12/12/24 朝日俳壇、歌壇より
今日は寒い一日でした。朝見た滋賀方
面から来る電車は雪を積んでいました。
七十数歳の知人との世間話。
佐世保の出身で関西のある県の警察官として職を全うして今は悠々自適の隠居生活をされている。時には若い人の相談にものるという、藤沢周平さんの「残日
録」の三屋清左衛門のごとき生活を送られています。
そんな彼の敗戦の苦労話を聞くことができました。
旧満州の大連生まれ、弟は口減らしのために中国人に養子に出され、1953(昭和28)興安丸で舞鶴に引揚げ、佐世保の母の実家に身を寄せられたとのこ
と。
友達の父親が反革命分子として人民裁判に掛けられ殺されたこと、引揚時には馬小屋で寝るようなこともあったそうです。養子に出されていた弟の消息が分か
り残留孤児として一時帰国が叶ったこと。当時、警察官だった彼は帰国した弟とも自由に接触することをはばかられたそうです。
七十数歳ですが、パソコンが使えるので是非とも体験を書き残して欲しいと勧めておきました。
私とは思想も違う人ですがはっきりと「子どもたちには同じ経験をさせたくない」ときっぱりと言っていました。
どんな親が、我が子に戦争体験をさせたいでしょう。
戦争も辞さずなどと口にする奴らは自分たちの子どもは埒外に置いて言っているのです。
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月24日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった歌や句を紹介します。
◆朝日俳壇
◇鳥渡る幼き貝を眠らせて(横浜市・池谷治代:金子兜太選)
まったくわかりません。
「貝を眠ら」すとは何を指すのでしょう。浅学ものには辛い句です。
◇懐手して吊革に摑まらず(東京都・竹内宗一郎:長谷川櫂選)
伊達男ですね。
◇手拍子の乱るる雪の夜となりぬ(東京都・竹内宗一郎:大串章選)
前の句と同じ作者の作品です。
このような世界とはまるで違う世界に住んでいます。
◇言の葉の枯葉のごとく宙に舞ふ(東京都・吉竹純:大串章選)
政治家の言葉の軽さを詠んだ句と読みました。
勇ましき言葉ほど、紙よりも薄く、羽よりも軽く木枯らしに舞うことでしょう。
◆朝日歌壇
◇とてもとても人恋しくなる十七時ラジオを点けて芋の皮むく(新潟市・太田千鶴子:馬場あき子選)
17時なんですね。21時とか、深夜2時とかではないんですね。当分17時が気になることでしょう。
◇夢の島に福竜丸は老いませり核保有論聞けば痛まし(浜松市・松井恵:佐佐木幸綱選)
馬鹿どもが何をどう言おうと核を持つなどあってはなりません。
アメリカの小学校での痛ましい銃乱射事件も銃が無ければあれほどの子どもたちが殺されることはなかったでしょう。北朝鮮を嗤った口で核保有を叫ぶとは。
◇愛された記憶が私をつないでる今日の続きの何もない明日(さいたま市・西野智子:佐佐木幸綱選)
こういう若い?人の歌に影響されて愛って何?と青臭いことを考えてしまいました。
人を真剣に愛したことがあるだろうか?あれは、これは愛と呼べたのか?
まして人に愛されたことなど本当にあったのだろうか?
◇化粧してだんだん表情消してゆく出勤の子を黙って送る(横浜市・神野志安代:佐佐木幸
綱選)
不思議な歌です。
普通は化粧してハレの姿に化けて行くのでしょうが。消されてゆく表情とは「娘」「我が
子」としての表情なのでしょうか?
◇コロッケにソースをかけて食べてみたかけない方もどっちもうまい(田辺市・中野倫太郎:高野公彦選)
少年の作品でしょうか?妙な味わいがあります。
コロッケはご馳走です(でした)。(ウスター)ソースを掛けて食べるなど贅沢なことでした。先日、長崎の洋食屋でコロッケを食べました。大きめのお皿に
ウスターソースでない洋食のソースが掛けられ上品なフランス生まれの様相でした。
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