを歩くのかを実験?した映像を見た記憶があります。その映像では夏は狭くても陰を選び、冬は日 向を選んで歩く様子が如実に出ていました。

◇百姓がまた泣く秋も更けにけり(矢板市・菊池壽一:長谷川櫂選)
 「百姓が泣く」のはなぜだろうとまず思いました。不作、否栃木県の作者だから放射能汚染だろうか、とすれば「また」は何だろう?とと思ったが、選者は 「実りの秋は農家泣かせの秋でもある。人の嘆きなど知らぬげに去る秋よ」と評されている。
 選者の評だと農繁期の忙しさが百姓泣かせなのでしょうか?作品では「百姓」と評では「農家」と、この違いもあるかも知れません。

◇風呂敷の真ん中に置く新酒かな(千葉市・笹沼郁夫:大串章選)
 新酒の季節、あちこちの酒蔵では試飲会などのイベントも盛んに行われているようです。
 作品は、手土産にする新酒を風呂敷に包もうとしている亭主の図でしょうか?ちょっとおしゃれをして片方に一升瓶をぶら下げて、もう一方には到来物の珍味 でも抱えて気心の知れた人を尋ねる。粋ですね。
 風呂敷とは便利なものです。帰りにはポケットに収まります。京都の宮井商店のWebサイトに色々な物の風 呂敷の包み方が紹介されています。右の写真も宮井商店さんからお借りしました。

◇白鳥の休耕田に来てをりぬ(久慈市・和城弘志:大串章選)
 白鳥が飛来したのが休耕田となっていますのでのんびりした風景を思い描きました。
 休耕田というと
昔の減反政策のように作付をされなかった田んぼという印象があります。耕 作放棄された田んぼに白鳥が来たと詠むと全く違った荒涼とした風景になってしまいます。

◇わが余暇の光をよぎる赤蜻蛉(富山市・黒田昭子:金子兜太選)
 余生ではなく「余暇」であるところが、選者の言われるように「格調」があります。凡なる私など「余生」としてしまいたいところです。

◆朝日歌壇
◇金入れて缶コーヒーが落ちて来る二秒の間に秋空見上ぐ(大牟田市・桑野智章:佐佐木幸綱選)
 コインを入れて商品が出てくるのに2秒は長すぎるように思うが、1秒では瞬間的過ぎて空を見上げられないのかも知れません。

◇流星に「今度生まれてくる時は」何願ったの前世の私(さいたま市・飯塚瑠美:佐佐木幸綱選)
 前世の私は流れ星に何を願って、今の私がいるのでしょうか?若い人の歌はいいですね。

◇沖縄の怒りがただちにわがものとならぬ鈍さを沖縄に恥づ(新潟市・伊藤敏:永田和宏選)
 痛いところを突かれます。沖縄の怒りとシンクロできないことを恥じている作者。
 脱原発と言ってみても被曝した町に住む人や原発で成り立っている町に住む人の悲しみや怒りを十分に分かっているかと問われたらNoと答えるしかない。 100%は分からないけど他人事で済ますことができないから声を挙げている。
 「お前ら、被災者でもないから黙っていろ」と言われても黙っているわけにはいかないのです。
 沖縄のことも原発のことも、沖縄や福島だけの問題ではないのです。私たちみんなに突きつけられている問題なのです。

◇たまご抱く雌鶏のやうな温かさ「ゑ」の字持ちたり母の名「よしゑ」(大和郡山市・四方護:永田和宏選)
 偶にある文字の歌。今度は平かなの「ゑ」、本当に雌鶏が羽を丸めて卵を抱くような字面ですね。よしゑさん、いいお名前で息子自慢なことでしょう。

◇届たる財布の中身調べゐる警官は吾を立たしめしまま(仙台市・坂本捷子:永田和宏選)
 凄い皮肉の歌と読みました。でも少し笑える。警官が巡査だったら雰囲気も変わりますね。

◇人生って多分そんなに甘くはないけれど夕日はこんなにきれい(飯塚市・甲斐みどり:永田和宏選)
 そう、そう、そんなに甘くはないですよ。でも捨てたものでもないから悩ましいのです。

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