13/12/25 朝日俳壇、歌壇より
細々としたことを
書きたいのですが、そうしているとドンドン更新が遅れます。とりあえず、23日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇湯豆腐の昆布のやうなひとなりし(輪島市・大向稔:大串章選)
華やかさは無いがいい味を出す人、作者にとってどんな人なのでしょう?
◇討入の人にそれぞれ母のあり(香芝市・土井岳毅:大串章選)
忠臣蔵がハリウッド映画になって公開されているようです。私は討入に参加しなかった(しなかった)赤穂藩出身の浪人を描いた井上ひさしさんの「不忠臣蔵」が好きです。それぞれの母以上にそれぞれの数奇な運命が書かれています。この残日録ではこ
ちらで紹介しています。
◇毛糸巻くよそ見の夫を叱りつつ(京都市・久世幸子:稲畑汀子選)
昔は古いセーターを解いて新しく編みなおすことが普通だったのでしょうか?両手を伸ばし毛糸の束を掛けて母が巻き取っていました。この旦那さんのように
よそ見ばかりで叱られていたことを思い出しました。
◇聞き役に徹する耳の寒さかな(福山市・広川良子:稲畑汀子選)
女性もそうなのかなと思う。宮仕えの頃には言いたい時にも言葉を飲み込み聞き役に徹しなければならいことが度々ありました。「耳が寒」いとはうまいなあ
と思う。
◇福島を置き去りに街クリスマス(川越市・横山由紀子:金子兜太選)
何とも無い句に見えて深い。今なお二十数万人がふるさとに帰れないでいる、そんなことを知らない、忘れたような街中の喧騒は何だろう。
◇残されて妻の布団に潜りけり(横浜市・守安雄介:長谷川櫂選)
早起きして家を出た妻は買い物だろうか、仕事だろか?
その温みが恋しくて妻の抜け殻のような布団に潜り込む。少しエロチィックな作品です。
◇熱燗で最後の晩餐致し度く(岐阜市・阿部恭久:長谷川櫂選)
「最後の晩餐」とはなんだろう?
入院でもされるのだろうか?
◆朝日歌壇
◇秘密保護法衆院通過せりひつそりとびわの花の咲く日を(福岡市・宮原ますみ:高野公彦選)
自民党、公明党並びに補完勢力に拠る特定秘密保護法の採決の強行には怒りが収まりません。しかし、この作品のように感情を押えた作品には訴える力が余計
にありそうです。
歌壇には何首か、特定秘密保護法を詠んだ作品がありました。俳壇には同じテーマの作品は一つもありません。何故でしょう。
いくつかを紹介します。
◇あの時に止(と)められなかった大人たちと未来の人から言われたくない(松坂市・こやまはつみ:高野公彦/永田和宏選)
そうですね。だから諦めずに「悪法廃止」を訴えましょう。
◇湾側の鎧戸閉ざし房総を旅せし日あり秘密保護して(横須賀市・戸村健児:永田和宏選)
戦時中は軍事施設は地図からも消され、天気予報でさえ隠されたそうです。秘密を「保護」すると言うのは国民に見せないということですから、政権党と役人
はやりたい放題ということでしょう。役人の不正なども。
◇子を思い押されるようにデモに来たと夜の公園のママと赤ちゃん(東京都・白倉眞弓:永田和宏選)
このお母さんは「押されるように」と小さい子どもを連れて抗議デモに参加されたの
です。私も12月6日にいただまれず国会前に出かけました。3.11以降、反原発の運動で私たちが得たものは、嫌な者は嫌、その声を国に届ける行動をする
ことを覚えました。
◇保守的な事務所にありてもどよめける特定秘密保護法案通過のニュース(調布市・柳沢英子:佐佐木幸綱選)
こんな事務所は羨ましい。私の職場では話題にもなりません。
◇紙上では市民権ありホームレスわが歌載れり初めて載れる(ホームレス・宇堂健吉:
高野公彦選)
久々に登場したホームレス歌人の入選2作目。
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