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14/05/30 しつこく、福井地裁・樋口判決


 先日は、原発ゼロ上牧行動に参加して来ました。
 このアクションは少人数の参加者なのですが、訴えの後に交流会が行われることが習いになっています。寒い時には近くのファストフードの店内で、暖かい季 節には上牧駅前で呼びかけをしてくれているSさんがお握りやお茶を用意してくれ、参加者の酒飲みから酒の差し入れなどあり、お花見のようです。

 そこで話題になったのが、福井地裁の大飯原発3、4号機の運転差し止め判決についてでした。
 先週の関西電力本店前での脱原発抗議行動の様子でした。抗議行動の後に飲みに行ったバーで馴染みの関電本店に勤める人に「今日の抗議行動は、あの判決の 後だったから随分と過激だったのでは?」と尋ねられました。
 ところが、参加者もいつもと同じ程度、シュプレヒコールにも「関西電力は判決を守れ!」が挟まれるくらいで盛り上がりは今一つの印象でした。関電の本店 内では「大飯差し止め判決が出たから、抗議行動も過激になるのだろう」などと噂されていたのでしょう。

 また、反原発運動をされている方が福井地裁の樋口英明裁判官に「良い判決をありがとう」と礼状を出されていることなどを話しました。
 何はともあれ素晴らしい判決であること。このことを広めて行くことが大事ではないかと盛り上がりました。

 うまく紹介できませんので他者が評じられているのを紹介したいと思います。

 「お読みになった方も多いと思うけれど、どうしてもここに書き留めておきたいと思う文章がある。まさか裁判の「判決文」に、こんなステキな一文が示され るとは思わなかった」という書き出しで始まる鈴木耕さんの文章「最後 に、素敵な判決文を!」です。

 1番目に紹介されているのがこの文章です。

 被告(注・関西 電力)は本件原発の稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存その ものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的に許されないことだと考えて いる。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や 喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である と当裁判所は考えている。

 人間の生存と電気代の多寡を比較することが法的に許されないこと、コストの問題は国富の流出や喪失だと議論があるが国民が豊かな国土で暮らしていること が国富ではないかと明確にしています。

 また、先日私も引用した下記の部分を引いてこのように書かれています。

 個人の生命、身 体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権 は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはで きない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づ いて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、 その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

 「これほどまで「人格権」を、憲法に準じて正面から捉えた判決文も珍しい。『人格権とは、人の生命を基礎とする』ものであり、したがって『憲法上の権 利』なのだと規定する。それゆえ『人の生命を超える価値を他に見出すことはできない』と、きっぱりと宣言する」(引用)
 私たちの暮らしは日本国憲法に根ざしている。憲法が暮らしに生かされなければならない。私たちの生きる権利は何者にも侵されないものだと思う。

 関西電力はすぐに控訴しました。
 上級審では福井地裁の判決が翻されるかもしれません。
 でも、私たちは2014年5月21日、日本で一基も原発が動いていない時、さあこれから再稼動をさせようとする動きのある中、憲法に根ざした素晴らしい 判決が出たことを忘れないで、原発が無くなるまで頑張らねばと思います。

 判決要旨全文はこちらを。
 また、福島第一原発の事故当時の発電所長だった吉田昌郎さんを聴取したいわゆる「吉田調 書」を朝日新聞が入手し連載されています。国や東京電力が国民から隠したかったものの一部が見えてきます。是非お読みください。
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