14/05/02 朝日俳壇、歌壇より
何故この頃は生き
難いのだろう。
行政が、中沢啓治さんの「はだしのゲン」が子どもたちの目に触れないようにされるとか、土佐電鉄の憲法PR電車が今年はできなくなるとか、憲法関連の催
事
に行政が後援しなくなったとか。。。。
世の中がドンドン戦争をできる国になりつつあることを実感する毎日です。何とかしなければと思うのですが頭も身体もついていきません。
ツイッターで大木晴子(@kuronekoroku)さんが東京新聞の
「紙つぶて」というコラムを紹介されていました。
「紙つぶて」に、この日(4月27日)に掲載されていたのは、中山千夏さんの「オタマジャクシ」というコラムでした。ヘイトスピーチについて書かれていま
したので、抜書きして紹介します。
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西欧の、それもハイソサエティーと混じって暮らして帰国すると、やたらに和だの天皇
だのを誇るようになるひとが多い。それだけならいいが、近隣のアジアを下に見るようになる。これは、性差別にショックを受けた女が、自分も女性を蔑視し
て、男社会の一員になろうとするのと同じだ。そういうひとの感化があまねく井の中まで及び、オタマジャクシが、ヘイトスピーチパレードをする。
きっと人生が辛いのだ、誰かを罵(ののし)らなければ生きていけない。辛さの原因の誰彼を罵るのは怖いので、朝鮮なりなんなりの顔のない象徴を罵る。ひ
どく弱いので、ひとりでは憎まれ口も言えない。勇気と自信が無いので、裸の自分ではいられず、日本国や日本民族やらの鎧兜(よろいかぶと)で街に出る。
いかにも私は今、憎まれ口をたたいている。在日の親しい友を持ち、自分の歴史観を持ち、人権宣言の熱烈な支持者である私は、人種国籍にかかわらず、ヘイ
トスピーチの飛沫(ひまつ)を浴びて負傷している。なにをする、痛いじゃないか、と腹立ちまぎれの憎まれ口だ。
それにつけても在日の友人は全員、強い。イジメに鍛えられている。国や民族を頼もうという甘えが、微塵(みじん)も無い。自分の身一つで、なにくそと世
界に向かい立っている。君、君、見習ってはどうか。さもないとそのままでは一人前のカエルにもなれないだろう。
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ヘイトスピーチへのカウンターに在日の方が参加されているのを見るのは辛いものです。私たち日本人
がもっと頑張らねばと思うばかりです。
朝日俳壇を紹介する前に私の駄句を少し。
4月の現代俳句協会のインターネット俳句会への投句で点をいただいた句です。
<曇天をふたつに裂いて初燕>4点
<九条や基地の庭にも咲く桜>3点
<飲むまでに少し間のあり暮の春>3点
<春寒の心にひとつ穴のあり>2点
4月28日付けの
朝日新聞の俳壇、歌壇を5月2日になって取り上げるという体たらくです。取り急ぎ、気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇もう欲も得もなかりし春眠し(北海道鹿追町・高橋とも子:稲畑汀子選)
この頃の私の心境と通じるものがあります。
しなければならぬことがありながら、ただただ眠い。
◇働きてはたらきて腰細き蟻(洲本市・高田韮路:金子兜太選)
蟻の腰が細いのは働きすぎなのか。私など腰が太くなるばかりだが。
◇見えるもの見えぬものみな朧なり(東京都・渡辺礼司:長谷川櫂選)
見えないものまで朧なのか。
◇花の中被曝忘れるために酔ふ(いわき市・馬目空:長谷川櫂選)
酔うしかないのか。
◇桃畑万の蕾が千開き(八王子市・中尾公一:大串章選)
昔、花盛りの桃畑を見たことがあるが、桜とは違う文字どおり桃色の花畑だった。万の蕾と千の花が美味いなあと思う。
◆朝日歌壇
◇年月(としつき)に戦ふさくら死ぬさくら見て来しさくらただ咲けるを(浜松市・松井恵:永田和宏選)
桜という植物は、軍歌「同期の桜」に歌われるように先の戦争に利用されてきた。ただ咲いているだけなのに。
◇癒ゆるなきあなたと家に帰りたるあの日のやうにさくら散りゆく(福岡市・宮原ますみ:永田和宏選)
ご主人を亡くされた方の歌。
◇道の辺にスミレ、タンポポ咲き初めて四年目に入る仮設住宅(いわき市・佐藤美二:馬場あき子選)
仮設住宅での生活はご苦労の多いこととお察しします。復興住宅は足りているのでしょうか。
◇次々と決める政治は決めてゆき廊下の隅に立ってる戦争(前橋市・萩原葉月:馬場あき子選)
一読して渡辺白泉の<戦争が廊下の奥に立つてゐた>という俳句を思い出しました。
安倍首相は「決める政治」と言って前のめりに秘密保護法の成立、武器輸出三原則の緩和、憲法を解釈改憲し集団自衛権を認めるなどと戦争のできる国へと
まっしぐらです。
もう「打倒!安倍内閣!」と叫ばなければならないようです。
◇先生と呼ばれることに照れながら患者手に取るおもちゃ病院(太宰府市・植村克志:佐佐木幸綱選)
はめられました。最後の「おもちゃ病院」でどんでん返しでした。
◇皮こそが美味いと思うに残したる鮭定食の隣の客は(平塚市・西一村:佐佐木幸綱選)
作者は隣の客が残したものまで気になるほどに鮭の皮が美味いと仰る。本当かなと思ってしまう。私は食べない、残す派です。
◇吾/吾/吾/吾 春の雨降るゆふぐれに問ひただしあふ三
面鏡の(宇部市・乃間保歌:高野公彦選)
「吾/吾/吾/吾」と
不思議な歌。三面鏡の中で正しあう吾と吾なのでしょうか。
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