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14/03/19 朝日俳壇、歌壇より

 休みに高野山 に行ってきました。
 高野山には十年ほど前に仲間と自転車で登ったことがありますが、今度は一人で南海電車に乗って気ままに行ってきました。

 ロープウェイの高野山駅から、歩いて大門を経て金剛峰寺を拝観、奥の院まで歩きやすいコースでした。シーズンオフの平日のせいか参道の土産物屋はほとん どが営業をしていませんでした。
 雪の残る奥の院への道には、戦国武将を初め著名な企業名の供養塔が並んでいました。死んでしまえば敵も見方もないということでしょうか。
 遅めの昼食をバスターミナルの食堂でいただきました。中国か台湾からの旅行者のグループも蕎麦やうどんを啜っていました。

 当然、帰りには一杯という段取りで早くから開いているジャンジャン横丁の田中屋に座ります。常連がテレビの相撲中継を見ながら、ニュースを肴に飲んでい ました。梅田に出て行きつけのバーでモルトをいただいて帰着といういい一日でした。

 3月17日付けの 朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇北窓を開け百代の過客行く(彦根市・阿知波裕子:長谷川櫂選)
 選者は「『百代の過客』は『奥の細道』の言葉。永遠の旅人と訳せばいいか。今、春空へ旅立ってゆく」と評されていますが、私は「北窓を開け」が良くわか りません。若しかしてどなたかが亡くなられたことを詠んでおられるのかとも思いました。

◇三月や十日のことも忘れまじ(三重県菰野町・大橋徳紀:長谷川櫂選)
 三月は哀しいことの多い月です。
 三月十日の東京大空襲も忘れてはなりません。

◇一塊の凶器となりて氷柱落つ(山形県白鷹町・新野祐子:大串章選)
 氷柱が凶器は推理小説に出てきそうです。松本清張に餅の塊で人を殺害し凶器の餅を食べてしまうというのがあったような。

◇清貧と言へば清貧目刺焼く(さいたま市・大石大:大串章選)
 すっきりとした一句。だが、目刺も吟味すれば高いものです。

◇白きものみな残雪と見ゆる旅(高槻市・会田仁子:稲畑汀子選)
 先日の高野山への旅でも道路際に残雪を見ました。残雪といえるくらいなら風情でもあるのでしょうが。

◇ふくしまの棄民に積る涅槃雪(福島市・池田義弘:金子兜太選)
 福島は国に棄てられた。

◇どす利かせ政権はあり二月かな(三郷市・岡崎正宏:金子兜太選)
 どすを利かせるというほどの国会運営など、自民党内からも異論が出るほどの強引な手法が横行しています。

◆朝日歌壇
◇我が県の全てが除染できるのかバケツと箒と熊手とスコップで(いわき市・馬目弘平:佐佐木幸綱選)
 福島県に住んでおられる方の実感でしょう。
 除染とは部屋を掃除するようなものだと思う。箒で掃けばチリは舞い上がり、塵取りの上のゴミはゴミ箱へ棄てられるのでしょうが、そのゴミの捨て場がな い。
 選者は「四年目を迎えた福島原発の後始末。結局たよりになるのはアナログの道具なのか」と評されていますが、選者はアナログの道具で除染が出来ると思っ ておられるのだろうか。

◇雪の日は奥さんが後(あと)をついてくる二人で一人分の足跡(さいたま市・飯塚瑠美:佐佐木幸綱選)
 体が不自由な夫婦なのでしょう。「二人で一人分」が良いですね。

◇あの人もあれで良かったと思うよ人の終わりが語られてゆく(下関市・牛島正行:高野公彦選)
 こんな風に語られる人でありたいと願う。

◇しばらくは静かであらう戦前の或る日も静かであつたみたいに(名古屋市・浅井克宏:永田和宏選)
 不吉な予感。

◇武器輸出三原則もきな臭き匂い立ちきて列島は雪(前橋市・荻原葉月:永田和宏選)
 何でもありの坊ちゃん内閣が気に入らぬものをドンドン壊して行く。

◇人が消え学校が消え家が消え村が消えると雪の里人(亀岡市・俣野右内:馬場あき子選)
 放射能に汚された町だけでなくこの国は富めるものと貧しいものの格差と同じよう に、富める地域と貧しい地域がある。やがて歌のように貧しい地域は限界集落となって果てて行くのでしょう。
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